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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第十三話 バリ島からの女の人その十二

「問題を解いたりすることも」
「それもあって普通科にしたんだ」
「そうなの、今日から楽しみよ」
「じゃあ楽しんでね」
「それじゃあね」
 ここまで話してだ、イタワットさんは僕にこうも言って来た。
「この学校バイクを使った部活もあるのよね」
「モトクロス部かな」
「そこどういう部活なの?」
「オフロードで走る部活だけれど」
「へえ、オフロードなの」
 そう聞いてだ、イタワットさんの目がすぐに輝いた。
「そっちなのね」
「オフロードは大丈夫かな」
「ええ、平気よ」
 笑顔でだ、イタワットさんは僕に答えてくれた。
「そっちもね」
「そう、だったら入部するのかな」
「というか高校でバイクに乗れるなんてね」
「インドネシアでもないよね」
「滅多にね」
 それこそ、というのだ。
「だから楽しみだわ」
「日本の高校でバイク禁止の高校は多いよ」
 八条学園はその意味でも自由だと思う。バイクの免許を持つことすら許していない学校もかなり多いというのに。
「そこも有り難いね」
「ええ、バイクも持って来たから」
「インドネシアから」
「そう、実家からね」
 こう笑顔でだ、僕に話すのだった。
「愛車をね」
「というかインドネシアでバイクに乗れるのって」
 お金持ちじゃないかと思った、だがそのことについては。
「ああ、レストアしたのだから」
「別に高くないんだ」
「ええ、確かにインドネシアじゃまだバイクは高価だけれど」
「レストアしたバイクだから」
「しかも日本からの中古品なのよ」
 その中古品のバイクをさらにレストアしたのがだ、イタワットさんが乗っているものらしい。
「それでも性能いいから」
「どんなバイクかな」
「八条オートバイのバイクでね」
「ああ、八条オートバイね」
 八条グループの企業の一つだ、世界規模のシェアを誇るオートバイ企業で日本でもかなりの市場を持っている。
「インドネシアにも進出しているからね」
「そこのバイクなのよ」
「イタワットさんの愛車は」
「それに乗るけれど」
 それが、というのだった。
「執事さんに登校はバスって言われたから」
「うん、だからね」
「バイクに乗ることはなさそうね」
「休日とかはいいと思うよ」
 僕は大家としてイタワットさんに答えた。
「その時に乗るといいわ」
「わかったわ、それじゃあそうさせてもらうわね」
「そうするといいと思うよ。ただね」
「ただ?」
「いや、うちのアパートってね」
 八条荘のことをだ、僕は話した。
「女の子が集まることは聞いていたけれど」
「花の園ね」
「いや、そうじゃなくてね」
「そうじゃなくてって?」
「何か本当に世界中から人が来るね」
「私の国もインドネシアだしね」
「ベトナムとタイから来てくれてるよ」
 ダエさんとラブポーンさんのこともだ、僕はまずはインドネシアと同じ東南アジアの国から話をはじめた。
「アメリカや中国からもね」
「多分もっと増えるね」
「だろうね、次はどの国の人が来てくれるのかな」
「何処の国でもいいんじゃない?」
 イタワットさんはにこりと笑って僕に言って来た。
「それは」
「そうだね、何処の国の人でもね」
 それこそだった、国に関係なく。 
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