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ひねくれヒーロー

作者:無花果
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竜胆よ貴方に届け

竜胆の花言葉

淋しい愛情、
悲しみにくれているあなたを愛する、
貞淑、勝利、的確、正義感






本当にこれで良かったのか

いくら約束と言えど恨みを糧とする生き方をさせて良いものか


「難儀だのう・・・」


泣き疲れて眠った子供、いや違った、青年を見る

赤く腫れた目蓋が痛々しい

ふと、腹部を見る

弟子である四代目火影が使った封印術と似通った術式

並行世界の九尾・パルコが言ったように、この世界とあちらの術は類似しているようだ



「・・・必要ならば嘘もつくが、本当にこれで良かったのかのう・・・」



瞼を閉じればすぐ思い出せる

決して忘れてはならない記憶、語ることは許されない記憶




——これは取引だ、仙人よ——


——取引、だと?わしにそんなものする必要はないんだがのう——


——僅かながら宿主の記憶は我と同調している
  ゆえに、御主の最期と木の葉の行く末も理解しておる——


息も絶え絶えに笑った九尾

何故そこまで人柱力の助けを求めたのか


——なぁに、毎回声をかけただけで死にかけられると同情もするさ
  ・・・それに、償わねばならぬからな——

炎の卵が解れていく

中にいたのは満身創痍の子供


——何も出来ないと思いつめ、追いこんでしまったのは我が原因
  なればこそ、我が守るべき・・・
  しかし、今となってはもう守ることも出来ぬ
  ・・・せめて、戦う術を、叶うならこの仔の夢であった忍びにしてやってくれ——


子供を見るその目に嘘はない

だが・・・


——・・・九尾、いや、パルコと言ったな
  お前にとってこの子はどのような存在だ?——


目を見開いて空を仰ぎ見る

困ったような、照れたような動きが尾獣とは思えない仕草だった


——どのような存在と言われても・・・はじめは、恨みと哀れみだけで・・・
 しかし、名を貰ってからは・・・成長を、見守りたいと思ったのだ——


これが、尾獣か?

いや、違う

こやつは、親だ紛れもないただの親だ


——・・・貴様の弟子の子を、この世界の人柱力を守りたくば”暁”を探れ
  里を守りたくば、蛇の動向を探ると良い
  詳しいことは、宿主から聞け——


もう長くは持たないと溢し、子供を託される

なんと子供の軽いこと、気絶しているはずなのに重みが感じられない


——あい分かった! 
  この三忍・自来也、御主の命がけの嘆願を聞き届け、必ずや立派な忍びにしてみせよう!——

胸をはって答える

親から子を預かるのだ、自信がなければ心配するだろう


——頼む
 ・・・そして、どうか宿主には伝えんでくれ
  九尾パルコは、ただ憐れんだだけだと、そう伝えてくれ
  宿主が正気を保てるのは、誰かを妬み、恨んでいるときだけなのだ——


・・・一体全体何だというのか、こやつらの関係が理解できん


——それと大切なことを忘れていた
  宿主は今年で18歳、分別のつく年頃だ——


まさに衝撃といっていい位、すさまじい発言だった

こんなに小さいのにか!?

そう叫べばもうパルコは光の粒子となって消えていた















「・・・しかし、パラレルワールドの狐だからパルコとは・・・
 案外安直な奴だの、お前さん」












 
 
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