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リメイク版FF3・短編集

作者:風亜
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貴女の胸にいだかれて・2

 
前書き
サラ姫から敬語禁止令中のイングズが、新たな同行者デッシュと何故か私闘する事になり─────
視点、レフィア。 

 
「くうッ、お近づきになろうとする度邪魔しおってからに……! こうなればイングズよ、サラ姫さんの"お胸"を賭けて……俺と尋常に勝負しろッ!」


「 サラのお胸────を賭けて、どうすると云うんだ」

「決まってるだろう! 勝った方は姫さんの豊満なお胸をスキに出来るというご褒美を……!!」

「ちょおっと待ったぁデッシュ! その勝負、おれも乗った! アルクゥもやるよな!?」

「えぇ?! ちょっとルーネス、勝手な事云わないでよ……っ」


 な~に始めようとしてるんだか、スケベ男共ったら。

「ノンノン……これは私闘ってヤツだ、他の野郎の参加は認めんぜ!」

「 ────サラを貴様の好きにさせるものかッ!」

 あらら……デッシュとイングズ、今にも決闘始めちゃいそうだわ。


「ちょっと貴方達……、私の許可も取らずに勝手な事しないでくれるかしら」

「そんな事云って、満更でもないんでしょサラ?」

「レフィアったら、茶化さないで頂戴!……いいわ、やって貰おうじゃない。"私を"賭けて、勝負しなさい二人共!」

 やっぱり女としては、そうして貰いたいわよねぇ? それじゃ、あたしはちょっとした指摘をしてやろうかしら。

「サラの許可、出た訳だけどイングズ……あなたジョブの力使わずに"すっぴん"で挑むべきじゃない?」

「おぉレフィア、俺にハンデをくれようってのか! だがそれには及ばない……、寧ろこっちがハンデをくれてやるさ。ただの一兵士じゃ、それなりの修羅場を潜って来た人生の先輩たる俺様の足元にも及ぶまいッ!」

「デッシュ……あなた記憶失ってるんじゃなかったの?」

「頭で憶えていなくとも、俺の身体は戦い方を憶えている! 相手がモンスターだろうが美女だろうとな……!!」

 デッシュの場合、美女との修羅場の方が多そうだわね。

「ハンデなど要らない、サスーンの一兵士として挑ませて貰う」

 そう云ってイングズの身体が白い光に一瞬包まれると、戦士からすっぴんの姿になった。……サラにいいとこ見せたいでしょうからねぇ。

「イングズも何だかんだ云って、サラの胸に飛び込みたいんだな~?」

「そ、そういう云い方やめなよルーネス……」

「気を遣わなくていいのよアルクゥ。私から誘っても彼、何かと理由つけて逃げてたもの。……いい機会だわ」


 サラが不敵な笑みを浮かべてるのは、気のせいじゃないみたいね。

デッシュは黒魔法使えるし、イングズもすっぴんとは云えLv1の魔法を使えるけど、それは一切無しの互いに剣一本の真剣勝負。

……修羅場潜って来たとか云ってただけあって、と云うか一応年上だしデッシュの剣捌きは中々のもんね。

城の兵士として日々鍛練して来たイングズの剣筋も、侮れないわ。

────けど、大人びて見えてもさすがにイングズだってまだ成長過程な訳だし、デッシュはある意味大人の嗜み的に出来上がってるみたいだから強いわね。

 剣撃が小気味良く響き渡る中、イングズはデッシュに押されてるわ……て云うか、遊ばれてる?


「そらそらどーした、お前の姫さんに対する気持ちはそんなもんかぁ!? 勝負は俺が貰ったも同然だなッ!」

「く、戯れ言を……ッ」


「負けんなよイングズーー! デッシュにサラの胸渡しちまったら、戻って来なくなるかもだぞーー!!」


 あ、ルーネスがイングズを応援────て云うより煽ってる。


「 ッ! サラの胸は、守ってみせる!!」


キイィン─────


 あっ、押されてたイングズが、デッシュの手元から剣を弾き飛ばした……!? 勝負、あったかしらっ。

「ほっほう、やあるねぇ……? だがこちとら、剣無くしても拳が残ってるってぇもんよッ!!」


 すかさずデッシュが強烈なアッパーでイングズをノックアウト………? 仰向けに倒れて、動かなくなっちゃった。

何て事かしら………これでサラの胸は、デッシュに──────






『 ……なぁんか、急にサラ姫みたく巨乳なっちゃってさぁ』


 何だ、これは……何が、どうなってる??


