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勉強は駄目でも

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第四章

「特進科はね」
「そうよね」
「けれど。学科は違っても」
「同じ高校に通うなんてね、私とお姉ちゃんが」
「そんなこと夢にも思わなかったわ」
 それこそ全く、というのだ。
「まさかね」
「本当にまさかよね」
「けれどいいわ、入られる高校ならね」
「しかもスポーツが出来るのなら」
「あんたの長所が活かせるから」
 それだけにというのだ。
「頑張って来なさい、いいわね」
「うん、それじゃあね」
「それで何のスポーツで入るの?あんた部活野球部よね」
「だからその野球でね」
「入るのね」
「ポジションはピッチャーよ」
 つまりチームのエースである。
「四番でね、全国大会でもベスト4までいったし」
「実力はあるからね」
「だから野球で入るから」
 それで、というのだ。
「頑張るね」
「怪我だけはしないことよ」
 母もこう言うのだった、そしてだった。
 勝恵は実際に八条学園高等部スポーツ科を受けて無事合格した。そうして晴れて入学することになったがその入学式の日にだ。
 昌代は彼女をだ、じっと見てこう言った。
「今でも信じられないわ」
「学科違うじゃない」
「それでもよ」
 成績優秀な千代子と同じ高校に通うこと自体がというのだ。
「まさかねえ」
「何かお母さん宇宙人見たみたいな顔になってるわよ」
「本当にそのレベルで驚いてるわよ」
 実際に、というのだ。
「今もね」
「けれどそれはね」
「合格してからじゃないっていうのね」
「一体何時まで驚いてるのよ」
「だって本当に驚いてるから、けれどね」
「ええ、今日から私も高校生よ」
 明るく笑って言う勝恵だった。
「見ていてね、これからの私も」
「甲子園目指すのね」
「甲子園に出てそうしてね」
「阪神に入るのね」
「そうよ、まあ私が投げたらね」 
 それこど、というのだ。
「阪神日本一間違いなしよ」
「正直阪神ピッチャーは揃ってるから」
 伝統的にだ、昌代はこのことは冷静に突っ込みを入れた。
「バッター欲しいけれど」
「私ピッチャーだから」
「転向したら?バッターに」
「いや、ピッチャーが好きだから」
 投げることそれ自体がなのだ、勝恵の場合は。
「それはないから」
「やれやれね」
「一点あれば勝てるから、私」
「阪神にとってその一点がどれだけ重いかわかってるの?」
「阪神ってそんなに・・・・・・確かに打たないわね」
「それでもピッチャーがいいのね」
「うん、そうよ」
 阪神のことは笑って話した勝恵だった、何はともあれ姉と同じ高校に入ってそこでも頑張るのだった。そして実際に。
 勝恵は野球部に入ってそこで一年生ながらレギュラーになった、流石にエースナンバーの一番はもられなかったが。
 控え、二番手の投手として活躍した。千代子は自分のクラスで妹のその話題をクラスメイト達から聞いてだ。
 腕を組んで唸ってだ、こう言った。
「まさかね」
「一年生で活躍するとか?」
「そう思わなかったのね」
「流石にね」  
 そこまで思わなかったとだ、実際に言うのだった。
「想像していなかったわ」
「千代子ちゃん前に妹さんと同じ高校になること自体がね」
「思わなかったって言ってたわよね」
 クラスメイト達は千代子にこのことも言った。 
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