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日向の兎

作者:アルビス
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1部
  24話

 
前書き
一応、グロ注意 

 
私の戦いの邪魔にならぬようガトーは首根っこを右手で掴んでガイ先生達のいる方向へ投げ、左手で近くにいたならず者の顔を掴む。ただ武器を持っただけのならず者の動きなど、眼が無くとも寸分違わぬ正確さで予測できるのだよ。
「さて、質問だ。死体は判別可能か不能どちらがいい?
好きな死に方を選ばせてやろう」
「な、何を……」
「時間切れだ、前者にしてやろう」
私が掌から圧縮したチャクラを打ち込むと、チャクラは彼の目を通り視神経を伝って脳に到達し拡散した。そして、そのチャクラは脳漿を微塵に散らすだけに留まらず、その頭蓋を内側から破裂させる。その間は一秒にも満たぬ短い間であり、ならず者は自分に何が起こったのかすら理解できぬままにその生涯を終えた。
結果、名も知れぬ彼は頭部を風船のように破裂させ、周囲に骨と肉を撒き散らす。そして、頭を失った彼は糸の切れた人形のように崩れ落ち、私の前にぐしゃりと崩れ落ちた。
先程まで威勢の良い声を出していたならず者達は一斉に言葉を失い、呆然とした様子で返り血に塗れた私を見る。
少し前に白に殺しは感情を交えず行うべきと言っていた私だが、どうやら私もまだまだ子供であり未熟ということか。改めるべき事とは分かっているが、どうにも腹が立っていると自分でも止められなくなるのだ。子供の癇癪とでも言うべきものなのだろうか?
…………中忍になるまでにはこの性分をどうにかしたいな。
だが、それは今ではない。今はとてもじゃないが止まりそうもないのだ。
「さて、来たまえよ。
骨が砕ける感覚を、肉が潰れる感覚を、人がいかに脆いかを、生と死の間にはそれ程距離がないことを、今から君たち全員に教えてやる。
安心しろ、私の前に立った段階で君達は平等だ。
貧しさゆえにならず者になった者も、ただ自由に生きる為にならず者になった者も、止むに止まれぬ事情がありならず者になった者も私は平等に区別無く(みなごろ)す」
私が一歩前に踏み出すとならず者達の集団は二種類に別れた。片や私に対して挑む者、片や一目散に逃げ出す者……私は言ったはずだ平等に区別無く鏖すとな。
「ぎゃあああ!?」
逃げた者達の方から悲鳴が聞こえた。
どうやらならず者の集団の後ろに蜘蛛の巣のように仕掛けた解体用の鋼線に引っ掛かり、首か手か脚か……いずれにせよその五体のいずれか刻まれたようだ。
私に向かって来た者達の中にはその悲鳴に背後を振り返った愚か者がいたので、まずは彼らから片付ける事にしよう。
「私は意外と嫉妬深くてな、私の前で他の物事に気を取られるとつい虐めたくなってしまうのだよ」
「ひっ!?」
「八卦掌回天 (まとい)
以前ネジに使ったお遊びの物とは違い、今回は手加減などは一切必要ないだろう。
私の本気の回天は秒間六回転であり、そのスピードで首を持ち手としての纏は人体を先端速度時速300km超の鞭へと変化させて周囲を薙ぎ払う。単純な話、人間の重さを持った鞭を時速300kmで叩きつけるのだ。
威力としては並の人間を殺して余りある威力だろうが、(人間)は一回で壊れて(死んで)しまうのが欠点だな。
おや?ほう、持ち手()だけは残ったようだな。
私が存外丈夫だった(人間)だった物を私の周りに広がる血の海に投げ捨て、周囲に視線を向けると蜘蛛の子を散らすようにならず者達は橋から飛び降りて逃げた。
この高さから飛び降りれば骨が何本かは折れるな……運が良ければ助かるが、運が悪ければそのまま溺死と言ったところか。
「う、うう……」
ふむ、逃げる時に転んだ上に他の者に踏まれたものの奇跡的に生きていた者がいたようだな。どうやら脚の骨が折れていて歩けないらしく、両腕を使って這って動いているようだ。
しかし、私が近づく気配を察して悲鳴を上げて慌てて逃げようとするがその動きは私の歩みよりも遥かに遅い。
今回はこれで終いにするか。取り敢えずガトーを狙ったならず者を追い払う行為としては十分だろうし、私の憂さも大分晴れたといえる。
「さようならだ、名も知れない人間よ」
私がチャクラを纏わせた掌を彼に振り下ろし、その命を弾けさせようとした瞬間に私の腕が誰かの腕に握られて止められた。
「ヒジリ、やりすぎだ」
私が視線を腕の主に向けるとそれはガイ先生だった。
「やりすぎですか……それもそうですね。予定より殺しすぎるところでした、半数以上を殺すのは流石にやりすぎですね」
「そういう問題じゃない。お前ならもうここまでの事をしなくても追い払えたはずだぞ?」
「先生、私は障害を排除しただけです。そこにやり過ぎもなにも無いでしょう?それに端金で雇われたこんあならず者達から何かしら有益な情報を得られるとも考えられません。
寧ろ、半数を直接殺さなかったというのは我ながら随分と慈悲深いと思いますが?」
「違う、俺達忍は人殺しを躊躇ってはならないが、殺人鬼にはなってはならないという話だ」
「……意味がよく分からないのですが?」
「ならばハッキリと言おう。その仮面越しにでも分かる笑顔はなんだ?」
…………そうか、私は笑っていたのか。
「ヒジリ、今後殺しに快楽を持ち込む事は絶対に許さんぞ、いいな?」
「……分かりました」
我ながら嫌になるな……結局の所、私の本質はあの時から微塵も成長していないと言うことか。
そんな私の苛立ちを示すかのように、橋の上の残骸を海に落として片付けるために発動した弁財天の術はかつて無い程に乱れた形だった。




