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オズのムシノスケ

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第八幕その六

「オズの国で皆の迷惑になることがあればね」
「それをどうにかするのが僕達の義務だからね」
「これ位はね」
「当然のことだよ」
「だからなんですね」
「そう、だからね」
「礼には及ばないよ」
 だからだというのです。
「このことはね」
「全くね」
「それじゃあ」
「さて、それでは」
「蔦もなくなったし」
 それならというのです。
「今からね」
「大学に行こうか」
「そうですね、ボタン=ブライトを起こして」
「とにかく寝たら何時起きるかわからないのよね」
 ドロシーが困った顔で言って来ました。
「あの子は」
「すぐに起きることもあるんですよね」
「ええ、その場合もね」
 確かにあります、しかしそれでもと言うドロシーでした。
「けれど大抵はね」
「中々なんですね」
「特に酷い場合はね」
「今回みたいにですか」
「そう、幾ら声をかけても身体をゆすっても起きないのよ」
「目覚まし時計とかは」
 こう言ったのは恵梨香でした。
「効かないですか」
「あまりね」
 起こす時の定番もそれもなのです、ボタン=ブライトにはあまり意味がないのです。彼が深く寝ている時はです。
「だからなのよ」
「今回みたいにですか」
「そう、お菓子を枕元に置いたら起きるのよ」
「とびきり美味しいお菓子を沢山ですね」
「置いたらね」
 その匂いで、というのです。
「起きるのよ」
「これまでお話している通りに」
「そう、だからよ」
 それでだというのです。
「ここはそうするのよ」
「それにね」
 木樵も皆にお話します。
「オズの国では無理に起こすことは好まれないんだ
「叩き起こす様なことはですか」
 カルロスが尋ねます。
「そうしたことはしないんですね」
「そう、君達の世界では無理に起こそうとする場合もあるね」
「というか朝になれば大抵ですね」
「しないよ、起きてもらう様にするか自然に起きるのを待つんだ」
「だからボタン=ブライトもなんですね」
「そう、無理に起こさないんだよ」
「それにあの子はそうしても起きないからね」
 かかしも言います。
「それこそお水の中に入れてもね」
「起きないですか」
「そう、流石にそうしたことはしたことがないけれど」
「お池の中に入れても」
「浮かんでそのまま寝ているんだよ」
「何か凄いですね」
「あの子は溺れずに浮かぶんだよ」
 そうして寝ているというのです、お池の中でも。
「そうして寝続けるからね」
「ううん、凄いですね」
「そうした子だから」
「お菓子ですね」
「そう、北風で駄目ならね」
「太陽ですね」
「人には太陽の方がいいんだよ」
 起こすにしてもその他のことでもだというのです。 
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