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ルドガーinD×D (改)

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十八話:適材適所ってよく言うよな?

部長が単騎で相手の本陣に向かった。
アーシアからそう聞いたときは訳が分からず。言葉が出なかった。
一体全体どうして?

『私のせいなんです……私の……』
「何があったんだ? アーシア」

出来るだけ優しい声でアーシアを促す。
するとポツリポツリと話し始めるアーシア。

『相手の『王』が私達の本陣に来たんです』
「相手の『王』が!?」
『はい……』

まさか相手の『王』がこっちの本陣に来ていたなんてな……。
今まで戦ってきたのは全部囮だったのか?
始めから部長狙いで動いていたのか……。
いや、だとしたらなんで部長が相手の本陣に向かっているんだ?
普通に考えれば俺達の本陣で戦うはずだろ。

『相手の『王』は朱乃さんのトラップを破って私達の本陣に来ました。そして、まず私を人質に取ったんです。それで……部長さんに『眷属を傷つけられたくなかったら新校舎屋上で一騎打ちをしろ。それがこのゲームのメインイベントだ』と……』
「そうか……」

相手は確か『レーティングゲーム』の経験者で部長が初心者。
普通に考えれば大した見せ場も無くこちらの負けで終わる。
ゲームと名がつく位だから観客は存在するはずだ。
見せ場が無いゲームは観客にとってはつまらない物だ。
だからこそライザーは恐らく観客が最も盛り上がるであろう。
(キング)』同士の一騎打ちを行おうとしているんだろうな……。
その為に人の大切な者を傷つけて……俺が言えた台詞じゃないけどな。

「アーシアのせいじゃない。部長は俺達が何とかするから心配するなって」
『はい……ありがとうございます』
「それじゃあな」

アーシアとの通信が切れる。
さてと……。

「聞いてたよな。みんな」
「勿論だよ」

つい先ほど敵を倒して手が空いていた祐斗が直ぐに近くに寄ってくる。

「早く行かねえと部長が!!」
「……直ぐに向かいましょう」

慌てたように叫ぶイッセー。
そして戦いを一端切り上げて来た小猫。
その顔には分かり辛いが若干の焦りの色が見える。

『リアス様の『女王』1名、リタイア』

まるで焦る俺達に追い打ちをかけてくるかのように朱乃さんのリタイアが知らされる。
まさか、朱乃さんがな……。それに相手の『女王』は直ぐにここに来るはずだ。

「すぐに部長のところへ向かわないとな……」
「残念ですけど、それを止めるのが私達の役目ですよ。グレモリー眷属の皆様。
 ……まあ、私は戦いませんけど」

ツインロールの金髪の女の子の声に呼応するように構えるライザー眷属達。
というか戦わないってどういうことだ?

「ルドガー。あいつはライザーの妹でレイヴェル・フェニックスって言うらしいぜ。だから戦わないらしい」
「………………妹?」

イッセーの説明に一部分可笑しなところがあった気がするんだけどさ……。
気のせいじゃないよな?

「何と言うか……お疲れ様」
「ええ、本当に」

少し溜息を吐きながら返すレイヴェル。
うん。苦労しているみたいだな。
と、今はそんなことを考えている場合じゃないな。
たった今、相手の『女王』も到着したみたいだしな。

「お前らが部長を守りに行け。……俺は殿を務める」
「そんなことしたらルドガーが!」
「大切な者を失いたいのか!!」

止めようとするイッセーを怒鳴りつける。


「今ここで負けてしまえば部長は二度と帰ってこないんだぞ!!
 大切な者を守る為に他の何かを犠牲にする覚悟をしろ!!!」

「でもよ!――「大切なら、守り抜け、何に代えてでも!」――何に代えてでもって…っ!」

「己の命に…仲間に…他人の大切な者に…世界に代えてでも守り抜け!!」


イッセーはまだ何か言いたそうに口を開く。
しかし、言葉が出てこずに直ぐに閉じて下を向く。
そんなイッセーの肩をポンと祐斗が叩く。
小猫も珍しく心配そうな顔で見ている。

「行こう……僕達で部長を助けるんだ」
「……行きましょう」
「分かった……」

そのまま新校舎の方へと駆け出す三人。

「逃がしませんわよ!」

相手が魔力弾を飛ばしてイッセー達を狙う。
だが俺がそれを許すはずもない。
素早く双銃を創り出して魔力弾を撃ちぬいていく。

「行け、イッセー! “お前が”部長を守り抜いてこい!!」

正直言って、俺が行った方が勝つ確率は高いだろうな。
でも……自分で守ろうとせずに守り抜けるほど世界は優しくない。
だから……その覚悟を見せて見ろ!

