| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

剣の世界で拳を振るう

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

ALO
  妖精の世界

「頼む。手伝ってくれ!」

開口一番。
桐ヶ谷和人が家へと押し掛け、俺に向かって土下座をかました。

「これなんだが…」

そう言って和人が取り出したのは一つのパッケージ。

「……アスナか」

「何かしってるのかっ!?」

俺がそう呟けば和人が掴みかかって揺すってくる。

「茅……親父から聞いた話だ。
SAOから帰還していないプレイヤーが300人程いるってな。
その中にアスナも含まれていると言う話だ」

「そうか…茅場から…」

俺は結婚の選択を了承した。
その後、1ヶ月以内に式を上げ、母さんと茅場は結婚した。
茅場は婿養子として、名字を『片桐』に変え、今は同じ家に住んでいる。

「そうか!茅場なら何とか出来ないのか!?」

「親父は国からしばらくの間プログラム機器に触れることを禁じられている。
監視のおまけ付きでな」

帰還して直ぐに無実証明を行ったのだが、肝心の証拠は何処にもなく、
北見の姿も確認出来なかったらしい。
結果、茅場の無実証明の有無と北見の失踪が相殺を起こしてお縄につくことは無かったのは幸いだったのだろう。

「…そうか」

「落ち込むな。それで、これがどうかしたのか?」

知ってはいるが、一応聞かなくては怪しまれる。

「エギルから聞いた話だ。
この中にアスナが捕らえられている」

そう言って一枚の写真を取り出す和人。
確かにそこにはアスナと同じ顔の人が写っていた。

「だから…「デバイスはナーヴギアで良いんだよな」…え?あ、あぁ」

「何してんだよ。お前も準備してこい」

「拳士……サンキュー!」

そう言って数とは走っていく。
ドタドタと家の階段を掛け下りる音がし、終わりごろに”バタンッ”と音が聞こえ、
その後にドアが開く音が聞こえた。

「……あいつ転びやがったな」

俺はそう呟いてナーヴギアを装着する。

「母さん!親父!人命救助に行ってくる!」

俺は下に居るであろう二人に声を掛け、母さんの『はーい』と言う返事を聞いてベッドに寝ころぶ。

「リンク・スタート!」

そして俺の意識は約2か月ぶりに電脳世界へと飛んだのだった。











やはりチュートリアルのようなものは何処にでもある。
こじんまりした空間でアナウンスに従う。

『ようこそ、アルヴヘイム・オンラインへ。
先ず初めは種族を選んでください』

ん、ここは原作同様か。
まぁこのフェアリィ・ダンスを終わらせれば俺は原作を気にせずにやっていけるわけだし、
頑張るとしますか。

んーと?サラマンダー、ノーム、シルフ、ウンディーネ、ケットシー、レプラコーン、スプリガンね…。
ならウンディーネを選ぼうかね。水中戦闘できた方が良いだろうし。

『選択を受け付けました。
次に名前を選択してください』

今度は名前ね。
まぁ簡単にはKen……と。

『受け付けました。
それではウンディーネ領へとお送りいたします』

はいはいどうも~。

俺は光に包まれてその場から消えた。






「――で、紐無しバンジーですか…」

気が付くと俺は空へと投げ出され、結構な速度で落下していた。
やっぱりナーヴギアだとこうなっちゃうか。
えーっと、確か背中に羽の骨があることを想定して……んむむむむ……!

「あぁ、無理だ」

”ガサガサバキメキィ!……ドスンッ!”

「痛ったぁ……!ぐぉぉ……痛ったぁ…!」

空中ダイブは初めてじゃないものの、初心者の分際で羽を出そうとしたのが失敗でした。

「………やっぱり森か」

俺は辺りを見回して、地形の確認をする。
原作のキリトも森に墜落してからスタートしていた筈だし、取り合えず探索しようかね?

