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オズのムシノスケ

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第八幕その二

「目の前に急に眠り草があっても」
「それも有り得るよ」
「カリダが出て来ても」
「そう、驚かないことだよ」
 そうしたことがあってもというのです。
「そうして対処していくべきだよ」
「そういうことですね」
「そうだよ」
 そうしたお話をしているとです、実際にでした。
 一行の目の前に厄介なものが出て来ていました、それはといいますと。
 蔦です、しかも普通の蔦ではありません。自分からうねうねと動いて何かを絡め取ろうとしています。その蔦を見てです。
 恵梨香はです、首を傾げさせて言いました。
「確かあの蔦って」
「そうよね」
 ナターシャが恵梨香に応えます。
「オジョさんが捕まったことのある」
「そうした蔦よね」
「まさかここで出て来るなんて」
 それでと言うナターシャでした。
「こうしたことが本当にあるのね」
「オズの国はね」
「ううん、どうしたものかな」
 ジョージは腕を組んで難しいお顔になって言いました。
「あの蔦に捕まるとまずいよ」
「ここは火を使うべきじゃないからな」
 神宝が出した解決案はこれでした。
「植物だから火には絶対に弱いよ」
「そうだね、それはね」
 ジョージは神宝のその言葉に答えました。
「一番いいやり方だね」
「どっちにしてもあの蔦を放っておくと」
「迷惑だし」
 それ故にというのです。
「燃やしておこう」
「そういうことだね」
「そうね、それがいいわね」
 ドロシーもです、二人のやり取りに頷いて言うのでした、
「あの蔦は放っておいたら誰かの迷惑だし」
「わかりました、それじゃあ」
「今から燃やしましょう」
 ジョージと神宝はドロシーにも言われてあらためて頷きました、他の皆も蔦を燃やそうと言いました。ですが。
 トトがです、皆にこう尋ねました。
「燃やすのはいいとしてだよ」
「問題はどうして燃やすかだね」
 教授も言います。
「あの蔦に近付いてね」
「近付けばですね」
「それで」
 ジョージと神宝は教授の言葉を聞いてです、今度は困った感じのお顔になりました。そうして言うのでした。
「捕まって」
「動けなくなりますね」
「そこが問題だよ」
 だからだというのです。
「そして下手な火ではね」
「大きな相手ですから」
「燃やしきれないですね」
「そこが問題だよ」
 蔦を燃やせるだけの量の火を出してです、そして蔦に捕まらずに火を浴びせて燃やすかということの二つがです。
「具体的にどうするかがね」
「問題なんですね」
「さて、あの蔦はね」
 どうしたものかと言う教授でした。
「我々の誰もね」
「近付けないですね」
 カルロスが応えるのでした。
「迂闊には」
「蔦は一本や二本じゃないよ」
 見れば何十本もの蔦がうねうねと上下左右にです、蔦の茎と思われる部分を中心としてうねっています。 
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