「まあ……これが終わったら俺も手助けに行くけどな」

何だかんだ言って俺はお人好しだしな。
少し、笑い浮かべて目の前に迫る大量の魔力弾を眺める。
さっき、イッセー達の方を撃ちぬいている間に迫ってたのか。
……避けれないな。

「避けれないなら、防ぐまでだな。インヴァタ―――っつ!?」

ハンマーに持ち替え水の防御壁を張ろうと振り上げる。
その瞬間背中の傷に今日一番の痛みが走り。一瞬だけ動きが止まってしまう。
一瞬だがその一瞬が命取りだった。


「しまっ―――」


次の瞬間、俺の視界は光の閃光で覆われていった。





Side兵藤一誠

俺達は今、部長の元に行く為に新校舎の中を走っている。
俺は『騎士』に昇格(プロモーション)して走っているが自分の足が重く感じられる。

ちくしょうっ!
俺は…また、仲間を置いて先に進んじまった…っ!
ルドガーが強いからとか俺達が弱いとかそんなのは関係ない。
俺は仲間を見捨てて部長を助けに来てるんだ!!

ちくしょう…ちくしょう…っ! これがルドガーの言う覚悟だって言うのかよ!?
あいつの言っていることがこの場合じゃ正しいってことは頭では分かってる……。
でもよ! 俺は大切な者を守る為に他の何かを犠牲にする覚悟なんて……。
仲間を犠牲にして守るなんてことはしたくねえんだよ!!
他の誰かが傷つくのを見るぐらいならよ……。俺が犠牲になってやるっ!

(なあ…あの焼き鳥をブッ飛ばす力を手に入れるにはどうしたらいい?
 ―――神をも屠るウェルシュドラゴン)

その言葉に俺の中にいる奴がニヤリと笑った雰囲気がする。

(世界の均衡を壊す力が欲しいか?)

(それで“俺が”部長を守れるなら、勿論だ)

(代償がいる……高くつくぞ?)

代償か……俺に払えるものなら何だって構わねえよ。
俺はルドガーみたいに――『大切なら、守り抜け、何に代えてでも』――
他の誰かを犠牲にするような覚悟はできない…。
でもよ……自分の命位なら俺は喜んで差し出すぜ!!

(それで代償は何なんだ?)

(お前の左腕を寄越せ。それで十秒だけ力を手に入れられる)

(左腕か……何だ。それで部長を守れるなら―――安いもんだ!)

その瞬間屋上にたどり着く。
そこには今しがたまで戦っていたと思われるライザーと部長がいた。
ライザーは余裕の表情を浮かべ。部長はボロボロでその反対の表情をしている。

「部長っ!」
「イッセー! 祐斗! それに小猫も!」
「何だ。結局、足止めは出来なかったのか。まあ、こっちの方が盛り上がりは出ていいだろう」

俺達を見て気が抜けたのか。
それまでの疲労が一気に来たのかへたりと倒れ込む部長。
ライザーは余裕の表情を崩さない。
あの野郎、本気で俺達の本気の戦いを見世物にしようとしてやがる…っ!
待ってろ。直ぐにその余裕ぶっこいた顔を殴り飛ばしてやる!

