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問題児たちと1人の剣士が来るそうですよ?

作者:疾風怒濤
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問題児と1人の剣士

1人の少年はいつも通り学校に通っていた。といっても普通の学校ではない。武道や剣術、魔法など習う専門学校に通っていた。しかしこの少年は授業をさぼっていた。名は天童荒谷。授業がつまらなすぎていつも屋上で寝ているらしい。といっても成績が悪いわけではない。それどころか剣術が学校一でもありソードマスターとも呼ばれるぐらい優れていた。武道もそこそこ出来るが魔法だけが全然出来ない。魔法の授業になるとすぐさま何処かに逃げ、終わるまで剣の素振りをしていた。

彼は今屋上にいる。

「次の時間は確か魔法の特殊訓練だったかな。うわーめんどくせぇ〜」

彼はいつも通り屋上で寝ようとした。最近はここで寝るのがストレス解消法だそうだ。目をつむろうとした瞬間空から手紙らしきものが降りてきた。

「ん。なんだこれ?」

手紙には『天童荒谷様へ』としか書かれていなかった。

「なんだぁ〜?空からのラブレターとは奇妙なことをしてくれるな」

そう言って彼は手紙を開けてみるとそこにはこう書かれていた。



『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる その才能を試すことを望むなら 己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨て、我らの箱庭に来られたし』




そう読み終えると荒谷は姿を消した。

_____________________________


気がつくと俺は空にいた。いや放り投げられたといってもいいのか?周りをみるとどうやら俺だけではないらしい。金髪の少年と黒髪の少女、茶髪の少女の3人だった。そう思っているうちに俺たちは湖に落ちた。

「ぷはぁ〜。なんで空から落とされなきゃいけねぇーんだよ!!」

順に俺、金髪、黒髪、茶髪が湖からあがった。あ、1ついい忘れだが、1匹のねこもいた。

「し、信じられないわ。いきなり空から放り出すなんて!下手をすれば地面に激突して即死よ!」

「あぁ。まったくだぜ。場合によっちゃあゲームオーバーコースだぜ、これ。石の中のほうが良かったんじゃねぇーか?」

「……石の中だったら身動きできないじゃない」

「俺は問題ない」

「そう。身勝手ね」

「ていうかもっとマシな招待の仕方はないのかよ」

「で、誰だよお前ら」

「それはこっちのセリフよ。目つきの悪い学生君」

「一応確認しておくがもしかしてお前らにもあの変な手紙が?」

そうだった。俺は変な手紙を開いたせいで空から放り出され挙句の果てには知らないとこにいると最悪な感じだ。

「そうだけど、そのお前っていう呼び方を訂正して。私は久遠飛鳥よ。以後気をつけて。それでそこの猫を抱きかかえているあなたは?」

「……春日部耀。以下同文」

「そう。よろしく春日部さん。で、野蛮で凶暴そうなあなたは?」

「高圧的な自己紹介をありがとよ。見たまんま野蛮で凶暴な逆廻十六夜です。粗野で凶悪で快楽主義と3拍子揃った駄目人間なので用法と容量を守った上で適切な態度で接してくれよ。お嬢様」

「取り扱い説明書をくれたら考えといてあげるわ」

「ヘヘッマジかよ。今度作っとくから覚悟しとけよ」

「いきなり喧嘩とはすごいよなあんたら」

「そういえばあなたがまだだったわね」

「え!地味に忘れられたの!?……まぁいいや俺の名は天童荒谷。3人ともよろしく」

「えぇ。こちらこそ」



その一部始終を見ていたものがいた。名は黒ウサギ。4人をこの世界に呼んだ張本人だ。木の後ろに隠れて4人を観察していたところだった。

(うわーなにやら一癖も二癖もありそうなばかりですねぇ〜…。いえ、だからこそ!)

「で、呼び出さられたのになんで誰もいないんだよ」

「そうね」

「まぁいいじゃねぇーか。こうなったらあいつにでも聞けばいいだろ?」

荒谷がさした方向は黒ウサギがいるところだった。

(ひゃう!!き、気づかれていたー!!)

「あら、気づいていたのね」

「まぁね。気配を感じとるのは得意だからさ。2人も気づいていたんだろ?」

「当然。かくれんぼなら負けなしだぜ」

「……風上に立たれたら嫌でもわかる」

「ヘぇ〜。面白いなお前」

「ほら。さっさと出てきたらどうなんだ?」

4人はいかにも怒ってる顏を向けてきたので

(し、仕方ありません。こうなったら)

黒ウサギは観念し、4人の前に姿を見せた。

「や、やだなぁ4人様方。そんな狼みたいな怖い顔で見られると、死んでしまいますよー。ええ、ええ古来より孤独と狼はウサギの天敵でございます。そんな黒ウサギに免じて
ここは1つお話を聞いていただけたら嬉しいのでございますよ?」

「断る」

「却下」

「お断りします」

「説明による」

「あっは、取り付くシマもなしですね。しかも今、黒うさぎの説明で今後の運命を左右されるとは」

「あ、それともう1つ」

黒ウサギはなんのことか思っていると両者から耳を引っ張られた。

「えいっ」

「うぎゃあ。な、なにをするですか!ちょっ、ちょっとお待ちを!触るまでなら黙って受け入れますが、まさか初対面で遠慮無用に黒ウサギの素敵耳を引きばかしに来るとは、一体どういった了見ですか!?」

「好奇心の為せる業」

「俺の場合はこれを触ってみて本物かどうか確かめてそうだったら話を聞こうと思ったのだけど?」

黒うさぎはなんとか脱出し、

「それなら触る前に言ってください!ていうか触るというより引っ張ってるじゃないですか!!」

「へぇ〜このウサ耳って本物なのか」

「じゃあ私も」

十六夜が右耳、飛鳥が左耳を引っ張った。

「え?ちょっ、ちょっとお待ちを!!黒ウサギのうさ耳は!!あーーーー!!!」

黒ウサギは相当な悲鳴をあげた。まぁあれだけ引っ張られたらそうなるわな。

黒ウサギの話が始まったのはそれから1時間程のことだった。
 
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