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剣の世界で拳を振るう

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帰還と戦闘

 
前書き
感想に辛口なことが多いですが、とてもためになることばかりです。
自己満足な感覚で書いていますが、修正する点も見つかったりと助かっています。
これからもよろしくお願いします!
あとあけおめ。 

 
現実世界。

「んじゃ、行ってくるよ」

「気を付けてね…」

俺はベッドに横になり、ナーヴギアを装着する。
作業を開始したその四日後に俺のナーヴギアは改良と改造を加え、
微弱ながらのIDを取り入れた。
アインクラッドのメインシステムであるカーディナルには遠く及ばないものの、一つの設定を追加することが出来たのは万々歳だった。

「リンク・スタート!」

俺はお馴染みな台詞で仮想世界へと向かった。


















その頃、SAOでは攻略が進められていた。
今は第77層の攻略最中で、そのフロアのボスの<アイシクル・ザ・ディープブラッド>と言う、巨大ながらも人に近い姿のボスと戦闘中である。
その腰にある無数の触手が攻撃方法の様で、既に二人のプレイヤーが命を散らせていた。

「下がれ!スイッチ!」

キリトは前にいたプレイヤーに指示をだし、その手に持つ二本の剣でディープブラッドを切り裂く。

「触手が来るぞ!下がれ!」

「ブロック隊は前へ!」

アスナとヒースクリフが待機していた盾持ちに合図を促し、その後ろへと下がる。

『アアアアアアアアア!』

横凪ぎに振るわれた触手が盾持ちに叩きつけられる。
何とかこらえるも、2撃目に振るわれた触手によって吹き飛ばされてしまった。
幸い死亡はしなかったものの、体制が崩され、後ろにいたプレイヤーが丸見えの状態になってしまう。

「全員離れろぉ!」

キリトは叫ぶ。
こんなときケンが居たらと心で思いながら。
あと数分後にその願望が叶うと知らずに。













「…ふう。さて…キリトは…へ?77層?」

おいおい、俺が居なくなってまだ四日だぞ…。
どんなペースで攻略進めたんだよあいつらは…。

帰ってきた俺は、全プレイヤーの出発地点である始まりの町で項垂れた。

「取り合えず追跡して……転移《アーガス》!」

俺はキリトを追跡モードに切り替えて、77層の町へと向かった。













「ヤバイ!パターンが変わった!」

ディープブラッドのHPがレッドゾーンへと突入したことを兆しに、触手が全て地面に突き刺される。
姿勢を低くしたディープブラッドは背中から他の触手とは比にならない程の太い触手が生えて、
それを振り回し始めた。

「これじゃ近づけないわ!」

「ヒースクリフ!どうにか出来ないのか!」

「無理だ!タイミングも不安定で帰って危険になっている!」

振り回される触手になす術を持たないプレイヤー達は、
触手が届かない位置まで遠ざかってディープブラッドを見る。

「一か八かで武器を投げるか?」

エギルがそんな提案を持ちかけるが当然却下。

「見たところ横凪ぎにしか振られてねぇみてぇだし、上から攻撃するとか?」

次に提案したのはクラインだった。

「そんな土壇場で上手く行くわけが……まてよ?
確か一層の時にケンが……」

「「ああ!」」

キリトは第一層でケンがエギルと共闘して見せたあの連携を思い出す。
それに釣られるようにアスナとエギルが声を出した。

「待ってくれ。それを実践するならバランスが必要になるだろう。
ケン君ならいざ知らず、他のものがそれ相応に成し遂げられるかが不安要素だ」

ヒースクリフが作戦に待ったをかける。

「でもやるしかない。
だから…俺がいく」

キリトが胸にてを当てて立候補した。

「……チャンスは一度…失敗はそのまま死を意味する。
それでもやるかね?」

「ああ。それしか道はない。エギル」

「…ああ。やるぞ」

真剣な顔つきでキリトとエギルは互いに指定の位置へと歩く。
エギルは触手が届くギリギリをポイントにし、武器を構えてキリトを待った。

「行くぞおおおお!」

キリトは走りだし、エギルの手前に降り立つように跳躍した。
エギルはキリトの足の裏を叩き上げるように武器をふり、キリトを打ち上げる。

「っ!キリト君!」

「不味い!」

「キリトぉぉお!」

結果は失敗。
触手が回る中心点より1m程の右にずれてしまい、このまま落ちれば触手の餌食になってしまう。

「いやぁぁ!」

アスナはキリトを助けようと飛び出そうとしたが、隣にいたクラインに止められた。

「ダメだ!アスナさんまで死ん「エギーール!」な、なんだぁ!?」

死んじまう。
クラインがそう良いかけたとき、彼の横を素早く通りすぎて行った者がいた。
その声に呼ばれたエギルは、走ってきた人物に驚くものの、瞬時に理解して武器を構えた。
そして――

「「いっけぇぇぇえ!!」」

エギルは一気に振り上げ、駆けつけたプレイヤーを打ち上げた。









「キリトぉぉお!」

エギルに打ち上げられた俺は一直線にキリトへと向かっていき、空中でキャッチすることに成功する。

「ケン…!?」

「決めるぞキリト!」

「ぇあ…了解!」

俺とキリトは空中で手を取り合い、俺はキリトを回転する触手の中心、ディープブラッドの本体へとぶん投げた。

「うおおおお!」

キリトは飛びながら剣を構え、ディープブラッドの触手を切り裂いた。

「キリト!スイッチ!」

俺はそう言いながら、打ち上げの勢いで壁まで到達したことを利用し、
壁を蹴ってディープブラッドへと突貫する。

「受けろ奥義!鳳凰天駆!」

その言葉と共に、俺の繰り出した右足は赤く光だし、炎を纏うかのようにエフェクトが掛かる。

「うぅらぁあ!」

動きの止まった触手ごとディープブラッドを押し潰し、追撃に拳を叩き込んだ。

「総員突撃!」

ヒースクリフは即座に号令を出し、その号令によってプレイヤー達が群がるようにディープブラッドを攻撃し始める。
ディープブラッドは動くことが出来ないのか、なされるがままにHPを全損させ、ポリゴンの欠片となって弾け飛んだのだった。


















「――で、説明してくれるんだよな?」

場所は変わってキリトとアスナのホーム。
原作同様に22層の森林地区にあるコテージを購入したようで、結婚をした二人は俺をこの場所へと呼び出した。
今居るのは俺を含めた主要人物全員である。
まぁシリカとリズベットは居ないが。……だって会ったことないんだもん。

まぁそんなわけで、78層のアクティベートは他のプレイヤーに任せ、俺は此処へと拉致されたのだった。

「説明と言いますと……?」

俺は全員に囲まれる形で正座して、ビクビクしながら聞き返した。

「全部だよ。あのメールに始まってから今までのこと全部だ」

…どうやら俺は今日、眠れそうにないようだ。 
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