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インフィニット・ストラトス ―蒼炎の大鴉―

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アメリカ軍特務部隊襲撃

先の無人機襲撃で一年生の専用機5機が損傷甚大につき使用不可能になった。

また、織斑の白式も損傷が激しく倉持技研に直接出向くことになった。

つまり、学園から6機のISが事実上消えたことになる。したがって、学園の防衛力は大幅に低下した。

そのため、俺と兼次が織斑先生直々の命令により哨戒任務につくこととなった。これはファントムタスクを警戒してでのことだろうということは容易に想像がついた。

だが襲撃犯とてバカではない。奴ら――アメリカ軍特務部隊は俺・兼次双方が休憩している10分の隙を見計らって学園に侵入してきた。

ちなみに双方が休憩している時は教員が哨戒任務につくのだが、相手はアメリカの第三世代型[ファング・クエイク]、打鉄では到底敵わない相手だった。

突如灯りが消え、防護シャッターが降りる。

「何だ!?」

兼次が声をあげる。

「今はおとなしくしておけ。状況がわかるまでな」

そうして2分が過ぎた時、ISのインターセプトチャネルに通信が入る。

『専用機持ちは全員地下のオペレーションルームへ集合。今からマップを転送する。防壁に遮られた場合、破壊を許可する』

「どうやら緊急事態のようだな」

「和也、早く行くぞ」

俺と兼次は邪魔な防壁をビームサーベルで切り裂きながらマップのオペレーションルームを目指した。

そしてオペレーションルームにたどり着く。着いたのは俺と兼次が最初、続いて更識姉妹、そして織斑のいない織斑ハーレムが来た。そこで漸くブリーフィングが始まる。

「では状況を確認する」

ここは電源が独立しているらしく、ディスプレイが稼働している。

「しかしこんなエリアがあったなんてね…」

「ええ、いささか驚きましたわ…」

凰とオルコットが呟くが

「静かにしろ!凰、オルコット、状況の説明中だぞ!」

織斑先生に注意された。

「は、はいっ」

「も、申し訳ありません」

ビビってるビビってるw

「現在、IS学園では全てのシステムがダウンしています。これはなんらかの電子的攻撃…つまり、ハッキングを受けているものだと断定します」

ハッキングされるとは、学園祭といい無人機といい、ここのセキュリティはザルなのか?

「今のところ、生徒に被害は出ていません。全ての防壁を下ろしたわけではなく、どうやらそれぞれ一部分のみの動作のようです」

目的は何だ?

「あ、あの、現状について質問はありますか?」

「はい」

ボーデヴィッヒが挙手した。

「IS学園は独立したシステムで動いていると聞いていましたが、それがハッキングされることなどあり得るのでしょうか?」

「そ、それは…」

「全くあり得ないことじゃない。篠ノ之束クラスの天才なら不可能ではないし、例えばシステムの設計に関わっていた人間なら弱点も知っているはずだ」

そう答えた。彼女の名前が出て篠ノ之の表情が曇る。

「もっとも、今回は篠ノ之束ではないだろうけどね」

兼次が言う。

「どういうことだ、兼次」

「何者かの気配が近付いてる。それもこれは2個小隊ほどの数だ。篠ノ之束なら単独で動くはず」

「黒鉄、こいつは何を言っているんだ?」

流石の織斑先生も戸惑っている。

「兼次は、そういう認識能力が他の人間とは比べ物にならないほど高いんですよ。気配を感じるとかそういう次元のことではなく、ある程度なら他人の思考さえ読めるほどに」

あえてニュータイプという単語は伏せておく。

「ある意味、兼次は進化した人類なのかもしれない」

それだけ言って終わりにする。

「……で、坂上の言っていることは確かなんだな?」

「それは信用してください」

「わかった。では坂上の言った2個小隊がいることを前提に話を進めよう」

2個小隊か…。何者だろうか…。ファントムタスクか?それとも別の勢力か?

「では話を戻しますが、これから篠ノ之さん、オルコットさん、凰さん、デュノアさん、ボーデヴィッヒさんはアクセスルームへ移動、そこでISコアネットワーク経由で電脳ダイブをしていただきます。更識簪さんは皆さんのバックアップをお願いします」

「そして楯無、黒鉄、坂上は先ほどの2個中隊規模の敵対勢力を迎撃してもらう」

やはり迎撃戦か。防衛目標がいるとは厄介だな。

「「「「「「…………………」」」」」」

「あれ?どうしたんですか、皆さん」

「「「「「「で、電脳ダイブ!?」」」」」」

「はい。理論上可能なのはわかっていますよね?ISの操縦者保護神経バイパスから電脳世界へと仮想可視化して侵入ができる…あれは理論上ではないのです。実際のところ、アラスカ条約で規制されていますが、現地点では特例に該当するケース4があるため、許可されます」

