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ムスタング

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4部分:第四章


第四章

「しかし。フリッツもしぶといな」
「ああ、これだけ爆撃を続けてもまだ降伏しないからな」
「結構以上に派手にやってるけれどな」
「戦闘機もまだまだ来るしな」
 だからだ。護衛戦闘機が必要になっているのだ。
 彼等が出撃するのも当然のことだった。そういうことだった。
 その中でだった。彼等は。
 その目的地であるドイツ本土上空に来た。すると。
 隊長機からだ。通信が入った。
「いいか、来るぞ」
「ですね。ドイツ機がですね」
「来ますね」
「あと高射砲も来る」
 ドイツにあるのは迎撃機だけではない。高射砲もあるのだ。
 戦闘機隊の下には爆撃機達がいる。その彼等を狙うものだが狙われるのは彼等だけではない。
 隊長はだ。このことについても話した。
「ドイツ機を追っている間に下に降りて撃たれるからな」
「ええ、わかってますよそれは」
「いつものことですからね」
「奴等も馬鹿ではないですから」
「そうだ、敵も馬鹿じゃない」
 戦っていればだ。実によくわかることの一つだ。
「だからですね。それには気をつけて」
「敵を迎え撃ちますか」
「奴等を」
「レーダーに反応」
 言ったすぐ傍からだ。報告が来た。
「右から八十、左から六十です」
「んっ、今日は多いな」
「いつもよりも」
 ドイツ機は連合軍、とりわけアメリカ軍よりも数は少ない。国力の差だ。しかもだ。爆撃により国力がさらに落ちていてである。
 ドイツ機も出撃できる数が減っていた。それでもだ。
 今日はだ。その数が多かった。それでだ。
 彼等もだ。警戒した。そのうえでだ。
「さて、また来るかも知れないからな」
「予備を置いて迎え撃つか」
「そうするか」
 こう話してであった。そのうえで。
 戦闘機隊の四割がだ。それぞれだ。
 左右のそのドイツ機に向かう。戦闘がはじまった。
 ムスタング達は上からだ。敵に向かう。
「いいか、このまま最初の一撃を加えてだ」
「そうしてですね」
「それからは」
「二機で一機に向かえ」
 数をだ。ここでも使いだった。
「格闘戦に持ち込むぞ」
「ですね。運動性能でも負けてませんし」
「それなら」
 こうした話をしてだ。そのうえでだ。
 話通りだ。彼等は。
 ドイツ機に上から一機に急降下を仕掛けてだ。それでだ。
 何機か撃墜して。それから。
 二機で一機にだ。仕掛け。
 格闘戦に持ち込む。敵に左右から派手に回転しながらだ。
 攻撃を仕掛ける。その都度だ。
 ドイツ機は撃墜されていく。ドイツの空にパラシュートが次々と広がる。
 そしてだ。戦闘機達に護衛されている爆撃機達は。
「こちら爆撃隊」
「このまま直進する」
 こうだ。その彼等から通信が入りだ。
 そしてだ。どうするかというと。
「爆撃コースに入る」
「予定通りいくぞ」
「ああ、いってくれ」
「この連中を蹴散らしたらそっちに戻るからな」
 戦闘機隊からもこう返される。そうしてだ。
 ドイツ機は退けられてだ。今のところ敵はいなくなった。そうしてだ。
 爆撃隊は予定通り爆撃コースに入る。そのまま。
 爆弾が落とされる。黒い弾丸を思わせる形のものが次々と下に落ちていく。
 そしてだ。眼下の工場群をだ。
 次々と爆発させてだ。燃やしていく。それを見てだ。
 戦闘機隊からもだ。会心の声があがった。
「よし、やったな」
「工場が燃えて爆発していってるな」
「作戦は成功だな」
「後は帰るだけだ」
 彼等はこう言ってだ。そのうえでだ。
 戦闘機の上に展開している。その彼等にだ。
 
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