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一週間

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第二章


第二章

「だからどうだ?」
「一応考えてはおくわ」
 こう答えはした。
「明日一日かけてね」
「御前バイク乗れるな」
「ええ」
 実は彼女の趣味の一つである。750CCの大型を乗りこなしているのである。
「そうだけれど」
「ゲームも旅行も嫌なら飲んでろ」
 今度はこのことを言われた。
「ビールでもな」
「一週間酒浸りって。何処のアル中なのよ」
「嫌か?」
「太るじゃない」
 それを気にしての言葉である。
「ビールだけじゃ済まないし」
「じゃあ酒は駄目か」
「そうね。止めておくわ」
 酒浸りの生活は止めるのだった。
「バイクにしても一週間ずっとってのもあれだし」
「それじゃあやっぱり旅行じゃないのか?」
「そうかしら」
「全く。何でまた急にそれだけ有給取ったんだ」
「溜まってたのよ」
 だからだというのである。
「気付いたら一週間もね」
「まあ有給は気付いたら溜まるがな」
 それは優里亜だけでなく彼も同じだった。忙しい証拠である。
「それじゃあまあ。俺が行くのは夜だけになるけれどな」
「もうどうせだから同棲しない?」
 優里亜は不意にこんなことを提案した。
「二人で。どうかしら」
「そうだな。とりあえず今の仕事が終わったらな」
 それからだというのである。
「考えるか」
「どっちにしろ一週間は無理なのね」
「だから今忙しいんだよ」
 そのことをここでまた言うのだった。
「無理だよ、悪いな」
「そうなの。どっちにしろ一週間ね」
「とりあえずゆっくりしろ」
 言葉は少しばかり優しいものになった。
「いいな。それじゃあな」
「ええ、わかったら」
 これで彼氏との話は終わった。話を終えて携帯を置いて思うことは。
「無駄に休みだけあってもね」
 仕方ないということだった。とりあえず今はぼんやりとゲームをする。そのゲームの進みは順調だったが彼女の心は浮かないものだった。
 ゲームをきりのいいところで終えてそれで寝た起きると六時半だった。彼女は寝起きはいい。しかしそれが今はあまり面白く思えない理由になった。
「どうやって過ごそうかしら」
 考えながらとりあえずは朝御飯に買っていたジャムパンを牛乳で流し込みながらゲームをした。暫くしてから歯を磨いた。
 それが終わっても八時だった。時間はまだまだある。
 とりあえずはゲームをしていたが何か飽きたのでパジャマからシャツとジーンズに着替えて上にジャケットを羽織って部屋を出た。そうして向かうのは。
 とりあえず街に出ただけだった。しかし出てみるとだった。
 ただ歩くだけで本当に何もすることがない。困ったことにだ。
「ええと?」
 何もすることがなく街中でも困った顔になる。それであれこれ考えているとであった。
 ゲームセンターがあったのでそこでUFOキャッチャーをやった。それからゲームショップに入って新作を買った。ついでに会員に入っているレンタルビデオショップでドラマのDVDを借りた。それで帰ってもまだ昼だった。
 それでとりあえず家にあるカップラーメンを食べてまたゲームだった。ゲームをしていると夜になって彼氏の神楽健人が部屋に来た。
 細い顔をした背の高い若者で強い目の光を放っていてその目は二重で切れ長である。唇は薄く小さい。灰色がかった様な茶髪の髪は細く量が多くしかも癖がある。身体はかなり痩せている。その彼がやっと彼女の前に姿を現わしたのである。夜になってだ。
「元気か?」
「一応はね」
 外出時のジーンズのままベッドの上に座ってゲームをしながら彼に顔を向けて応えた。
 
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