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子猫のトムのお話

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第二章

「お兄ちゃんがお掃除なんてね」
「珍しいよね」
「うん、そんなこと全然しないのに」
「こんなことするなんてね」
「どうしたのかしら」
「お母さんに言われたのかしら」
「言われたんだよ」
 実際にと答えるトムでした。
「しっかりしなさいって」
「うん、お兄ちゃん甘えん坊だからね」
「私達よりもね」
 ミトンとモペットもこのことを知っています。
「いつも言われてるし」
「怒られてるし」
「けれどずっと怒られても聞いていなかったのに」
「今回は違うの」
「ずっとこうだと大人になれないって言われたからね」
 それで今回は、というのです。
「だからだよ」
「うん、お掃除位はしないとね」
「それ位はね」
「あとお洋服も畳んでね」
 トムはさらに言うのでした。
「それとね」
「それと?」
「まだあるの?」
「食器も食べた後はちゃんと洗って元の場所になおして」
 そして、というのです。
「そうしたこともしてね」
「しっかりとなって」
「大人になるのね」
「そうならないといけないって言われたから」
 トムはお掃除を続けながら妹達に言います。
「それで僕もね」
「しっかりとなるのね」
「大人に」
「うん、なるから」
 こう言ってでした、トムはお掃除をしてです。
 お洋服も畳んで、です。御飯の後で。
 食器を洗います、そして泡をタオルで拭くのでした。ここでお父さんはそのトムを見ながらお母さんに言うのでした。
「トムが食器を洗うって珍しいけれど」
「怒ったのよ」
「そうか、それでか」
「ええ、そうなの」
「トムもしっかりしないとな。それでなんだが」
 ここでこうも言うお父さんでした。
「こっちじゃ食器は洗ってタオルで泡を拭き取るな」
「ええ、それがどうかしたの?」
「日本じゃな」
「あの東の方の島国ね」
「あそこは食器を洗剤で洗うだろ」
 ここまではイギリスと同じです。
「けれどそこから洗剤の泡を水で洗い落とすらしいんだ」
「あら、そうするの」
「そうらしいな」
「それだとお水をかなり使うわね」
「けれど日本じゃ水がかなり多くてな」
 しかも、というのです。
「その質もいいらしくてな」
「そうしたことをするのね」
「そうらしいな」
「そうしたことも国によって違うのね」
「そうだな、それでな」
「それで?」
「トムはこのままな」
 またトムのことをお話するのでした。
「ずっとこうだといいな」
「本当にね」
 お父さんもお母さんも笑顔になっています、そうして。 
 トムはお友達のピーターラビットにもです、こう言うのでした。
「何かしっかりしないとね」
「ああ、お母さんに言われたんだ」
「うん、そうなんだ」
 森の中で遊びながらです、トムはピーターに言うのです。 
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