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魔法科高校~黒衣の人間主神~

作者:黒鐡
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九校戦編〈上〉
  バス旅行中×日本の家系について

「何も無ければいいのだが」

「何かあると報せでの警備なので、問題ないかと。それにストーリー原案を見た時は恐らくバス旅行中だと言うのは、覚えています」

『こちら上空にいる沙紀です、オールクリアーでまだ大丈夫の模様です』

「ご苦労、何かあったら教えてくれ。まあ予想通りと予想外があるからな」

バス内では、会長の服装とルックスで市原先輩は的確な判断だと言っていた。餌食を回避というのは、さすがに言い過ぎだが艶姿に耐えられる男子生徒はいないからだ。それでしばらく疲労感を出していた会長だったが、深雪の服装を見たのか少し落ち込んでいた。美貌には大きな魔力があると言うが、まさにそれだと俺は思う。

「それに先ほど深雪さんを見ていた視線通りなら、間違いなくだと思いますよ。それに織斑君は相手の魔法を無効化する能力を持っているので、会長の魔顔や美貌も全て通用しないという訳だと思います」

「・・・・リンちゃん」

ホントは彼女も知らない訳だが、一真君が本当は私達よりも年上の男性だと言う事を知っているのはここにいる会長と委員長と会頭のみだ。一真君は24歳で深雪さんも二十代だと知りながらも、年下のように対応している。今更だが、年上の一真を見るのは毎年の誕生日会の時のみだ。

「あの、会長はご気分が悪いのですか?」

「えっ?ううん、そういう訳ではないのだけど。ちょっと考え事かな」

「我々に心配をさせたくないという会長の御心遣いを尊重すべきとは存じましたが、ここで無理をされてますます体調を崩されては元も子もありません」

何か勘違いをしていると考えていたが、服部は大真面目な表情で心から会長の体調を案じていると分かる真剣な眼差しで、会長を見詰めている。その様子を俺の車内にあるディスプレイでバス車内を見ていたがあいつは何をしているんだか。そんな事言うから美貌の餌食になるんじゃないかと思った。少し顔が赤いのは、少々だらしなく座っていた所為で、サマードレスから見える太ももが覗いている為だろうが、膝はきちんと閉じていたが遅かったようだ。

「服部副会長。どこを見ているのですか?」

状況説明をすると、服部は会長の顔を見詰めているがそれ以外の箇所は見ていないと言いたいが同時に見てはいけないようにしていたが見ていた服部だった。視界に飛び込んで来たものから慌てて目を逸らすが、もう既に遅く狼狽を隠しきれていなかった。そんなので動揺する様子だと純情少年と見ていいのかな。

「市原先輩!?私は別に、何も見てなどっ・・・・・。いえ、その、会長に、ブランケットでもと思いまして・・・・・」

この場合は純情少年にとっては、上級生のお姉様にとってはいい餌食であった。その様子を見ていた深雪はクスクスと笑っていた。

「服部副会長が会長にブランケットを掛けて差し上げるんですか?ではどうぞ」

納得したと言わんばかりの訳知り顔で席を立ち、市原先輩は目と言葉で、服部に促した。会長はと言えば、心得たとばかり、恥ずかしそうな上目遣いで大きく開いた胸元を両手で隠す真似をする。あーあー、完全に策にハマった様子だな。服部はブランケットを両手で広げたままフリーズしてしまった様子を見た俺ら。会長と市原先輩は予想通りとなったのか、いつもより抑えが利かない状態を知っていた真由美と鈴音だった。

「何をしているんだ、あいつらは・・・・」

硬直している服部を、期待に満ちた眼差しで真由美を見上げ、それを横から鈴音が冷ややかに見ているという変則的な三竦みに摩利は微かな、自分以外には聞こえない程度の呆れ声をため息と同時に吐き出した。いつも通り服部が真由美の玩具にされているという様子だ、と分かって浮かせていた腰を座席に戻すのだった。口に出さなくとも摩利も真由美の体調を心配しただけ損したという感じだ。

