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東方魔法録~Witches fell in love with him.

作者:枝瀬 景
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53 修了~Letter from her teacher.

私は人里に連行された。

六角形の帽子を頭にのせて、青いワンピースを着ている修羅が魔理沙の目の前で、腕組みして仁王立ちしていた。

「……………」

あわわ…!けーね先生ガチギレだよぉ。激おことかそんな生易しいものじゃないよ。
なんかこう…うっすらと闘気みたいなオーラが立ち上ってるのは目の錯覚にして見なかったことにしたいよぉ…。

「魔理沙!」

お母さんだ、と思うより早く、私の頬が強くひっぱたかれた。

「へ……?」
「いったい何を考えてるの!こんな危ない所にきて、こんな危ない目にあって!」

頬の傷み、魔理沙からすれば納得のいかない理不尽に感じる説教。
魔理沙は今にも泣き出しそうだった。

「だから私は言ったのよ!外に出るなって!」
「ぐすっ……」

どうして師匠の所に行っちゃいけないの?どうして家に居なきゃいけないの?しかも私、悪いやつをやっつけたんだよ?どうして……そんなにも怒られなきゃいけないの?

典型的な悪い叱り方だった。親は自分の考えを子どもに押し付け、頭ごなしに否定する。
子どもは自分の何が悪いのか気付こうとせず、自分を正当化している。
見かねた慧音は二人の間に立った。

「まぁ、二人とも。落ち着け」
「先生…!」
「少しの間任せてもらえないだろうか?」
「え、ええ…」

慧音は人里で教育者として信頼を寄せられている。
魔理沙の母親はしぶしぶと言うより、戸惑いながらも特に抵抗なくその場を慧音に預けた。
すると、慧音は魔理沙を優しく抱き寄せて言った。

「よくやった。魔理沙」
「え…?」
「この殺人鬼は中々しっぽを出さずに困っていたんだ。それを一人で倒したんだろ?偉いぞ魔理沙」
「ち、ちょっと先生…」

叱るのではなく褒める。予想外の慧音の行動に魔理沙の母親は戸惑った。
そんな母親に慧音は言った。

「褒めるべき所は褒める、叱るべき所は叱る。出ないと子どもはやる気をなくす」
「そう…かもしれませんが…」
「何が良くて何が悪いのか。しっかり解るように説明しないと、子どもは全否定されたように感じる」

慧音は魔理沙の頭を撫でながら言った。

「魔理沙は素晴らしいことをしたんだ。確かに危ない目にあった。しかし、結果論だが大手柄をたてた。まずは魔理沙が無事だったことを喜び褒めるべきだろう」
「…………」
「改めて言う。よくやった魔理沙。いつの間に魔法なんて覚えたんだ?」
「えへへ…」
「だがな、魔理沙」

慧音は撫でていた手でガシッと魔理沙の頭を鷲掴みした。

「えへへ…へ?」
「私を理由にして嘘をついたこと。行ってはいけないと言われた場所に行ったこと。親を心配させて悲しませたことについてはまだ終わってないぞ?」
「――――……」

ダラダラと嫌な汗が流れる。
慧音は再び修羅のような顔をした。

「褒めるべき所は褒める、叱るべき所は叱る。さっきは褒めたが……次は叱る番だ」

上げて落とす。ヤクザ顔負け(二つの意味で)の手段である。
慧音は魔理沙を鷲掴みしたまま逃げられないように固定し、自身の頭を後ろに反らし……魔理沙の額目掛けて振り下ろした。

「歯ァ喰い縛れェェ!!」
「きゃあぁぁぁああ!!」

頭ごっつんこ☆(><)
(精神的によろしくない音がしたのでディフォルメしてお届けします)

………………………………………
……………………………………
…………………………………

慧音の説教は夜まで続いた。あまりにも長い説教だったため、魔理沙の母親は夕食の支度のために先に帰っていた。

「今日はいい月だな魔理沙」

ヒートアップした説教と特大のたんこぶを冷やすために二人は外に出ていた。勿論、人里の中でだ。

「うん…」

二人とも説教で疲れたのか、それ以上会話は続かなかった。
しかし、二人は空を見上げて月を見る度に思い出すだろう。特に魔理沙はおでこをさすりながら。



















そしてあの日から何日か過ぎた。
魔理沙は罰として基本的に家で大人しくしていること、外を歩くときは大人の監視付きになった。期限はほとぼりが冷めるまで。
幸運なことに魔法のことはなにも言われなかったため、まだ若干ふてくされながらも魔法の練習をすることで大人しくしていた。

