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ひねくれヒーロー

作者:無花果
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神の存在を立証


神の存在を立証しようとするあらゆる試みは、すでに神に対する冒涜である。
—マッツィーニ—

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神の存在を立証







◇◆◇コン◇◆◇






どうして2年前なんだろう

オレがこちらに来たことで、ソラ達は巻き込まれた?

それともオレが巻き込まれてこっちに来たのか?

いやでもオレを月隠れから逃がしたのはパルコだし・・・なんだ空間のねじれとかいうやつ?

世界がねじれて混じり合ったということだろうか

それなら他の奴らも記憶を持っているのに納得がいく・・・のか?

だがオレより前に先生やシュロ、イカリがこちらに来ているのは・・・どういうことだ?


頭の中で?がゲシュタルト崩壊していく

分からないことが多すぎる

座学の成績が良いからって頭が良いとは限らないんだぞ!

社会に出たら通用しないんだからな!

その点だとシカマルは本当に頭良い奴だ


そんなことを考えつつ火ノ寺での生活は三日目となった


今日も今日とて、サイの助けを求める声が木霊している

ガイ先生からバトンタッチして、シナイちゃんの全速力パンチが唸る!

避けきれずに宙を舞うサイ

空中歩行で浮かんだサイの元まで走り寄り、追撃を行う先生

空中では身動きが取れず、されるがままに墜落していった

・・・受け身取れるようになったのは凄いな

身体能力が良いんだろう


最初のうちはソラが修行をつけることを望んでいたが、吹き飛ばされるサイの姿を見て顔色を変えた

無理はするべきじゃないと言って、今ではオレと共に寺の武術の稽古をしている

守護忍十二士と呼ばれるほどの実力者である、地陸の指導を受けられるのは僥倖だ

流石に観音様みたいなのは呼びだせなかったが・・・アレどういう理屈なんだろうか


チャクラだの仙族の才だの言って誤魔化されたが・・・秘伝技なんだろうな


「ボケッとすんな!!」


ソラの右手がオレの腹部を突こうと襲いかかる

咄嗟に手首を掴んで逸らし、そのまま踏み込んで、勢いよく体を引き寄せ顎に掌底を喰らわせた

まともに食らったソラが怯んだ隙に、腹部に膝蹴りをお見舞いする


「うぐっ」


うめいてしゃがみ込んでしまったソラに、目線を合わせて座り込む


「・・・なんていうか、体格差考えようぜ・・・」


オレの方が小さいのに、どうして態々懐を狙うのか

頭か肩を狙うべきだと思うんだ

腹部を狙ったせいでオレの間合いに自ら飛び込んできた


「・・・お前、本当に体弱いのかよ・・・!?」


「・・・仮面の下は血みどろさ・・・」


嘘つけと吐き捨てられる

失礼な・・・今だって仮面の下にこびり付いた血の匂いで、噎せ返りそうなんだからな

薬を飲み続けるオレを、訝しんだソラに虚弱体質だと説明してから・・・どうも信じて貰えてないようだ

信じてくれたっていいのに


「鶸茶、少し良いか?」


ぼろ雑巾のようになったサイを引きずりながら、先生たちが近寄ってくる

ソラは居ちゃまずいかな

そう思ってソラを立たせ、本堂の方へ背を押した

名残惜しそうにこちらを見ながら本堂へ向かっていき、その姿が見えなくなるまで眺め続けた

・・・行ったな


「・・・まじらず上忍、どうかされましたか?」

「追加人員がこちらに着いた
 お前の考えを聞きたい・・・ついて来てくれ」


サイはガイ先生に預けられ、ボケっとした顔でオレ達を眺めている

オレの考えって、シナイちゃんは何を聞きたいんだろう

寺の中にある物置部屋に辿りつく、1人誰かいるな・・・扉をあける

中にいたのは頭巾タイプの額当てをつけ、モノクルをかけバンダナで口元を覆い隠した怪しさ満点の忍がいた

・・・お前・・・


「あ、こ・・・鶸茶久しぶり!」

「シュロ!?」


ソラに会わせられない追加人員が来やがった!

まぁ座れよと言われ、シュロの隣に座り、続いて先生がオレの隣に座る


「何も横一列に座らなくて良いと思う」

「奇遇だな、私もそう思った」


なら隣に座るな

いそいそとオレ達の目の前に座りなおした先生にどうしたものかと頭を抱えた

でもいつものことだよな、放っておこう


「なんで追加人員シュロなの?」


親指を立てて微笑まれた


「オレ、先生に頼まれてジャシン教調査してたからね
 事務も出来るんだぜ?オレをただの脳筋だと思うなよ!
 