(直ぐに力は使えるのか?)
(悪いが準備に三十秒程いる。何分いきなりだったものでな)
(マジかよ……いや、俺だけじゃないんだ)

俺の隣には仲間がいるんだ。他の仲間が逃がしてくれた仲間が。

「木場。それに小猫ちゃん。三十秒だけ時間を稼いでくれ!」
「何か策が? ……いや、信じるよ」
「……任せてください」
「二人共、ありがとう」

二人に礼を言って俺は部長を守るように傍に行く。
二人共頑張ってくれ。

「何をするか知らんが……。フェニックスの前では無力だと教えてやる」
「それでも僕達は諦めないよ!」

まずは木場が高速でライザーに斬りかかる。
それをライザーは避けようともしない。
木場の剣がライザーの腕を刎ねる。

「今のは重傷だな。まあ…俺がフェニックスでなければだがな」

あっという間に炎から腕が生えてくるライザー。
おいおい、反則だろ。

「分かってはいたけど厳しいね」

苦々しげに呟く木場。

(後、何秒だ?)
(二十秒だ)

くそっ! まだ結構あるな。

「……行きます!」
「中々いい攻撃だ。筋が良い。だが―――炎を殴って無事なのか?」
「……っ!?」

小猫ちゃんがライザーの腹を思いっきり殴る。
だが、ライザーは少し顔をしかめるだけだ。
当然だ。殴られた部分だけが炎に変わっているんだから。
反対に殴った小猫ちゃんの方が苦悶の表情を浮かべている。

「今度はこっちからいくぞ」
「……つっ!!? ……イッセー先輩後は…お願いします」

ライザーが手に炎を灯して小猫ちゃんにぶつける。
業火が小猫ちゃんを焼き尽くす。

『リアス様の『戦車』一名、リタイア』

「小猫!!」

小猫ちゃんがリタイアし。消耗している部長は動けないままに悲鳴を上げる。
ごめん…小猫ちゃん。すいません、部長。

(後、十秒だ)

早く! 早く時間がたてよ!!

「そろそろ、諦めたらどうだ? リアス」
「させないよ!」
「リアスの『騎士』か。お前も、もう諦めろ。これはグレモリー家。フェニックス家。ひいては悪魔の未来の為なんだぞ?」

動けない部長に止めを刺すために巨大な火球を作りだすライザー。
それを止めるためにライザーの前に立つ祐斗。
そして、一気に斬りこんでいく。

「邪魔だ」

ただ、それだけ言い放ち木場ごとのみ込む火球を放つライザー。
あいつの『騎士』の速さなら避けれる。
でもそれをせずに祐斗は少しでも威力下げるために。部長を守る為に全身で受け止める。

「後は任せたよ。イッセー君」
「祐斗っ!?」

『リアス様の『騎士』一名、リタイア』

部長の悲鳴が再び響く。悪いな…木場。
後は―――任せろ!

「後はお前達二人だけだ。早いところ諦めろ」

「うるせえ! 俺は絶対に―――諦めねえ!!」

ライザーの言葉にそう言い返す。
そろそろのはずだ。


(三十秒経過した。契約は―――成立だ)


―――来たっ!


(いくぜ! “ドライグ”!!)

(くっくっく。ああ、いいだろう“相棒”!!)


―――――――禁手化(バランス・ブレイク)!!


Welsh Dragon Over booster(ウェルシュドラゴン・オーバー・ブースター)!!!!』


その言葉が終わるか終わらないかで俺は大きく踏み出す。
そしてライザーの出した火球を殴って吹き飛ばす。

「馬鹿な! なぜ、俺のフェニックスの炎が―――っ!? ま、まさかその姿は!?」

炎が晴れていきゆっくりと俺の体が露わになる。
全身を赤い鎧で覆われた姿―――『赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケアメイル)

禁手(バランス・ブレイカー)、禁じられし外法。文字通り世界のバランスをぶっ壊しちまうほどの改変をもたらす力らしいぜ」

(代償でなっているぶん、不完全ではあるがな。まあ、そこのフェニックスの小僧を倒す位なら出来るだろう)
(それが出来るなら十分だ)

部長を守れる力があればそれでいいんだ。

「馬鹿な…たった十日間で禁手に至るなど――ッ!? まさかその左腕!
 なぜだ! なぜ、そうまでしてお前達は諦めない!?」

どうやらライザーは俺が左腕を犠牲にしたことを気づいたみたいだな。
それにしてもどうして諦めないかか……簡単だ!



