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一週間

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第四章


第四章

「お掃除して洗濯して」
「洗濯も毎日やってるのか?」
「いいえ」
 それもだというのだ。
「溜まったらするようにしてるわ」
「それも毎日やれよ」
「洗濯は毎日しなくてもいいじゃない」
 優里亜はこのことについても随分とずぼらである。何につけてもそんな感じだった。
「全然ね」
「洗濯は毎日しろよな」
 健人は憮然とした顔になって彼女に言い返した。
「全くよ。それでも女かよ」
「女とかそういうの関係ないじゃない」
「あるよ」
「何であるの?」
「女ってのは奇麗好きなものだろ、それで洗濯も毎日しないってのはな」
「シャワーは毎日浴びてるわよ」
 ああ言えばこう言うだった。何もかもだ。
「ちゃんとね」
「それでもだよ。洗濯もな」
「毎日やったら水道代勿体無いし」
「じゃあシャワーも同じだろうが。幾ら洗濯物が少なくてもな、一人でもな」
「やれっていうのね」
「そうだよ」
 まさにそうだというのである。健人にしてはだ。
「何なら今から俺がやるぞ」
「いいわよ」
 しかし優里亜はそれはいいというのだった。
「それはね」
「そうなのかよ。じゃあ明日は掃除ちゃんとしろよ」
「あと洗濯もよね」
「ベッドの布団も干せよ」
 それも言い加えてきた。
「ダニが出たら女じゃねえからな」
「一人暮らしの女なんてそんなものよ」
「そうなのかよ」
「寮なんてもっと凄いらしいわよ」
 話はそこにも向かうのだった。
「寮とかはね」
「そんなにかよ」
「私は寮に入ったことないけれど」
 ゲームはそのまましている。
「それでもね」
「男の寮と同じかよ」
「もう壮絶らしいわ。高校生で女の子ばかりだとね」
「無法地帯か」
「殆どゲームとか漫画の世紀末ね」
 それだというのだ。
「あちこち荒れ果てていてね」
「花の園じゃねえのかよ」
「そんな訳ないじゃない」
 それはあっさりと否定された。見事なまでに。
「全然違うんだって」
「全然か」
「だから。世紀末救世主の世界なのよ」
「何か嫌な世界だな」
「女子寮に幻想持ったら駄目よ」
 優里亜はあくまで言う。
「というか女の子にね」
「御前見たらわかるな」
 健人は袋からハンバーガーを取り出しながら述べた。
「それはな」
「何か引っ掛かる言い方ね」
「そういう風に言ってんだよ」
 彼もこんな風に返す。
「ったくよ。それで明日は掃除なんだな」
「そうするわ。あとは」
「ゲームか、今みたいに」
「それとDVDね」
 どちらにしてもインドアであった。それは変わらない。
 
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