 それで、オレの資料と寺の資料読み比べてみた結果・・・」


脳筋じゃなかったのか

もしくは戦闘狂かと思っていたんだけれど、違ったんだな


「・・・結果?」


先生が低い声で続きを促す

・・・珍しく真面目だ


「やっぱり二年前がカギっぽいですね
 
 あ、鶸茶にも説明するから」


資料渡すだけじゃ説明しきれないのか

しかし・・・


「二年前・・・か」


「ジャシン教は、この二年の間に信者の数が倍増

 国教と言っていいほどの信者数を誇るのは、湯隠れと雨隠れ
 
 ちなみにこのグラフを見て分かるように———
 
 中忍試験後から、火の国におけるジャシン教改宗者が増えている

 また、先生が再不斬から聞き出した話によれば、白が宗教に凝りだしたのは二年前」


手に持った資料の、グラフが乗っている項目に指を置く

・・・改宗者の数が、跳ね上がり過ぎだろう


しかし、あの懐かしい湯隠れがジャシン教信者ばかりになっているのか

恐ろしい・・・ジャシン教のモットーで色々危険だったのに

・・・どうしてここで白の名が出てくるんだ


「・・・おい、白が信仰していたのはジャシン教じゃな「太陽教だったよな?」

 ・・・・そうだ」


オレが、巫子として君臨?していた太陽教

ジャシン教と太陽教は別モンだぞ


「白がこちらで太陽教に凝りだしたのは二年前、すなわち神殿の記憶を持ったのは二年前
 
 ねたみコンがこちらで保護されたのは二年前
 
 湯隠れは暁・飛段の故郷、雨隠れは今は小南が治める地

 火の国における信者が倍増したのは中忍試験後・・・暁の何名かは中忍試験に参加していた

 そして寺からの情報によれば、改宗を迫る男たちの服装は暁の物と一致している」


中忍試験の時に、布教活動してたのかあいつら・・・

だからあんなりあっさりと負けてたのか?

 
「・・・暁とジャシン教が繋がっているってのはよく分かった

 だからどうして・・・白とねたみコンの名が出てくる?」
 

オレは今鶸茶だから、コンと結び付けるような事は言えない

うっかりオレだと言いそうになって困る


「ジャシン教の葬儀のやり方が、前に聞いた太陽教のやり方と同じなんだよ

 その事から、ジャシン教の黒幕は月隠れの、神殿の記憶を持つ奴じゃないかってことだ

 んで、今までの記憶持ちの奴らを考慮すると、同じように二年前にこちらに来たと思われる
 

 ・・・前に、イタチと忍鳥に色々言われたって言ってたよな?

 邪神がパルコ・・・狐だって

 先生は小南と対峙したときに”あの方”という言葉を聞いている

 邪神=パルコ=あの方 で結びつけることが可能じゃね?」


ガリガリとメモ用紙に公式を書き出す

二年前にオレと白がこちらに来て、その時に一緒にパルコも来ていた

てっきり、欠片を遺して死んでしまったのかと思っていたが・・・

イタチの言葉で違うと分かった


「邪神がパルコだって確かに言っていたけれど、でも、暁の黒幕はマダラだろ?」


原作でそうだったんだし


「コンのことを知り、転生者の存在を知り、コンを守ろうとする

 ・・・マダラがそんなことするか?しねえよ、あの野郎は・・・

 まぁ、マダラ本人から聞いたことだけどな」


マダラの名を聞いて先生が立ちあがり掛ける


「どう言うことだシュロ!?」


本当だ

・・・いつ会ったんだよ


「実は寺に来る途中に、デイダラとトビに出くわしましてね・・・
 
 邪神こそが暁に、ジャシン教に君臨しているのだと言われました

 んで、邪神がパルコだと断定すると・・・
 
 コンを守ろうとするのは、自分が死なないようにするための処置じゃないのか」


よく無事だったなシュロ・・・

・・・あぁ・・・

そうなのかも、しれないな・・・


「・・・人柱力を殺せば、封印されている尾獣は・・・死ぬ
 
 だからこそ暁は人柱力を殺さず、生け捕りにしていた・・・」 


オレの腹にはまだ、パルコの尾が、欠片が封印されたまま
 
オレを生かしたのは、哀れみなどではなく、自分が死なないようにするため?

暁に封印されたくなかったから、人柱力であるオレを連れて逃げ出して・・・


「死んじまったら、何にも成りませんからね
 
 コンを守ることによって死を回避し、自分の幸せを作ろうとする

 暁に君臨する事により、身の安全を確保した

 小南がコンに里抜けを促すようなことを言ったのは、手元で守るため・・・
 
 ジャシン教は暁が敵に回った時用の、自分の手駒、なんてな」 


ふと、ペインの言葉を思い出す


———人柱力を探しだし封印し、その集めた力で邪神を降臨させるために・・・———


・・・パルコは、実体を持っていない・・・?

封印されかかった所を逃げ出したから、実体を失ったのか?

今は精神だけの存在で、人柱力であったオレの体を使うことによって実体を得る気なのか?

それが、アイツにとってシアワセな世界だというのか












◇◆◇トビ◇◆◇








「やだなーデイダラ先ぱーい、そんな怒らなくても良いじゃないでスかー」

「お前が止めたせいで、オイラ蜂に刺されたんだぞ!?
 未だに動けねえ!!」

「口は回るみたいで良かったっす!」

「トビィ!!」


・・・懐かしい

木の葉の油女一族の異端児と遭遇するとはな

どうやらオレを倒そうと修行を重ねてきたようだった

あの時オレにあっさりと殺されておいて、怯えもしない

任務を優先して逃げ出したが、あの眼には殺意が込められていた

うずまきクシナを守り切れず、失意のまま死んでいった者の眼とは思えない


・・・あの方に選定されただけある


今回の狙いはまじらずシナイの記憶を持つ男、地陸

だが決して殺してはならないのは、火ノ寺のソラ

他は殺して構わないと言われているが、さて、どうやってこの先輩と共に火ノ寺を襲撃したものか・・・


解毒薬を処方したとはいえ、油女の秘術により毒性を増した蜂毒は、まだ解毒できそうにない


だからと言ってすぐに動けるようになられても困る

デイダラのことだ

動けるようになれば、すぐさま油女シュロを追い掛ける事だろう


巫子と油女シュロ、志村イカリは殺してはならない


巫子が死ねば、あの方は無事では済まないし、油女シュロも志村イカリも必要な人柱


早く油女シュロが移動してくれるのを待つばかり、か———




************************************************



ちょっとずつ邪神の正体がコン達に見えてきたかな・・・


キャラクター紹介はもうちょっと待って下さいねー
 
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