「そ、そういうことを聞いているんじゃなくて!」

「そうですわ!電脳ダイブというのは、もしかして、あの…」

「個人の意識をISの同調機能とナノマシンの信号伝達によって、電脳世界へと進入させる―」

「それ自体に危険性はない。しかし、まずメリットがないはずだ。どんなコンピューターであれ、ISの電脳ダイブを行うよりもソフトかハードか、あるいはその両方をいじった方が早い」

次々と言いたいことを言う織斑ハーレムの面々。

「しかも…電脳ダイブ中は、操縦者が無防備…。何かあったら、困るかと…」

簪も続く。

「それに、1ヶ所に専用機持ちを集めるというのは、やはり危険ではないでしょうか」

「ダメだ。この作戦は電脳ダイブでのシステム侵入者排除を絶対とする。異論は聞いていない。イヤならば、辞退するがいい」

よっぽど見せたくないものがあるのか、単純にハードをいじるのが手間なのか…。

「い、いや、別にイヤとは…」

「ただ、ちょっと驚いただけで…」

「で、できるよね。ラウラ?」

「あ、ああ。そうだな」

「ベストを尽くします…」

「や、やるからには、成功させてみせましょう」

「よし、それでは電脳ダイブを始まるため、各人はアクセスルームへ移動。作戦を開始する!」

そうして6人はオペレーションルームを出ていった。

「さて、お前たちには先ほど坂上の言っていた敵の迎撃に出てもらう」

「防衛戦か…。柄じゃないんだがな」

「なんだ?お前らしくもない」

織斑先生が言う。

「単純に護衛とかが得意じゃないんですよ。それに今回は不殺を強いられるんでしょう?これがサーチアンドデストロイなら楽なんですがね…」

「そういうことか。なら無理に不殺を貫けとは言わん。ただ、生徒はちゃんと守れよ」

「了解しました」

これで幾分楽にはなったか。

「お前たち2人も同じく生徒を守ればいい。敵の生死は問わん」

こうして防衛戦が始まった。



屋外へ出た俺は索敵を開始する。

無論、広大な面積を誇るIS学園の敷地内に潜む2個中隊規模の敵を探すのは容易ではない。

ビームスマートガンを取り出し、レドームで索敵するも、やはり感知できない。兼次みたいにニュータイプ能力があればな…

学園上空を旋回しながら索敵を続けると、何か光るものが見えた。

レドームで拡大して見てみると、どうやら侵入者がナイフを落とした瞬間に刃に光が反射したみたいだ。

やっと見つけた。

スラスターを吹かして侵入者に突撃する。そして侵入者が反応する前にビームサーベルでまとめて2人を切り裂く。灼熱の粒子の刃が断面を蒸発させながら肉体を真っ二つにする。周囲には肉が焼ける臭いが漂ってきた。

「「「「うおおおぉぉぉ」」」」

見方の死に混乱した敵は持っていたマシンガンを乱射してくる。だが絶対防御をもつISに歩兵用のマシンガンが通るはずもなく、装甲に弾かれ跳弾した。

「目障りだ」

ビームライフルで1人ずつ撃ち殺す。6発撃ち終えた時、そこには胸から上が蒸発した焼死体と肉が焼ける臭いだけが残った。

こいつらは10人で動いていた。つまり分隊で動いているってことか?それにしても2個小隊なら60~160くらい…。あと最低でも50人はいる計算になるな。

索敵を続けよう。だがその前に…

「こちら黒鉄、敵1個分隊を殲滅した」

―――――――――――――――――――

Side楯無

『こちら黒鉄、敵1個分隊を殲滅した』

和也くんから通信が入る。

和也くんのことだから皆殺しにしたんだろうな~。

そうしている内に敵を見つける。敵は1個分隊。

さーて、やってやりますか。

ビームダガーを取り出し、ビーム刃を発振して敵の1人に向かって投げる。

ダガーは目標の胸部を貫通し、絶命させた。

次いで接近しながらツインビームスピアーを取り出しビーム刃を発振、柄を長めに持って切り払う。

2本のビーム刃が6人を巻き込み、人体を腰部を境に真っ二つにした。

そして残った3人を取り出したビームライフルで仕留めた。

こんなものかな。

焼けた肉の臭いを嗅ぎながら通信を繋いだ。

「こちら楯無、1個分隊を撃破したわ」

――――――――――――――――――――――

「第2分隊全滅」

「第7分隊の反応途絶」

「クソが!学園の防衛能力は落ちてるって話じゃなかったのかよ」

次々と報告される戦況に小隊長は苛立つ。

「このままでは我が小隊は全滅です」

「んなことはわかってる!」

――――――――――――――――――――――

Side兼次

「敵さん、なかなか来ませんね」

「そうですねー」

俺と山田先生は通路で待ち伏せをしていた。

俺はファンネルを全て展開し、山田先生はクラッド・ファランクスを構えている。

あとは織斑先生が敵を誘導してくれればいいんだが、なかなか敵は出現しない。

「ほんと、暇ですね」

和也や楯無さんは次々と敵部隊を殲滅しているってのに俺はここで待ちぼうけ。暇なことこの上ない。

――――――――――――――――――――――

Side楯無

6分隊目を見つけ、クリア・パッションでまとめて片付ける。

「こちら楯無、6分隊目を撃破したわ」

敵とは言え生身の人間を一方的に殺すのは流石に精神にくる。

一度ISを解除して休もう…。

ミステリアス・レイディを解除する。機体が光の粒子となり、そして消える。

タンッ

!?

