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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第十七話 不思議な先輩その七

「三年B組ね」
「あれっ、どうしてそのことが」
 わかったのかとだ、裕子さんは驚いて言った。
「まだ言っていないのに」
「わかったから」
「わかったの」
「ええ、その考えが」
「私の考えが読めるの?」
「何となく」
 横から話を聞いていて本当に不思議な言葉だった、超常的というのか。
「私はそうなの」
「人の心が読めるの」
「そうなの」
 その通りだというのだった。
「私は」
「それでなの」
「そう、お父さんが祈祷師で」
 アボリジニーの中でそうなのかな、とだ。僕はエルザ先輩の話を聞いて思った。アボリジニーの人達が自然と共に暮らし不思議な力を持っている人もいると聞いたことがあるからだ。
「私も色々とわかるの」
「人の考えが」
「直感で」
 そうだとだ、エルザさんは僕達に話した。
「わかるの」
「そうなの」
「私はC組ね」
 ぽつりとだ、先輩は自分のことも言った。
「そうなるわね」
「自分のことも」
「ある程度、他の人の考えや未来がわかるの」
「占い師みたいですね」 
 テレサさんも驚いて言う。
「それじゃあ」
「占い師ね」
「はい、そうしたことがわかることは」
「占いもするわ」
 ここでも抑揚のない返事だった、どうもこの人の喋り方はこうらしい。
「そちらも」
「そうですか」
「水晶を使って」
 それで、というのだ。
「それも持って来たわ」
「そういえば」
 ここで僕は詩織さんと一緒に商店街で占い師さんに占ってもらったことを思い出した、もうかなり昔のことに思える。
「僕も昔占われたことがあります」
「女難の相ね」
「そのこともわかるんですね」
「大家さんが自分で言ってるし」
 もう僕が大家であることも知っていた。
「それに顔の相でも」
「顔相も見られるんですか」
「一応は」
 そうだという返事だった。
「だからわかったわ」
「僕やっぱり女難ですか」
「ええ、それもかなりの」
 何か凄いことを言われた、言われた瞬間にそう思った。
「その他にも色々と難が見えるけれど」
「色々とですか」
「大家さん災難が多い」
「そんなに多いんですか!?」
「前途多難」
 一言だけに余計に辛い言葉だった、聞くことが。
「生まれてから」
「ああ、そう言われると」
 ここでも親父を思い出した僕だった。
「わかります」
「お父さんからの因縁」
「因縁なんですね」
「そう、大家さんのお父さんがそもそも因縁を持っていて生まれていて」
 そして、というのだ。
「それを大家さんも受け継いでる」
「受け継ぎたくないです」
 僕はこのことは即刻こう返した。
「いや、本当に」
「やっぱりそうよね」
「悪因縁なんか本当にいいです」
 僕は天理教の言葉も出した、八条家の宗教が天理教だからだ。
「いや、本当に」
「そうね、けれど」
「けれど?」
「悪い因縁も一杯だけれど」
 それでもとだ、エリザさんは僕にこうも言って来た。
「いい因縁も一杯持ってるから」
「白因縁もですね」
 僕はここでまた天理教の言葉を口にした、ついつい言葉に出てしまうのは子供の頃から協会にお参りしているからだろうか。 
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