「よっこらせっと」

俺は立ち上がって歩き出す

「何なのよあんたたちは!」

――ところでそんな声が聞こえてきた。
そちらへと歩いていくと、やはりと言うか金髪巨乳のシルフが、3人のサラマンダーに囲まれていた。

「あれま、修羅場に出くわしたパターンのやつだ」

俺は木上に登って様子を見る。
そしてその突如、上空から何かが落ちてきてシルフの横に落ちる。

「ぐおあっ!?」

頭から地面に激突したスプリガンのプレイヤーは、痛がりながらも起き上がり、周りを見渡した。
間違いなくキリトだと確信して、俺は傍観にてっする。

「女の子を3人がかりで襲うのはカッコ悪いなぁ」

お前の登場も十二分にカッコ悪いぞ。

「あの人たちは斬っても良いのかな?」

「え?良いんじゃないかしら?少なくとも先方はそのつもりみたいだし」

「んじゃ、遠慮なく…!」

あぁあ。油断してるからやられるんだぞサラマンダー。
大体今の状態はSAOからの引き継ぎ状態なんだから気軽に上げたステータスで命がけのステータスに勝てるわけが無いだろ…。

キリトは一瞬で二人を撃破し、残りの1人に剣を向けて問いかける。

「どうする?あんたも戦う?」

「いや、やめておこう。もうちょっとで魔法スキルが900なんだ」

「正直な人だな。そちらのお姉さんは?」

「あたしもいいわ」

そしてサラマンダー男は帰っていった。
そして流れる安堵の雰囲気。しかしそこで、キリトの胸ポケットから変な妖精みたいなのが出てきた。

「パパ!まだ戦闘は終わってません!彼処にプレイヤーがいます!」

そう言ってその小さな妖精が俺のいる場所を指差した。

「(良くわかるよな…AIだからか?」

取り合えず俺は襲われたら面倒なので別の木に移動して場が収まるのを待つことに

「あっちの木に移動しました!」

――出来なかった。
何なのあの子!俺の隠蔽カンストしてる筈なんだけど!

キリトはそうでも無いのだが、シルフの女性は敵意剥き出し。
明らかに俺を見つければ斬りかかって来ること間違いない。

「ふっ!ほっ!」

茂み、木上、岩の影。
あらゆる所に身を隠すのだが…

「あそこです!」
「今度は彼処に!」
「岩の影です!」

と、簡単に見つかってしまう。
そしてとうとう行き止まりにありつき、正面から二人の影が近づく。

「なんなんだお前は…」

キリトは俺に対してそう言うが、やはりシルフの女性は切りかかってきた。

「はあぁ!」

「はいドーン!」

上段に構えられたシルフの剣を白羽取りで掴み、その勢いで地面に寝かす。
そして顔面の横に拳を振り下ろして牽制を図った。

「相手に挑む際には良く観察してからだ。
んでもって武道と武術の違いを考えろよ?」

俺は拳を引いて立ち上がる。
手を払ってキリトを見れば…

「おっとぉ…ヤル気満々ですかそうですか」

キリトは剣を抜いて俺に向けていた。

「やれやれ、少し見てやるよ。こい」

俺は手を前に出してチョイチョイと挑発する。

「はあっ!」

キリトは飛び出して俺に向かって走り出す。

「はぁっ!ふっ!せいっ!」

「そんな大振りで当たるわけ無いだろが!
もっと小刻みに振れ!」

俺は腰の剣を抜いてキリトの剣を弾き、言った通りに振り回す。
キリトは最初こそ避けていたものの、だんだん避けられなくなって次第に辺り出す。

「うっあ!」

後退時に物につまづき、尻餅をつくキリト。

「隙が出来たら大振りでぇ!――――」

俺は大きく振りかぶり、キリトの首筋で剣を止めた。

「止めを指す。わかったな」

「はあっ、はぁっ…ケンだったのかよ……脅かすなよ」

キリトは俺の手を掴んで立ち上がり、シルフの女性を助け起こす。

「ケンって……拳士さん…?」

「おう。そういう君は、直葉ちゃんでオーケー?」

俺を見て驚いた表情をするシルフ。
やっぱり直葉ちゃんだった。

「スグ…なのか?」

「やっぱりお兄ちゃんだったんだ…」

桐ヶ谷 直葉。
桐ヶ谷 和人の義妹で俺のお隣さんの一人。
やっぱり知り合ったのは挨拶に行ったときで、それ以降の関わりは余りない。

「ともあれこんなところで立ち話も何だし、近くの町で話さないか?」

「…そうだな」

「うん」

こうして俺たちは次の町へと向かうことになった。
その行程でキリトが羽のだしかた等をシルフ…リーファから教えてもらい、
その強引なレクチャーで地獄を見たことをここに記す。




 
 

 
後書き
マザーズ・ロザリオを見てマジなきしました。
アニメで泣いたのは『あの花』以来なので久しぶりです。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