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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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これが平和

異世界よりやって来たもう一人の男ウルフ…
彼もまた、グランバニア王国の中枢で働いている。

第2王位継承者であるマリーのフィアンセとして存在する彼を、名実共に周囲に認めさせるべくリュカ国王自ら主席秘書官として登用した。
無論今までにも、秘書官という役職に形だけ就けていた者も多数居るのだが、その全てが見た目(美女)で選んだ存在だった為、栄誉職的な存在となっていたのだが、ウルフを就かせた事により、初めてまともに機能し始めたのだという。

だが、いきなり現れた青二才が、国王に重用される事に憤慨する者も暫し…
今までは国王(リュカ)の考えを説明することなく押し通してきたのに、秘書官には分かりやすく説明し学ぶ時間を与えている。

更には…
どんなに位の高い軍人がどんなに頼み込んでも、のらりくらりと言い訳をし手合わせをしてこなかった国王(リュカ)なのに、秘書官には直接剣術の手解きを行っているのだ。

しかもグランバニアの姫君を手中に収めるという、何とも羨ましい現実に、気位ばかり高い貴族出身者からしてみれば面白いはずもなく…
国王の側を離れた時を見計らい、陰湿な苛めを行うようになっていた。

ウルフも初めのうちは堪え忍んでいたのだが、ある時苛められている瞬間を…貴族連中視点で言えば、苛めている瞬間を国王(リュカ)に見られてしまったのだ!
勿論それは偶然ではなく、何となく察していたリュカが、現場を押さえる為に仕掛けた狡猾な罠だったのだが、貴族連中にしてみれば泣きたくなるような瞬間だったに違いない。

しかし、そこで簡単に貴族連中の首を切らないのがリュカの恐ろしい所で…
『おいウルフ…何でそんなアホ共に良い様に苛められてるんだよ!?この国の王である僕が許すから、思いっきり反撃しちゃえって!力加減間違えて殺しちゃっても、お前を咎めたりはしないよ。まぁ、殺さない様に長時間いびる方が楽しいけどね!』
と爽やかな笑顔で、人生でも・この世界でも・この仕事でも先輩である彼等に逆襲の許可を与えたのだ。

剣術の腕前だけで言えば、ウルフより強者は多数居る。
しかし魔法を使用した実践となれば、彼に勝てる人材は少ないだろう。
100%勝てるのはグランバニアでもリュカとティミーくらい…
運次第では負けるかもしれない者が数人いるだけ。
そんな実力の持ち主に、逆襲する権利が与えられたとなれば貴族達には悪夢となる。

次の日から貴族等の接し方が180度変わった。
脅えた目をした低姿勢で、ウルフの顔色を常に気にする卑屈っぷりに…
ウルフは元々こんな馬鹿共の相手をする気など無かったのだ…
そんな事より気掛かりな事があるのだ。

それは彼女(フィアンセ)のマリーの事だ。
異世界での冒険が成長の糧となり、人としても女性としても著しい成長を遂げたマリー。
外見も、腹違いではあるがリュカの娘として、ほぼ同時に生まれたリューラ・リューノと比べても明らかなほどの成長ぶり。

1週間前に買ったドレスがきつくて(特に胸が)着れなくなる程の急成長をしているのだ。
10歳の彼女(マリー)が町を歩くと、男共が寄り付いてくる…
彼女(マリー)が10歳だと言っても、誰一人信じない…
それ程までに見事な美少女に急成長した。

そんな彼女(マリー)が浮気をしないか、気が気ではないウルフ。
どうすればいいのか悩み抜き、そして一つの結論に達した。
上司の奥方(愛人)も美女揃いなのに、誰一人として浮気などしていない。
それは何故か!?
勿論、彼自身が良い男というのもあるのだが、彼の行動に答えがあるとウルフは考えつく。

謁見中でも、新人のメイドを発見すると即座に口説き出す上司…
例え側に奥方(愛人)が居ても、美人を見つければ口説き出す上司…
その都度、彼女等は躍起になって彼の心を自分に向けようと試みる。
自分の方が魅力的で、誰よりも彼を愛していると訴える。

これこそが彼女に浮気をさせない最良の方法であると確信するウルフ。
マリーと側に居る時(半径3メートル)は人目も憚らずイチャつくのだが、離れるとメイドなどをナンパするどっかの上司と同じ行動をする様になった!
無論バレると彼女は激怒するのだが、上司に教わった甘い言葉で彼女を口説き、激しい床運動へと持ち込む荒技を習得した!

国務大臣オジロンの娘…ドリスがウルフに言った事がある。
『アンタ…リュカそっくりね!馬鹿なの?』
だが真実は違う。

ウルフにとってナンパの目的は、相手の女性を落とす事に在らず!
彼女(マリー)にヤキモチを焼かせる事こそ目的であり、彼の上司の様に愛人を作る事は勿論、ナンパ相手とデートすらしないのである。

だが完全に主導権はウルフが握る事となり、彼を見張る為に自ら共に過ごす時間を作るマリー。
長男カップルよりも、初孫の確率が高い2人。
末永く幸せになってもらいたい。






多くの騒動と、多くの笑いに包まれながら、グランバニアは更なる発展をして行くだろう。
新たな国が増え、今までよりも政務が多くなったグランバニア国王。
まだまだ若い彼が頑張っている間は安心だろう。


 
 

 
後書き
ひとまずは最終回でございます。
と言っても、リュカ伝その2が最終回なだけで…
それに別視点も完結させなければならないし…

リュカ伝その3はまだ先でしょうね。 
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