目の前の、薄着のシーフ姿のルーネスの胸元が、はち切れんばかりに膨らんでいるッ。


『ほらぁ、スキなだけ飛び込んで来いよぉ。したかったんだろぉ?』


 そんな訳、無いだろう────せ、迫って来るな……ッ!?

怪しげな笑みと共に袋小路的な壁まで追いやられ、ぐいぐい巨乳に圧迫されて、息がッ──────



「 ふはッ!?」

「 ………大丈夫? 随分魘されていたけれど」

「なッ、巨乳……?!」


 自分の目線のすぐ上には、こんもり丸々とした球体が二つ ─────

その間から辛うじて覗くのは、こちらを心配そうに見つめる存在………


「目が覚めるなり私の事を巨乳呼ばわりするなんて……、貴方もついに目覚めちゃったの? ここ、エンタープライズの船内よ」

 怪訝そうに云われ、自分はようやくサラ姫様に膝枕されている事に気付く。

────何て事だッ、すぐに起き上がらなければ……?!


ぼふっ


「きゃっ! やだ、急に起き上がらないでイングズ……!」

 しまッ、顔面にもろに柔らかいものに当たってしまったッ。土下座して謝罪せずにはいられない……!!

「申し訳ありません! 他意は無く……ッ」

「い、いいのよ別に。もう少し私の膝の上で寝ていても」

「滅相も、ございません! ………? そういえば自分は、何故──── 」


「覚えてないのかよイングズ、デッシュと私闘して思いっきり負けたクセに?」

 ん? 近くにシーフ姿のルーネスが────巨乳化、してはいないな。やはり夢だったか、良かった………いや、良くないッ!

デッシュに負けたと云う事は、サラ姫様の"お胸"は、既にデッシュに……?!


「心配無いわよイングズ、デッシュならあたしが暫く動けないようにして、サラの胸は守っておいたから」

 ふと、白魔のアルクゥを伴った赤魔のレフィアが現れ、事もなげに云う。

「どこかその辺に置き去りにして来たけど、あのスケベ男なら勝手に復活するでしょ」

「レフィア………剣と魔法の赤魔のジョブで、容赦なくデッシュを屠ってたよ……っ」

 それを見届けたらしいアルクゥは、レフィアの後ろで戦々恐々としている。……なら一先ず安心だが、自分とした事が何て体たらくだッ。

「誠に、申し訳ありませんサラ姫様……。すっぴんでデッシュに負けるようでは、自分はまだまだ未熟──── 」

「ほら、また敬語に戻ってる。……それは禁止って云ったでしょう?」

「し、しかし…… 」

「痺れたわ、あの言葉────私の事を、守ってみせるって」

「いやいや、それ確か『サラの胸は守ってみせる!!』……だったぜ?」

 ぐ……ッ、確かにそう云ったが、そこで茶化すなルーネス。実際、姫様の胸を守ったのはレフィアだからな………


「私自身と、私の胸────どっちが大事なの、貴方にとって」

「は? いや、何と云うか………どちらも自分にとって、なくてはならない守るべき掛け替えのない存在ですッ!」


 ────む? 自分で云っておいて何だが、これは正しいのか??

「あぁイングズ、やっぱり貴方って……!!」

 ふがッ……?! 胸が迫っ……、圧迫され……ッ、あの夢は、正夢ッ────!?


「あ~、デッシュに負けたクセして顔胸に埋もれてやんの。ずりぃ~」

「あたしもいつか────あれくらいになって見せる……!!」


「 無理だなっ! 」

「 ─────── 」

「ぎゃはぁ?! 魔法と剣の二刀流かますなぁーーっっ!?」


「はぁ……、僕が後でまたルーネスを回復しといてあげないと────あ、イングズもかな。……窒息しそうだし」
 
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