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ひねくれヒーロー

作者:無花果
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健康は最初の条件


人生にとって健康は目的ではない。しかし、最初の条件なのである。
—武者小路実篤—

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健康は最初の条件


◆◇◆コン◆◇◆





志願書を提出し、座席番号につく

試験官側の一番端の席、草隠れの忍びに囲まれて、シュロやイカリと離れてしまった

席順はこんな感じ


サソリ  シュロ  デイダラ
草忍   草忍   イカリ
コン   草忍   小南
砂忍   砂忍   砂忍


この席順ある意味奇跡じゃないかな

口パクでシュロが気まずいと主張してくる


試験時間は一時間、試験用紙が配られ説明が終わる


まずは問題を眺め、時間配分を決めて取り掛かった


暗号問題は楽勝だな、解読班での任務の経験が生きてる

計算、証明、地理、歴史などなど・・・詰まることなく問題を解き終える

難しくもないし、簡単でもない、それなりに頭を使うテストだ


書き終えて見直しを始める

ケアレスミスは痛い、前世のテストの悲劇が蘇る


イカリは暗記得意だから大体とけるだろうし・・・問題はシュロだ

シノのように蟲に探らせれば良いものの、蜂は危ないから使わないと言いだしている

オレの所にカンニングすれば問題ないじゃないかと言ったが頑固なもの

頑なに自力で問題を解こうとしている


なんでそこまで蜂に拘るのか、シノのように小さな蟲でいいじゃないか・・・っとシノの蟲が来た

カンニングしやすいよう用紙を置き直してやる

しばらく眺めた後シノの元へ戻っていく・・・と思ったらまた蟲がやってきた

・・・この虫、おもちゃっぽいな・・・目を凝らして見てみればチャクラ糸が伸びている

・・・サソリ、か?


小さな折り鶴が机の上に飛来する

小南まで・・・


ふと顔を上げると赤丸と目があい、露骨に逸らされた


視線を落とすと見覚えのある粘土の蜘蛛がいるお前もか












・・・好きなだけカンニングしやがれ・・・













◆◇◆シュロ◆◇◆





(暗号文すら解けねえ・・・なんで暗部用暗号を使ってくれないんだ・・・)





◆◇◆サソリ◆◇◆




(・・・ペーパーテストなんて・・・何年ぶりだ・・・!?
 毒物問題ぐらいいれろよ木の葉!)




◆◇◆イカリ◆◇◆




(前のデイダラの貧乏ゆすりが気になって集中出来ない・・・
 あ、ヒナタがナルトに話しかけてる!
 がんばれひーちゃん、私がついてるぞ!)




◆◇◆デイダラ◆◇◆




(わかんねえ)





◆◇◆シノ◆◇◆





(カンニングするならコンだろう・・・何故ならコンはアカデミー男子クラス座学トップ・・・!
 キバも変なプライドを捨ててコンをカンニングするんだ・・・!)




◆◇◆キバ◆◇◆



(無理分んねえだけどねたみだけは駄目だねたみは駄目だ駄目だ駄目だ
 神様仏様コン様たすけて問題解けないねたみは駄目だって駄目だ
 あ、でもこれを切っ掛けに友達に・・・無理だ何カンニングしてやがるって言われる
 なんであいつ頭いいんだよぉ)

(くぅーん・・・)




◆◇◆サスケ◆◇◆




(態々頭よさそうな奴探さなくてもコンがいたじゃねぇか・・・!)






各々、深く考えすぎである








◆◇◆コン◆◇◆


まったく、どいつもこいつもオレの用紙をカンニングしにきやがって・・・

呆れてものも云えねえ

思わずため息をついて——盛大に吐血した


「げほっごえっごほっ!」


服に掛からなかったが、問題用紙が犠牲となってしまった

問題用紙ェ・・・

そう考えている間にも噎せ返してしまう

はやく新しい問題用紙を貰わなければ時間が・・・っ


「この子に新しい問題用紙をお願いしますわ」


そういってハンカチを渡してくれる隣の席

ありがてぇと顔を拝もうと直視すると・・・大蛇丸だった

あの髪の長い草忍である

やだこわい

渡された問題用紙を速攻で書き直していく

十問目の説明が始まっているが知ったことか

時間内に書き上げ一息ついていると視線を感じた—イビキさんだ


「お前、話聞いてたか?」


「十問目のことなら受けますよ?」


「・・・はぁ・・・
 ではここに残った84名全員に第一の試験合格を申し渡す!」


なんでオレ呆れられたんだろうか


「この試験はカンニングを前提としていた
 そのためカンニングの獲物として全ての回答を知る中忍を二名、あらかじめお前らの中に潜り込ませておいた」


その時小さなざわめきが起こる


「え、三人じゃねーの?」「オレあの小さい奴がそうだと思ってた・・・」


何故か皆がオレを見る

・・・小さい奴ってオレか?

