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インフィニット・ストラトス ―蒼炎の大鴉―

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学園祭、ファントムタスクの接触

学園祭の日がきた。俺と兼次はそれぞれ招待状を親友の勝平、優馬に送った。

2人とも俺たちが小学生の時からの親友で、今でも連絡を取り合っている。

ちなみに勝平、優馬は兼次が通っていた高校に通っている。それぞれ学年で7位、11位らしい。今は兼次がいなくなったから6、10か。

勝平は父親が外科医で、本人も同じ道を進むと言っていた。

優馬は家が伝統的な酒造メーカーだが、兄がそれを継ぐらしく、本人は技術者になるために日々勉強してる。

それはさておき、俺と兼次は出し物である[コスプレ喫茶]で執事をやらされていた。

やるからには真面目にやるのがモットーの俺は、休日に家の執事長を務める橋本さん(54)からいろいろ教えてもらった。兼次も参加してたな。むしろ、兼次の方が吸収が早かった。

それにしても…混むなぁ。内訳的には織斑40%兼次25%俺20%その他15%といったところか。

特に織斑はほんとに忙しなく働いている。そろそろ休憩させてやれよ。労働基準法無視もいいところだぜ。

そんな中、俺指名がくる。相手は簪と楯無さんだった。まぁ相手が例え彼女でもやることは同じ。他の客と同じようにするだけだ。

「それではお嬢様方、どうぞこちらへ」

空いている中央の席に2人を案内する。

「様になっているわね、和也くん」

「その…似合ってるよ、和也くん」

「お褒めにあずかり、光栄です」

こういう対応も学んできた。流石は橋本さんだ。執事歴36年は伊達じゃない。

「それで、ご注文はお決まりですか?」

「そうねえ、この[執事にご褒美セット]って何かしら?」

よりにもよってそれか…

「ハーブティーとポッキーのセットなのですが、ポッキーを執事に食べさせることができるという特典が付いております。ただし、執事に食べさせてもらうという特典はございませんので悪しからず」

「だって、簪ちゃん」

「…それ1つとケーキセット」

「それじゃあ私もケーキセットね」

「[執事にご褒美セット]がお1つ、ケーキセットがお2つ、以上でよろしいですね?」

「うん」

「かしこまりました。それでは少々お待ちください」

なんとかこなせたな。

ケーキなどはあらかじめ作ってあり、実質的に必要なのは飲み物の準備だけ。それも、飲み物自体は既に用意してあるため、カップに注ぎ、切ったケーキを皿に装うだけなので、さして時間はかからない。

俺は商品を受け取り、俺の分の椅子を持ってすぐテーブルに戻った。

「こちらケーキセットと執事にご褒美セットになります。それでは、失礼いたします」

持ってきた椅子を置き、静かに座る。

「和也くん、それ恥ずかしくないの?」

「これも仕事ですから」

「それじゃあ私から1本あげましょうか」

楯無さんがポッキーを1本抜き出し、俺の方に向ける。

「ほら、あーん」

「いただきます」

ポッキーの真ん中くらいまでを口に含み、前歯で噛みきる。個人的にはトッポの方が好きだが、ポッキーもイケるな。

簪はケーキを食べながらこちらを見ている。やりたいのだろうか?

