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鎮守府にガンダム(擬き)が配備されました。

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第1部
  第10話 激闘、横須賀沖迎撃戦〜其ノ弐〜

 
前書き
遅れてすんません。
これ年内に終わんねぇよ……どうするよ、これ……。

でも諦めないッ‼︎ 感想待ってます(=゚ω゚)ノ 

 
8月23日 AM0:00
日本帝国 横須賀沖 40km


漆黒の闇夜が支配する海上を、5つの閃光が疾走する。
E.F.S.F.と名打たれた物体……中型対艦弾道ミサイルを最初に捕捉したのは、海上に陣取る深海悽艦艦隊の外縁……。
雷巡チ級と呼ばれる重雷装巡洋艦だった。

「……ッ‼︎」

だが捕捉したのも束の間、ミサイルはチ級の頭上を有り得ない速度で飛び越えていった。
それもその筈、連邦軍で広く普及しているこの中型対艦弾道ミサイルは、現行で人類側が配備している対艦ミサイルのマッハ10を軽々超えるマッハ15……時速18360㎞で飛来したのだ。

雷巡チ級が艦隊旗艦に打電しようとした瞬間、チ級の霊子通信がノイズに包まれた。
チ級は困惑した。
今迄霊子通信が不調を訴えた事はない。
霊子通信を阻害する事は何人にも不可能だった筈だ。
にも関わらず、霊子通信から発せられるのは耳障りなノイズばかり……。

チ級は独自の判断で艦隊の防備を固める為、旗艦の位置する中央へ転舵。
自身の出せる最大速力で旗艦を護る為、海上を切り裂きながら突き進んだ。

だが、自身の後方から迫る殺気に気付き、何事かと振り向いた。

果たして、其処にあったのは自身目掛けて迫り来る光だった。

チ級は自身を貫く光が何なのか、理解する暇もなく海中へ没した。

嫌だ、もう〝あの場所〟には戻りたくない……。

チ級は船体を軋ませながら、濃霧を切り裂きながら現れた白い巨人を見上げながら、悲鳴の様な叫びを上げた。


◉◉◉


「……先ずは一隻」

バーサークヘリオンの全天周囲モニターに映るDefeat(撃破)の文字を睨みながら、コンソールを指で叩いた。

「システムフレームを巡航(クルーザー)モードから高機動(ハイマニューバ)モードへ、シールドブースターパージ」

サブアームに保持していたシールドブースターを切り離し、ブーストペダルとスロットルを目一杯引き絞る。
全身に配置されたスラスターが唸りを上げ、まるで弾丸の様に機体を滑らせていく。

此方に気付いた艦が発砲するが、砲弾は機体の後ろを素通りしていく。
やはり連中の照準は一定速度までしか捉えられないらしい。
時間にして180秒、僅か3分でバーサークヘリオンは艦隊中枢へ辿り着いた。

「ハイパーメガ粒子砲発射まで5分ジャスト……楽勝だな」

海上に群がる深海悽艦の間を縫うように飛び、情報を掻き集める。
外縁艦隊50隻と、戦艦・空母で構築された中央艦隊50隻の輪形陣だ。

「先ずは後方の憂いを断つッ‼︎」

艦隊の天敵となる艦載機を減らす為、バーサークヘリオンを上空に飛翔させ、空母にのみ照準を合わせ、トリガーを引いた。

ビームキャノンとビームライフルから放たれる高出力のメガ粒子が的確に、かつ確実に深海悽艦の空母の飛行甲板を撃ち抜いた。
軽母ヌ級5隻と空母ヲ級10隻の飛行甲板が瞬く間に破砕され、うち5隻が大規模な爆発を起こした。
脇を対空砲の砲弾が通り過ぎる。
意外と対応が早いようだ。

スラスターを切り、脚部緊急ブースターを点火。
重力とスラスター、ブースターの推力が相まって、バーサークヘリオンは高速で海面へ落下していく。

生き残った空母は10隻。
だが自己修復出来ない空母群は泡を食ったようにバーサークヘリオンから離れようとした。

離れようとした空母ヌ級が、並走していた戦艦タ級に激突。
手傷を負っていたヌ級はタ級の頑強な装甲に艦首を潰され、艦載機が誘爆し呆気なく爆沈。
タ級は激突された勢いで船体が裂け、浸水。
どんどん傾斜していき、前方に割り込んできた空母ヲ級に更に衝突。
被害が拡大した。

「そろそろか……」

対空砲を叩き潰した空母ヲ級の飛行甲板に着地し、艦橋をビームキャノンで吹き飛ばしながら、コンソールを指で叩いた。


◉◉◉


同時刻
いざなぎ型ミサイル重巡洋艦1番艦〝いざなぎ〟 艦橋


「霊子変動増大ッ‼︎ 〝アマテラス〟、敵空母群撃滅ッ‼︎」
「リンドヴルムより入電ッ‼︎ フェイズ3に移行しますッ‼︎」

ミサイル重巡洋艦いざなぎ。
日本帝国海軍の元聯合艦隊総旗艦を務めた新鋭艦である。
全長253m、全幅35m、総排水量15000tを誇る巨大艦であり、便宜上は重巡洋艦を名乗っているものの、その巨躯は戦艦と言って差し支えない。
動体検知式レーダーに霊子電探を搭載し、90mm連装速射砲を艦首に一基、対艦ミサイル用VSL20セル二基、拠点攻略用大型ミサイル用VSLを4基、5連装中型魚雷発射管を2基備えている。