「魔理沙ー?貴方宛に何かが届いたわよ?」

初め、魔理沙は何が届いたのかわからず、不思議に思いながらも母の声に反応してそれを受け取った。
白色で、薄い四角形の形をした紙の片面には『To魔理沙』と書かれていて、その裏面には『from明希』と書かれていた。

その文字を目にした瞬間、魔理沙は大きく目を見開きとても驚いた。
驚きと喜びで興奮しながら、少し震え始めた手で、その四角形の正体を確めた。
色々弄っていると、『from明希』と書かれた面の隙間が開き、中から一枚の紙が出てきた。
それは幻想郷でも馴染みの薄い、西洋の形式の手紙だった。







To魔理沙

色々と大変だったね。取り合えず無事で良かったよ。
今の魔理沙ならそこら辺の妖怪だって倒せる実力があるけど、無理しちゃだめだよ。初めて殺意を向けられて怖かったでしょ?
まぁ、元気な魔理沙の事だろうから直ぐに立ち直ると思ってるよ。

そして魔理沙に1つ残念な事を伝えなきゃいけない。
もう、しばらくは会うことが出来ないだろう。理由はお互いにあるはず。わかってくれ。

けど、会えなくなるからといって破門にしたりしないから安心して。
たとえ何十年も会えないとしても、俺は魔理沙の師だし、魔理沙は俺の弟子だ。この事実は変わらないし無くならない。

会えなくなる代わりと言ってはなんだけど、師である俺から見習い魔法使いの最後の課題を課す。
これができたら魔理沙は一人の魔法使いになる。
でも勘違いしないでね。これが出来てやっとスタートラインに立つだけだから。一人前にはまだまだ遠いから研究や鍛練を欠かさないでね?

師、明希が弟子、魔理沙に課す最後の課題は魔法にテーマや属性を持たせて指向性を持たせること。
何でかは座学のときに説明したよね?

簡単かも知れないけど、一生懸命悩んでね?
それじゃあ、また会う日まで(・・・・・・・)元気でね、魔理沙。


P.S.ぶーぶー言うのはやめとけよ(笑)


              from明希









Thus,each girl's training continue.But,that is nothing but a simple check point for them.Will they actually come the fruit of one's training.
Next the story is set in ten years after.
 
 

 
後書き
おまけっ!そのじゅう

本編がガチシリアスで終わったせいで、おまけ!が後書きに侵食しました。作者です。
はい。雰囲気でお気付きの方もいらっしゃると思います。三章はこれでお仕舞いです。

え?と思う気持ちも最もです。作者の文が拙いので、ここで補足説明の場を設けたいと思います。

・結局、殺人犯は誰?
肉屋のおっちゃんと銀髪幼女の二人(・・)です。
銀髪幼女は紅魔館の包丁でブスリ。それ以外は肉屋のおっちゃん。

・何で紅魔館の包丁が外に?
銀髪幼女が盗んだ(・・・)からです。
実はこの幼女、一度外に出ています(・・・・・・・・・)
そんな描写無かった?わざとです。ですが、状況証拠は揃ってる筈です。あくまで、状況証拠ですが。
これは紅魔館の住人も知らないことで、銀髪幼女が語り手にならないとわからない、一人だけしか真実を知らないパターンです(完全犯罪?)。しかも、この章で幼女を語り手にするつもりはありませんでした。
何故一度外に出てまた戻って来たか。
簡単に言うと、幼女が珍品コレクターだからです。
珍品を求めて再び紅魔館に戻って、物置を漁っていたところ、レミリアに発見された、という裏ストーリーです。
この事と幼女がした殺人は、意志疎通が出来る頃には当人は忘れて真相は迷宮入りになる謎なのです。

・殺人犯と魔理沙が対峙するところがアッサリしすぎてない?
事件とは、時に突然降り掛かり、一瞬のうちに終わってしまうことがあります。今回はそれ。
ミスリードや思わせ振りが多かったのはごめんなさい。

・パチュリーはいつ時計を作るの?
作る描写はありません。次章ではすでにつくられています。

・英文が読めないです
>Next the story is set in ten years after.の大体の意味がわかれば十分です。他は演出で実際には大したことは書いてません(笑)


次回は予想がつくアレ(・・)です。長かったぁぁああ!!結構無駄に三章が続いてしまいました。ふぅ。
四章で初期に考えていたことがやっと出来る。 
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