「諦めが悪いのが俺の―――強さだからだ!!」



X(テン)


籠手から鳴り響くカウントを背にして。
俺は驚愕の表情を浮かべているライザーに突っ込んでいく。
そしてそのムカつく顔を殴り飛ばす。

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!』

「おらぁっ!!」
「グハッ!? 血? 馬鹿な。フェニックスである俺が血など!」

自分が血を吐き出したことに驚愕の表情を浮かべるライザー。
その姿を笑ってやりたいけどあいにくこっちには時間が無えんだよ!

(ナイン)

「これは朱乃さん分!」
「ガッ!?」

朱乃さんの想いを込めて左腕でライザーの腹を抉る。

(エイト)

「次はアーシアの分!」
「ゴフッ!!?」

アーシアの無念をライザーの鳩尾に叩きこむ。
ライザーの吐き出した血が鎧にかかる。でもそんなことを気にする暇はない。

(セブン)

「お次は小猫ちゃんの分だ!」
「ゴハァッ!!?」

次は小猫ちゃんの無念を…頑張りを込めて。
ライザーの顔面を連続で殴りつける。

(シックス)

「それでこれは木場の分!!」
「っ、おのれ! 不死鳥の業火に焼かれろ!」

ようやく反撃に出たライザー。
俺の体を炎が焼く。熱いけど…痛いけど…効かねえ!
そのまま突き進み。部長の為にその身を犠牲にした。
木場の想いを込めてライザーを叩き伏せる。

(ファイブ)

「ルドガーの分だ!!」
「ゴガッ!?」

俺達の為に相手を引きつけてくれているルドガー。
あいつへの感謝を込めてライザーを蹴り飛ばす。
そのままあいつの元へと寄って行く。
するとあいつは怯える様に後退りを始めた。

(フォー)


「お前は、分かっているのか!? これは悪魔の、両一族にとって大切な事なんだぞ…っ!
 いい加減、下級悪魔のお前は諦めろよ!」

「……知るかよ。俺はただ部長が笑ってくれさえいればそれでいいんだよ。
 だから―――部長の笑顔を奪うお前が許せないんだよおおおおっ!!」

「イッセー……あなた」

部長の声が聞こえる。後、少しです。
後、ちょっとで部長が本当に笑える日が来るんです。
だから、もう少しだけ待っていてください。

(スリー)

もう、これで終わらせる。
残り全て持っていけ!


「これで終わりだああああああっっ!!!」


ライザーの心臓目掛けて左腕を叩きこむ。
これが俺の残り全ての力だ!!


「ギャアアアアアッ!!?」


俺の左腕は奴の胸にのめり込み心臓を貫く。
これで……これで終わってくれ!
俺は左腕を心臓から引き抜き。そのままその場に崩れ落ちる。
はは……体が全然動かねえや。
でも、これで終わっ―――




「……俺は……俺は―――フェニックスなんだあああああああっっ!!!」




ゴウッと炎を無茶苦茶に上げるライザー。
マジかよ。何であれだけやって立てるんだよ!?

「俺は…フェニックスだ! 俺はフェニックスだああああああっっ!!」

虚ろな表情で『フェニックス』と叫び続けるライザー。
もう、正気じゃねえよ。ただ、フェニックスと言うプライドで立ってるだけだ。
これ普通なら強制リタイヤだろ。
だけどあいつは……フェニックスなんだ。炎の中から復活する。

「グウウッ! ………はあ、はあ。まさか、俺をここまで追い込むとはな。お前は危険すぎる!」

「ガアッ!!?」

フェニックスの特性のおかげか正気に戻ったライザー。
そして、若干の怯えを残した表情のまま俺の両手両足をへし折った。
ちくしょうっ! 痛えっ!

「これでお前は何も出来まい。そこでリアスが俺にやられる様を見ていろ」
「部長っ!!」
「ごめんなさい…イッセー。……みんな」

動けない部長と動けない俺。
くそっ! もう、諦めるしかないって言うのかよ……。
ライザーが巨大な炎を作り始める。
流石に俺にやられた傷が全て癒えたわけじゃないらしい。
酷くゆっくりなのがその証拠だ。

「さあ、これで今度こそ終わりだ!」

ライザーが部長に向けてゆっくりと炎を放とうとする。
ここで終わっちまうのか……。
こんな終わり方は嫌だけどよ…。両手両足が折れてるんだ。
何が出来るんだよ――『お前は弱いんだ。全部諦めてただ見ていればいい』――

あいつの言葉がフッと頭に浮かび上がる。
そうだ……。俺はあいつになんて言い返したんだ?