「まあ・・・・いつも通りか・・・・」

ああやって真由美が弄り倒すから、服部がストレスを溜めこんで必要以上に二科生に対し見下していそうな態度を取り、更に副会長の振る舞いを会長として真由美が思い悩むという悪循環が生じているがまあ何とかなるのが内心思っていた。真由美が自分よりも遥かに大きな気苦労を常日頃抱えている。というのは摩利も知っている。彼女の実家は実家こそ古いが、渡辺綱の末裔かどうかは嘘か真かは分からず仕舞い。現在の勢力地図上で見るなら、百家の末流に辛うじてぶら下がっている。という程度。摩利は一種の突然変異と言うか先祖返りと言うか鬼子と言うか、とりあえず親類縁者の中で一人だけ突出した魔法の才能を有しており、その分、家族の期待は大きいものの魔法師社会で他家との駆け引きに煩わせるという事は、ほとんどない。あと鬼子というのは戦国†恋姫にいた鬼子とは違うのでここで言っとく。

それに対して現在四葉家と共に十師族の頂点に君臨している七草家の、跡取りではなくとも直系でしかも長女である真由美には高校在学中にして、高校生にもならない内からたびたび縁談が舞い込んで来ている。噂ではなく確実な情報で、彼女自身も十師族の中で比較してもなお「傑出した」と言える魔法才能の持つ将来を嘱望されている魔法界のサラブレッドだ。それに加え学校では生徒会長など務めて要らざる気苦労を背負い込んでいる有様。芯はタフでも楽ではない。ちなみに十師族の頂点が四葉家でも七草家であるが、十師族をコントロールしているのが零家だと言うのは最近になって知った。少し羽目を外すくらい見逃すべきだろうと摩利は思う。

そんな訳で、エスカレートするまで放置しておこうと何だかんだ言って、服部も構ってもらえて嬉しいようだし、と決めたか決めつけた摩利は、窓の外を見た。彼女の席は二人掛け通路側。必然的に窓側に座っている人間に目が入る。

「・・・・何でしょうか、摩利さん?」

こちらもあまり元気が無さそうな女子生徒が、摩利の視線に気づいて問い掛けてきた。

「んっ?いや、あたしは外を見ていただけだよ、花音」

摩利も遠景から隣の座席へ焦点を移し、とりわけ女子に人気の高いクールな笑みをその二年生、千代田花音へ向けた。彼女は摩利が特に目をかけている後輩で、次の風紀委員長には彼女を据えようと色々手を回している。俺に頼んだというより有無を言わせず作らせた引継資料を作らせた資料も彼女のためであり、花音がいなければ、摩利も詳細な資料を作ろうなどとは思わなかっただろうな。花音の千代田家は、同じ百家の中でも本流を構成する家で、優秀な魔法師を輩出する本当の意味での「百家」だ。

百家、というのは、家の数が百あるという意味ではない。十の位の次は百の位、という駄洒落みたいなもので、「十師族に次ぐ位の家柄」を意味する。ちなみに十師族も十の家系で構成されているという訳ではない。十師族を名乗る資格のある家系は合計二十八あって、その中でその時代に強力な魔法師を数多く出している家を上から順番に十家選んで「十師族」としている。真由美の七草家は特に多数の優秀な魔法師を輩出する事によって、四葉家は当代であり真夜は世界最強魔法師の一人と目され「極東の魔王」「夜の女王」の異名を持っている。まあ現当主の四葉家と七草家は表裏仲が良く、互いを尊敬しながら連携をしている。

現在十師族を構成する家は、「一条」「二木」「三矢」「四葉」「五輪」「六塚」「七草」「八代」「九島」「十文字」と、たまたま一から十までの数字が揃っているが、これは十師族をという序列が生まれてから初めての事で、今までは数字に二つ三つの重複・欠番があるんが当たり前とされていた。十師族と、その補欠とも言える残り十八の家系、そしてその次に位置する本物の「百家」。その百家の一つが千代田家であり、対物攻撃力を凌ぎ、陸上兵器相手なら十師族の実戦魔法師に勝るとも劣らない戦
闘力を誇る彼女は、千代田家の直系を名乗るに相応しい魔法力持ち主。花音が元気ないのは、家の仕事で忙しいとかではなく単純な理由でため息をついていた。ちなみに十師族を束ねている零家は、十師族には入ってないが百家の次ぐ家柄であり、最強の魔法師を語っていたのは十師族や師補十八家と百家が出来た時に最初にリーダーをしていた家柄である。それを知っているのは現十師族の直系にある会長か会頭のみである。