「和也くん…私も」

簪も1本抜き出し、俺に向けてくる。

俺は口の中のポッキーを飲み込み、簪のポッキーを齧る。

簪は幸せそうな顔をしていた。そういえば付き合い始めて以来、こういうことをしたことはなかったな。ある意味いい機会だったのかもしれない。

それにしても、喉が渇くな。水が欲しいところだ。

「和也くん、そこのハーブティー飲んでいいわよ」

「ではお言葉にあまえて」

ハーブティーを飲む。すこし落ち着いた。

「和也くん、その…この後時間ある?」

簪が訊いてきた。たしかシフト的に、10分後から2時間ほど休憩が入っていたはずだ。

「10分後から休憩です。以後の2時間なら空いていますよ」

「だったら…一緒に回ろうよ」

「喜んで」

以後、ポッキーは普通に楯無さんと簪がおいしくいただきました。

のんびりと過ごしている楯無さんと簪に付き合っていたら、シフトの時間になった。

「じゃ、行こうか」

休憩に入ったから口調を元に戻した。

「うん」

それにしても、流石は国立といったところか。学園祭にかけている費用が違う。

「お前、和也だよな」

後ろから話しかけられる。振り向くと勝平、優馬がいた。

「久しぶりだな、和也」

「招待してくれたこと、感謝しているぜ」

「優馬、それは兼次に言ってやれ。俺が招待状を渡したのは勝平の方だから」

「ってもお前が口添えしてくれたんだろ?」

「まぁな」

「それよりお前、なんて格好してるんだよw」

勝平が爆笑する。

「そういう出し物だから仕方ない。1年1組に行ってみろ。意味がわかるし、今兼次が働いているから」

「おk。じゃあな」

勝平と優馬は1年1組の方に行った。

「知り合い?」

楯無さんが訪ねてくる。

「親友だよ。昔からのね」

「そう」

「いい奴らだよ。俺を特別扱いしない、対等に接してくれる。そんな奴らだ」

「あ、そういえばこれから生徒会の出し物があるんだった。行ってくるね」

楯無さんが走っていった。

「2人でゆっくりするか」

「うん」

簪が腕を組んできた。胸が当たってる。

それから、2人であちこちを回ってきた。

デートと呼ぶには物足りないものだったが、簪とこういう時間がとれただけでもよかったと思う。

回っているうちに第4アリーナにつく。

そこで行われていたのは、シンデレラという名のハンティングだった。

「これがシンデレラ?じょ、冗談じゃ…」

「………」

そんな時、アナウンスが流れる。

『さあ、ただいまからフリーエントリー組の参加です。皆さん、王子様の王冠目指して頑張ってください』

楯無さんの声だった。

そして雪崩れ込む数十人の女子。皆が織斑の王冠を狙っている。

「簪、シンデレラってこんな内容だったっけ?」

「絶対に違うと思う」

「だよな」

そんな中、織斑が1人の女性に引っ張られて、セットから消えた。

何か嫌な予感がする。

「簪、すまん。デートは中止だ。お前は兼次を呼んできてくれ」

「え…?」

「嫌な予感がするんだよ。兼次にはファントムタスクが出たかもしれないって言ったら分かると思う。急いでくれ」

「…わかった」

「埋め合わせはいずれする」

俺はアリーナの更衣室に走る。簪は兼次を呼びに1年1組に走る。

兼次、早く来いよ。


更衣室にたどり着くと、ファントムタスクと思われるアラクネが織斑と交戦していた。

俺はデルタカイを起動、リミッターを解除しアラクネにビームライフルを向け引き金を引く。

「貴様、ファントムタスクか」

「よお、イレギュラー。ついでにお前のISもいただいてやるよ、ハハハハ」

アラクネがエネルギーネットを放つ。

俺はリフレクタービットを即座に展開、防ぎながら牽制のビームライフルを撃つ。

「なかなかやるじゃねえか、そこのガキと違ってなあ!」

アラクネが距離を詰めてくる。

「格闘戦に持ち込めば勝てると思っているのか。愚かな」

シールドの武装を炸裂ボルトに変更、ビームサーベルを発振し接近する装甲脚を切断、さらに炸裂ボルトで追撃をかけるが、避けられた。

「やってくれるじゃねえか」

「さて、そろそろかな」

「何?」

更衣室の壁を破壊し、兼次のHi-νHWSが現れる。

「思った通りの時間だな、兼次」

「おうよ。で、こいつがファントムタスクか?」

「そうだ、殺す気でかかるぞ」

「了解だ」

「てめぇら無視してんじゃねえよ!!」

キレるアラクネの搭乗者。

「一夏、今のうちに逃げな。ここは俺たちが相手する」

「兼次、あいつは強いぞ。俺も戦う」

「やめろ。お前がいても足手まといになるだけだ。ここは俺たちに任せておけ」

「…わかったよ」

織斑が更衣室に空いた大穴から逃げ出す。

「さて、これで俺たちも本気で殺れるってわけだ」

「んだとゴラァ」

接近するアラクネ。

「テロリストどもに、人権などねえよなぁ」

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ナイトロが作動する。

アラクネの攻撃を回避し、背中にロングメガバスターを浴びせる。

さらに兼次がハイパーメガライフルのビームで装甲脚の1本を撃ち抜いた。

「今降伏すれば、命だけは助けてやるよ」

兼次がいい放つ。ある種の死刑宣告だ。

「降伏などするか!ガキ共がぁ!」

アラクネは銃撃で答えた。

「だってよ、和也」

「なら死んでもらおうか」

俺は炸裂ボルトをハイメガキャノンに変更、兼次はハイパーメガシールドをシールドに取り付け、それぞれアラクネに向けた。

そして同時にビームを照射した。

ISの装備の中でも桁違いの破壊力をもつビームがアラクネのいたところを焼き尽くす。

照射をやめた時、そこにはわずかなアラクネの残骸だけが残っていた。

「…逃げられたか」

「みたいだな」

「どうする?」

「追撃をかけるに決まっている」

――――――――――――――――――――

「クソ、あのガキ共がぁ…」

ビームが当たるギリギリのタイミングでアラクネからコアを切り離し、脱出したオータムはアリーナ内部で逃げ回っていた。

作戦は完全に失敗、今は逃げるほかない。

アリーナから出て、なんとかIS学園から脱出し、離れた場所の公園にたどり着いていた。

「次はぶっ殺してやるぞ、カラスのガキ共…」

――――――――――――――――――――

俺と兼次は奴の捜索をしたが見つからない。学園から脱出されたみたいだった。

「やはりいないか、和也」

「ああ、恐らく既に学園から出ている。これでは追撃できんな」

「んで、どうするんだ?」

「とりあえず楯無さんに報告しよう。生徒会室に行くぞ」

俺と兼次はISを解除し生徒会室に行った。

「楯無さん、ファントムタスクに逃げられた。もう学園にはいない。追撃は不可能だ」

「すいません、2人がかりで仕掛けておきながら…」

「いいわ。一夏くんを守ってくれただけで十分よ」

「これからどうするんだ?」

「先ほど、1組の代表候補生2人から交戦報告があったわ。逃げられたとのことよ」

「つまり、打つ手なしか」

「そうね」

「さて、どうしたものか…」

「ま、とりあえず今日はゆっくり休んで」

「了解です、生徒会長殿」

「わかりました」

俺たちは生徒会室を出る。

ファントムタスク…、次は…殺す

 
 

 
後書き
和也の嫌な予感はナイトロによる強化人間化の作用の1つです。
ニュータイプ的な直感を持っています。 
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