――『出来る出来ないじゃねえ!! やるかやらないかだ!!!』――



ああ…そうだった。出来る出来ないじゃない―――やるかやらないかだ!!
完全に部長に目が行っているライザーに芋虫のように這って近づく。
両手両足が使えないじゃない。まだ口が使える!

「つっ! こいつ俺の足に噛みついているのか!? 邪魔だ!」
「グアッ!?」

ライザーの足に噛みついて攻撃する。それに驚いたライザーが攻撃を一端やめる。
でも、直ぐに蹴り飛ばされちまう。歯が何本か折れたな……。

「無駄なあがきをする。お前がやった行動はほんの少しリアスの敗北を遅れさせただけだ」

今度こそ止め刺すために巨大な炎を放つライザー。

「終わりだ、リアス! 悪魔の、両家の繁栄の為の“礎”となれ!!」

「これで……私達の負けね」

「部長おおおおおおっっ!!!」



部長が業火に包まれていくその瞬間―――屋上に飛び上がって来た奴がいた。



「うおおおおおおおおっっ!!」



雄叫びが上がると共に胡散していく炎。
そこにいたのは部長と
―――黒をベースに金色のラインが入った巨大な槍を振るう男だった。

「イッセー。お前のおかげだ。お前が諦めずにほんの少し部長の敗北を遅れさせたことで俺が間に合った」
「ルドガー……なのか?」
「ああ」

そう頷き返すルドガーはいつもとは違っていた。
肌は白く染まり、手は黒い籠手のようになっていた。
いや、あれは腕自体が変わっているのか?

それにしてもあいつの上着は物の見事に破けてんな。
そのせいで傷が丸見えになってる。
多分俺達が行った後にまた攻撃を食らったんだろうな。

「ルドガーその姿は何なの?」
「……本当は使うつもりはなかったんですけどね。飛び上がらないと間に合いそうにないんで使いました」
「飛び上がったって……まさか、地面からここまでジャンプしたの!?」
「はい」

マジかよ!? いくらあいつが人間離れしてるとは言ってもそこまでかよ!
てか、あいつでもそんなことは出来なかっただろ。
もしかしてあの姿はパワーアップした姿なのか?

「って、その姿の答えになってないわよ!」
「それは後でお願いします。今は……」

そう言ってライザーを睨みつけるルドガー。
その視線の強さに思わず後ずさるライザー。

「何の力を使っているかは知らないが人間がフェニックスに勝てると思うな!」

そう、自分を奮い立たせるように叫ぶライザー。
一方のルドガーはそれを冷静に見つめるだけだった。

「ライザー・フェニックスだったか? お前は“一族”とかで選択をしようとかさせようとかすることをどう思う?」

「何だと? ……一族である以上はそれに従うのが当たり前だ! だからこそ、俺はリアスと結婚するんだ!!」

「そうか……」

ライザーの返答にそれだけ呟くルドガー。
そして、再びライザーを睨みつける。

「やっぱり俺はお前みたい奴が―――気に入らない」

放たれた言葉は今まで聞いたどの言葉よりも冷たかった。
部長もライザーもその余りの冷たさに言葉を失っている。

「お前が一族を重視するなら……俺も“一族の力”でもってお前を倒してやる」

槍を構え、ライザーに突き付けるルドガー。
一族の力? もしかしてあの姿のことか?

「心配するな。お前如きに全力は出さない。……クォーターでも十分すぎる」

「フェニックスを舐めるなああああああああっっ!!!」

ライザーの叫びのせいで最後の部分が聞き取れなかった。
それにしてもいくら俺が弱らせたと言ってもそう簡単に勝てるのか?
そういった意味を込めた視線を送るとゾッとするような微笑みと共に返事が返って来た。



「待っていろ。直ぐに―――終わらせる」



そう言った瞬間、既に俺の視界からルドガーは消えていた。
 
 

 
後書き
レーティングゲームは三話で終わると言ったな?
あれは一話伸びたのだ。

それと一誠が少し原作と違うのはルドガーにあった影響だと思ってください。 
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