「花音・・・・・」

「はい?」

再び振り向いた花音の先には、先ほどと打って変わった顰め面。最も、顰に倣うの故事に似て、そんな表情さえ、摩利は魅力的だった。・・・・主に女性から見ても。

「宿舎に着くまで、精々二時間だろう。何でそのくらい待てないんだ?」

「あっ、それ、酷いです!小さな子供じゃあるまいし、あたしだって、二時間や三時間程度待てますよ!でもでも、今日はバスの中でもずっと一緒だって思ってたんですよ。少しくらいガッカリしてもいいじゃないですか!」

「お前たちはいつも一緒にいるじゃないか・・・・。いくらフィアンセとはいえ、下手をすればあの織斑兄妹よりも一緒にいる時間が長いんじゃないのか?(正確に言えば織斑兄妹ではなく織斑親子の方が正解なのだがな)」

「バス旅行なんて今時滅多に無いんですから、楽しみにしてたんですっ。去年はあたし一人でしたし。それに兄弟と許嫁同士なら、許嫁同士の方が一緒に居る時間が長くて当然です!」

「・・・・そうなのか?」

「もちろんです!」

胸を張って言っていたが、ホントは一真君と深雪さんの事は親子で血の繋がった本当の親子であるというのは入学前で知った事だ。なのでもちろん次の委員長である千代田先輩にもこういう秘匿情報は、すぐに口を出してしまうのであえて言っていないだけの様子だった。あとは摩利が花音の事は普段なら果断即決・有言実行、タフでポジティブで摩利好みの凛々しい少女なのだが・・・・。

「(毎度の事ながら、五十里が絡むと別人だな、コイツ・・・・)」

「だいたい何で、技術スタッフは別の車何ですか!走行中に作業何て出来ないんだから、分ける必要何て無いじゃないですか!このバスだってまだまだ乗れるし、席が足りないなら二階建てバスでも三階建てバスでもあるでしょうに!それに何で織斑君だけは自家用車を持っていて、妹さんと一緒に乗っているんですか!」

そう言い張っていたが、バス内から聞こえる俺の声によって静かになったバスであった。人間という生き物は、一部の例外を除いたら見たいものしか見ないよに出来ている。五感から得られる情報は、快適なものよりも不快なものの方が生物にとっては重要である事が多い。脅威になる物はいち早く見つけて排除するのが生存の鍵とされている。例えば皆殺しに出来る大量破壊兵器が、自分達へ向けられて知ったとしても土壇場になって事実を無視している。生存競争と縁が遠くなった先進国の人間ほど、その傾向は強いようだ。

『一真様!前方から対抗車線に違和感を感じます。それも車内からドウター反応があるようです』

「了解した、ゼロ。屋根をオープンにして深雪はIS展開で全身装甲にしてラファエルを呼び出せ、予定通りのなら分断させた後にGNビッグクローが役に立つから」

「了解しましたわお兄様」

「バスが停まり次第俺達の車は、ジャンプしてから外に出てスナイプ・ゼロはロボモードにして待機『一真様、車線前方に更に車が一台来ています。この反応は金属生命体だと思われます』ゼロ、久々に暴れろ!」

『こちらトレミー3番艦、艦長がいる方向にドウターゲート反応有り。オートマトン部隊とIS部隊をいつでも降下させる準備は出来ています』

「了解した。ドウターが現れた後は時間稼ぎでどんどん降下させろよ」

一方バス内では俺達が戦闘準備など知らないで、順調にバスが走っていた。好きなだけ愚痴ってスッキリした花音が窓際の席に座り、花音の横には摩利が座っていてエイミィやスバルと言った女子達はトーク疲れでウトウトしていたようだ。なお会長は服部を散々弄り倒して満足したのか、すやすやと眠っている。だからと言って落ち着きを取り戻してはいたが、窓際の席にいた花音が一番早く危険を察知したのだった。 
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