脇腹にはしる激痛、見てみると穴が開き血がドロドロと流れ出ていた。

振り返るとそこには殺したはずの1人が自動拳銃を構えていた。

油断…したわね…。

「こちらホーク7、残ってる部隊は集まってくれ。敵のISを確保できそうだ」

ホーク7と言った男はこちらに向かって歩いてきた。

「おとなしくしな。ロシア代表」

自動拳銃を突き付けながら男はポーチから注射器を取り出し、首にそれを射ってきた。

意識が遠のく…。恐らく麻酔薬の類い…。

助けて…和也くん……。

――――――――――――――――――――――

Side和也

ビームライフルの引き金を引き、分隊の最後の1人を殺す。

これで9分隊、楯無さんからの報告で6分隊だからラスト1分隊だな。

さて、どこにいる?

ドサドサドサトサ

足音、それも何人かが走っているものが聞こえる。

足音の方向へ向かうと残った1分隊が楯無さんを運んでいる。腹部に巻かれた包帯からは血が滲んでいた。

俺の中で何かが切れた。

そして

NEWTYPE-INJECTION-TRACE-REFORMED-OLDTYPE

勝手にナイトロが発動する。

スラスターを最大出力で噴射し突撃、楯無さんを男たちの手から奪い取りそのまま通り抜ける。

10mほど離れたら振り返りシールドにメガマシンキャノンを装備、分隊に向けて掃射する。

8門の銃口から吐き出された黄金の破線は男たちを次々と醜い血濡れの肉塊へと変えていった。

「目を開けてください、楯無さん」

「ん……、和也…くん」

「楯無さん…、怪我は大丈夫ですか?」

「あまり…大丈夫じゃないかも…」

これはどう見ても銃傷。早急な手当てが必要だ。

「すぐに医療室に連れていきます。それまで持ちこたえてください」

「ありがとね…和也くん」

楯無さんが意識を失う。

「楯無さん!?」

一刻も早く、医療室に連れていなかいと。

―――――――――――――――――――――――――

Side兼次

織斑先生に敵が付いてきた。

「坂上くん、出番ですよ」

「了解でーす」

現れた敵――アメリカの第三世代型[ファング・クエイク]にファンネルで集中砲火を浴びせる。

山田先生も同じくクラッド・ファランクスのガトリング砲を起動し多量の25mm弾を発射した。

ビームと実弾の嵐がファング・クエイクを襲い、そしてISが解除される。

「はーい、坂上くんストップ」

指示に合わせてファンネルを止める。

そして搭乗者は捕まった。

―――――――――――――――――――――――

その後、倉持技研から帰還した織斑により電脳ダイブによるシステム侵入者排除は成功、作戦は終了した。

―――――――――――――――――――――――

数日後、織斑先生たちにより捕らえられたファング・クエイクの搭乗者から引き出した情報により、襲撃してきたのはアメリカ軍特務部隊だということがわかった。

だが俺にとってそんなことはどうでもよかった。

それよりも腹部を撃たれた楯無さんのことが心配だった。

手術は無理を言って勝平の父親の慶助さんにやってもらった。今は手術が終わり、医療室のベットで寝ている。慶助さんいわく傷は残らないだろうとのことだった。それを聞いて俺は安心した。

ただ、楯無さんはまだ目を覚まさない。

慶助さんの話通りならそろそろ目を覚ましてもおかしくないのだが…。

思ったより出血の消耗が激しかったのだろうか?

簪も心配している。だから…目を覚ませよ、義姉さん。

「……んっ…ここは…?」

楯無さんが目を開け、起き上がった。

「っ!」

「あれ…和也くん…?」

俺は無意識の内に楯無さんに抱きついた。

「ちょっと、和也くん!?行きなり何!?」

「よかった…。無事で…よかった」

俺は涙を流していた。

「大丈夫よ、おねえさんはこの程度じゃ死なないから」

やさしく頭を撫でてくれる楯無さん。

そうか…。俺は家族を失う恐怖感から泣いたんだな…。また、母さんみたいに家族を失うことへの恐れから……。

―――――――――――――――――――――

Side楯無

和也くんの泣いている姿なんて初めて見た。いつも冷静沈着で強い責任感の彼もやっぱり人の子のようね。

そんな和也くんの目は明らかに家族に向けられるものだった。そういえば和也くんは小学生の時にお母さんを亡くしているんだったっけ…。

恐かったんだろうなぁ。また家族を失うんじゃないかって…。

でも私は和也くんを異性として見てしまっている…。

簪ちゃんの彼氏の和也くんに……。

私は…どうすればいいの? 
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