「リンドヴルム、急速浮上ッ‼︎
し、信じられん……」

そのいざなぎの艦橋、艦長席に座る男は、副長の驚愕の声に少しだけ閉じた目を開いた。

帝国海軍大将、紅蓮醍三郎その人である。
史上最年少で帝国海軍大将へ上り詰め、厳格かつ堂々たる猛将として名を馳せる人物だ。
征威大将軍煌武院悠陽の良き理解者であり、艦娘推進派として対深海悽艦戦術にいち早く理解を示した人物でもあり、将兵の間でも絶大な支持を得ている。

紅蓮の目に飛び込んできたのは、あの巨大艦……リンドヴルムが海上に浮き上がる姿であった。
リンドヴルムのミノフスキークラフト、と言うものの成せる技である事は聞き及んていたが、実際目にすると、確かに信じ難くもある光景であり、彼らが未来の異世界から来た、と言う話も納得せざるを得ない。

リンドヴルムの艦底部、脇腹の部分にあたる場所に配置された黄色い部分から、巨大な砲が迫り出してきた。

46cm砲をも凌ぐ巨大な砲に、艦橋要員は皆驚きを隠せずにいる。

「リンドヴルムより入電ッ‼︎
本艦ハ之ヨリ、ハイパーメガ粒子砲ヲ使用ス。
周辺艦艇ハ衝撃二備エヨッ‼︎」
「……総員、対ショック姿勢ッ‼︎」
「ヨーソローッ‼︎ 総員、対ショック姿勢ッ‼︎」

檄を飛ばし、その衝撃波とやらを待つ。
砲身がバチバチと火花を散らし、眩しい光を帯び始める。


瞬間、視界が閃光に包まれた。


「ぬうぅ……ッ‼︎」

予想以上の艦を揺さぶる振動と爆音、閃光に、思わず唸った。
間近で46cm砲の一斉射を受けたかのような衝撃に、紅蓮は身を震わせた。

(やはり彼らが未来から来た、と言うのは事実か……然し此れは…ッ‼︎)

ハイパーメガ粒子砲の照射が終わり、恐る恐る瞼を開ける。

「た……対象…約6割の霊子変動消失を確認……」
「敵艦隊…半数が消滅しました……ッ‼︎」

紅蓮は目と耳を疑った。
自分達があらゆる手を尽くして対抗してきた深海悽艦を、たった1度の砲撃で消し去ったのだ。

「……神の御技か…悪鬼の罠か……」
「…はっ、艦長…なにか?」
「……何を惚けているッ‼︎ 艦隊旗艦に打電ッ‼︎
支援砲撃の用意有り、ミサイル管制を譲渡するとなッ‼︎」
「は、…はッ‼︎ 直ちにッ‼︎」


「あの男……修羅か羅刹の如き……か」


紅蓮の独り言は、熱気に当てられたように興奮している艦橋要員の耳には入らず、月明かりの照らす艦橋に消えた。


◉◉◉


数分後
リンドヴルム MSデッキ

《……ル、ウィル、ウィル坊ッ‼︎》
「…え? あッ‼︎ はい、何かッ‼︎」
《ったく、ボサッとして無いで最終チェックを終わらせなッ‼︎
あんたらしくもない》

通信回線から響いた上官の怒声に、MSパイロット〝ウィルバート・コリンズ〟少尉は乗機であるハイゴッグのコックピットで肩を竦めた。
久々の海上任務とあり、少し惚けていたようだ。

《ウィル坊、〝リリア〟、私らの仕事は海ん中で好き勝手やってる潜水艦共を残らず叩き潰す事だ。
連中が司令に釘付けになってる間に私らが全部掻っさらう。
至って簡単なお仕事だ》
《ダリル大尉、ウィルバート少尉は相手の深海悽艦が美人か気になるようであります》
「お、おいリリアッ‼︎」
《全くこのむっつり坊やは、私とリリアじゃ満足できないってかい?》
「た、大尉まで、……もう勘弁して下さい…」
《はっはっはっ、いいかいお前達、遠慮は要らないよ、……思う存分連中のケツ穴をFuckしてやんなッ‼︎》
《「Yes.Big ma'am‼︎」》

そうこうしているうちにカタパルトへ機体が運ばれていく。
後方から艦娘の艦載機が群をなして頭上を通過していった。

《私らも急ぐよッ‼︎ 雑魚はほっときな、狙うは潜水艦と大物だッ‼︎》
《発進だぞ、ダリルッ‼︎ 出撃すりゃ好き勝手やっても咎められんぞッ‼︎》
《あいよッ‼︎ 〝ダリル・マクマナス〟、ナイヴズ1、出るよッ‼︎》
《〝リリア・シェルべリ〟、ナイヴズ3、行きますッ‼︎》

「ウィルバート・コリンズ、ナイヴズ2、発進しますッ‼︎」


元地球連邦宇宙軍海兵隊、ブラックナイヴズ……その手足たる3機のハイゴッグが、カタパルトから飛び降り、海中へ姿を没した。

両艦隊の戦力差は現状、ほぼ互角……艦隊決戦開始の狼煙は遂に上げられた。 
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