何人オレの答えをカンニングしてるんだよ


「・・・まぁ中には自力で全問正解という奴もいたようだな・・・
 愚かなカンニングをした者は当然失格だ
 何故なら情報とはその時々において命よりも重い価値を発し
 任務や戦場では常に命がけで奪い合われるものだからだ・・・」


そういって額当てをはずし、拷問の痕を晒す

六班は見慣れたものだが、下忍のなかには怖気づく者もいる

唾を飲み込む音が響いた


「入口は突破した
 中忍選抜第一の試験は終了だ
 キミたちの健闘を祈る」

その瞬間窓ガラスを割って何者かが侵入する

身構える人々などお構いなしに高らかに彼女は宣言した

まったく・・・本当にあの人は——


「あんた達喜んでる場合じゃないわよ
 私は第二試験官、みたらしアンコ!次行くわよ次ぃ!!
 ついてらっしゃ「少しは忍べよ」い・・・・・・ね〜た〜み〜?」


しまった

そう思って口を防いだ時には既に遅く、周囲の視線が犯人がオレだということを指し示す

思わず考えていたツッコミがえらく響いてしまい誤魔化すに誤魔化せない

他の試験官たちが腹を抱えて笑いをこらえるなか、アンコさんはオレの元へ足早に近づいてきた





「いひゃいいひゃい(痛い痛い)」





頬を抓り上げられ、引きずられながら第44試験会場へと移動した





「ここが、死の森よ」


オレは頬を抓られ続けている

誰一人として助ける奴はいない

薄情者め


「いひゃい(痛い)」


「お黙り」


「あい」


「それじゃ第二の試験を始める前にあんたらにこの同意書を配っておくね!
 ・・・こっから先は死人もでるから、それについての同意をとっとかないとね
 私の責任になっちゃうからさーv」


明るく酷いことを言う人だ

何人か引いてますよ


「責任問題になって説教されればいいのに—v」


シュロ、お前勇者だな


「はん!私に説教なんてきかな「シナイちゃんに頼みます」・・・やめてよ私あのテンション駄目なんだから・・・
 まず第二試験の説明をするからこれにサインして、班ごとに後ろの小屋に行って提出してね
 ここではサバイバルに挑んでもらうわ
 なんでもありの—巻物争奪戦ね
 ちょっとねたみ、服から巻物出して」


両手で頬を抓ったままなのでオレに探させようとする

え、あのこれ服を弄らなきゃ取れない・・・セクハラにならない?大丈夫?

促されるまま巻物を取り出す


「ひゃい・・・ほへ?(これ?)」


「うん、それ
 この天の書と地の書、この二つをめぐって戦う
 ここには84人、つまり28チームが存在する
 その半分14チームには天、もう半分の14チームには地をそれぞれ1チーム一巻きずつ渡す
 天地両方の書を持った1チーム三人が中央の塔にたどり着くことが合格条件」


ただし——


「この第二試験の期限は120時間、すなわち五日間!
 自給自足のサバイバルだから猛獣、毒虫、毒草なんかに気をつけてね
 
 そして失格条件だけど、時間以内に塔に三人揃って天地の巻物を持ってこれなかったチーム
 班員を失った、再起不能者を出したチームが失格
 途中のギブアップは一切認めてないからね
 
 また、巻物の中身は塔の中にたどり着くまで見てはいけない
 それでは、同意書と巻物を交換するから試験スタートよ

 ・・・最後に一言アドバイス、死ぬな!」


ようやく解放された

このままずっと抓られたままかと案じていた
 


「コン・・・死ぬな」


背後から忍び寄ってきたシノ


「めんどうだけど、危なくなったら誰かに助けてもらうんだぞ」


兵糧丸を渡してくるシカマル


「匂い消しは持ってきてるな?吐血したらすぐ処理するんだぞ」


増血丸を握らせるサスケ


「さ、さっきも吐血してたから・・・これ・・・」


ハンカチをくれるヒナタ


「これ喉飴、あげるよ」


袋ごと飴をくれるチョウジ


「これ匂い消しのポプリよ貸してあげるわ」


ポプリを問答無用で服に突っ込んでくるイノ


「ごめんコン・・・オレ何にも持ってきてないってばよ・・・」

「ごめんねコン・・・せめてこのクナイを・・・」


何も用意してこなかったことにえらく落ち込むナルトとサクラ

クナイは良いよ、足りなくなったら大変だろ

サスケから貰ってあるから七班連名ということにしようぜ

いやそれよりもだ



「・・・お前ら、オレが死ぬとでも思ってるだろ」



なんで皆して何かしら渡してくるんだよ

今生の別れか



「・・・だってねたみだしな・・・」



犬塚、小声で言ったつもりでも聞こえてるからな





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小学生に負けてたまるかと勉強しまくったアカデミー時代

出世のために真面目に試験を受ける、ずれたやる気がこの結果



 
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