その後、橋から飛び降りて逃げ出して助かったならず者共の生き残りは突如として決起した建設グループの面々に痛めつけられたんだが、それの先頭に立った少年曰くナルト兄ちゃんの言葉で目が覚めた、だそうだ。
再不斬は白が救出したようで、テンテン曰く氷の鏡が急に出てきたと思ったら縛っていた再不斬がいなくなった、だそうだ。
一応、霧隠れの里には目撃情報を送るという事はやっておいたが、大した役には立たんだろう。
ガトーは自ら火の国の裁きを選び、余罪の尋問等は木の葉が受け持つ事となった。
ガトーカンパニー自体は役員の誰かしらが社長に就任して、方針を一気に変えたようだ。
建設グループに対して重役が一軒一軒頭を下げに行き、ガトーカンパニーの他国との豊富なコネクションを活用して建設グループに様々な仕事を提供する事になった。
今までの後ろ暗いイメージを払拭するために、小国への寄付や支援なども積極的のやっていくそうだ。
そこまでは結構な話なんだが……何故社名を変更した結果、ガトーカンパニー改めラビットカンパニーなのだ?海運と兎の関連性など聞いたことが無いのだが……何故だ?
まぁいい、橋の方は戦いから数日後に完成し、決起の先頭に立った少年の祖父がナルト大橋と名付けた。
…………ああ、それとどうでもいい話だが私が橋へ向かう時に轢いたのはどうやら建設グループの民家を襲おうとしたがナルトに気絶させられて木に釣りされてていた二人組のならず者だったらしく、幾つか骨が折れていたが治療費は出さずに済んだ。
まぁ、波の国の一件はおよそこのような形で決着がついた訳だな。
「その割にヒジリは不機嫌そうね?」
「自分の進歩の無さに腹を立てているだけだ」
「ふーん、ヒジリも人並みに悩むんだ」
「ああ」
「じゃあ、そんな悩めるヒジリに朗報だよ」
そう言ってテンテンは懐から何かのチケットを私に見せた。
「なんだこれは?」
「ガトーカンパ……じゃなくて、ラビットカンパニーの人がくれた温泉旅館の無料チケットだよ。木の葉に着くまでの道にあるから一泊しない?
別にいいよね、ガイ先生?」
「ああ、勿論だ!」
温泉か……ふむ、この思考をリセットするには悪い手段ではないな。
それに温泉旅館であればヒナタ達への土産も買えるだろう。




 
 

 
後書き
次回はほのぼの回の予定です 
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