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オズのムシノスケ

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第十幕その二

 そして項垂れつつです、こうも言うのでした。
「会いにくいわね」
「喧嘩した相手とはね」
 今度は木樵がヘラジカさんに声をかけました、森の中をヘラジカさんの案内で進みながら。
「どうしても会いにくいね」
「お父さんとお母さんが悪いのよ」
 ヘラジカさんは膨れたお顔で言うのでした。
「あんなに言わなくても」
「まあまあ、そう言わずにね」
「それでもっていうのね」
「そう、仲直りしてね」
 そしてというのです。
「笑顔になろうね」
「笑顔ねえ」
「誰でも笑顔にならないと」
 それこそというのです。
「楽しくないじゃない」
「楽しく?」
「そう、楽しくならないとね」
「そういえば私って」
「喧嘩してからどうだったかな」
「楽しくなかったわ」
 思い出すとそうでした、ヘラジカさんは喧嘩して家出してからずっとでした。楽しいと思ったことはといいますと。
「全くね」
「喧嘩したことばかり考えていてだね」
「ええ、それでね」
 まさにその通りでした。
「全然面白くなかったわ」
「そうだよね、だからこそね」
「仲直りをして」
「楽しい気持ちに戻ることだよ」
 是非共と言う木樵でした。
「それが君がこれからすべきことだよ」
「それじゃあ」
「仲直りするんだよ」
「皆が言いたいことはわかるわ」
 ヘラジカさんにしてもというのです。
「けれどね、どうしてもね」
「仲直り出来ないの」
「気持ちの問題よ」
 恵梨香にも言うのでした。
「貴女もわかるでしょ、喧嘩した後はね」
「うん、どうしてもね」
「気まずくなってね」
「その相手の人と会うこともね」
「嫌になるでしょ」
「だからお父さんとお母さんとも」
「会いにくいわ」
 そして仲直りもというのです。
「何かと心苦しいものがあるわね」
「その気持ちはわかるけれど」
 ナターシャもヘラジカさんに言いました。
「けれど家族は仲良くないと」
「よくないのね」
「家族は仲良くないと」
 それこそというのです。
「自分で自分を苦しめることになるわ」
「厳しいこと言うわね、貴女」
「だって。雪が降ったりしたら」
 そうした時はといいますと。
「お家にいるしかないわね」
「家族と一緒だからっていうのね」
「そう、喧嘩しそうになっても」
「我慢しなさいっていうのね」
「それが一番よ」
「そうかもね、けれどね」
 それでもと返すヘラジカさんでした。
「我慢出来なくなった時によ」
「喧嘩をするから」
「こうなったのよ」
「なったからにはっていうのね」
「そう、どうしろっていうのね」
「だから仲直りに戻るんだよね」
 神宝もヘラジカさんに言います。
「今から」
「まあそうだけれど」
「そりゃね、誰だって喧嘩はするよ」
 神宝もこのことはそうだとします。 
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