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ファイナルファンタジーⅠ

作者:風亜
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28話 『白きヒト』

 
前書き
【25話からの続き】 

 
 あの時─────そうだ、平原で目醒める前の…………


アイツは、王女に手を下して────違う、罪を着せられたんだ。

だから、賞金稼ぎや魔導士団に狙われて………拷問にまで掛けられてクリスタルの欠片を奪われそうに─────

聖騎士の奴とモンク野郎の協力もあって、何とか助け出せたが…………


オレもクリスタルの欠片を持ってたなンざ、この時まで知らなかった。

背の小せェ魔導士と、白魔法得意な割に騎士目指してる女も持ってやがって…………

あの時4つ集まったのは、偶然じゃなかったってのか?


 ────そして、カオス化した王にオレ達はやられたハズだった。

けどアイツが、オレ達を甦らせた………? 何の、力だったんだ。

ただの、白魔法じゃねェ。紅い、羽が─────


オレは結局アイツの事何も知らなくて、無理矢理ついてって知ろうともしたが…………

アイツは何を知ってて、オレは何を知らなかったってンだ。

なぁ、教えてくれよマゥ─────




( ………ッ! ここは……? あぁ、そーか。オンラクの町っつートコの宿屋、だったか…… )

 シーフのランクは、汗の滲んだ額に手をやりながらおもむろに身体を起こし、夜目の利く目で周囲を見やる。

( あ? ここ4人部屋だったか?? 1人床に寝てやがるが……。そーいやオレとビル以外に、野郎3人か。もう1人の女の方は、シファと同室で別の部屋だっけな )


 一時的に手を組む事になった協力者達の事を思い出しながらぼんやりしていると、まだ室内や窓の外は暗く夜中だというのに気付く。

( 雨、止ンでるみてェな。風も、それ程強くねェみてーだ。………何かのユメ見てた気ィするが、思い出せねェな。────クソ、もやもやするぜ。雨降ってねーし、ちょっくら外出て気分転換してくっか )

 1人床に寝ている者と他の者を起こさぬよう、ランクは忍び足で部屋を後にした。





 宿屋手前の噴水広場には先客が居た。後ろ姿で、絹糸のように長く白い髪。足元まで隠れた純白のワンピースに身を包み、その姿は夜目にも映えて微かに発光しているかのようだ。

( オマエ、は………? )

 喉まで出かかった声は出ず、ランクは思わず見覚えのある存在と姿を重ねる。赤マント姿ではないが、白銀の長髪があの存在を想わせる。

────ふと、噴水前を横切った白きヒトは音もなく駆け出し、ランクを誘うように波止場の方へ向かって行く。

( 待ってくれ、オマエは一体……!? )


 波止場の海面は荒ぶる事なく鎮まっており、夜闇の雲間からは蒼い月が覗く。

白きヒトは波止場の先端まで追って来たランクに対し、おもむろにこちらを振り向く。

自分と同じような、深いサファイア色の瞳。

………美しい顔立ちと、女性らしい柔らかな表情。


『貴方に………これを』


 儚げな両手で、クリスタルガラスの小瓶を差し出してくる。


『[空気の水]と呼ばれる物が、この中に入っています。地上の人がこれを身体に振り掛ければ水の膜に包まれ、その周りに限りない空気を作り出し、海流に流される事もなく自らの意思で自由に行動や会話ができ、効果は海中に居る限り続きます。────私たち人魚にとってはその逆に、地上で行動出来る唯一の手段』

「じゃあ、オマエは人魚……? まさかオレを、オレ達を荒海から引き上げてくれたのは───── 」

 ランクの言葉に小さく頷く、擬人化している白き人魚。

『水の源の欠片を司るお方………どうか貴方の、貴方々の力で"水のカオス"に囚われている人魚たちを救って下さい。私たち人魚は、水の源の力が完全に失われれば泡となって消えてしまいます。水のクリスタルは、海底神殿の奥底にあります……。その失われた輝きを、どうか取り戻して───── 』


 止める間もなく、波止場から向こう側の海へと浮上し霞のように白きヒトが消え行くと、風は強まり再び海は荒れ出した。

………その後、ランクはどこか夢心地で宿屋に戻り、早朝を迎えるや否や他の6人を叩き起こし昨晩の出来事を話して[空気の水]を手に入れた事を打ち明ける。



「ふ~ん……、それが[空気の水]かぁ。おれにはキレイな瓶に入ってるただの水にしか見えないな?」

「まぁそうね……、でも人魚がくれたんなら確かな物だと思うわよ」

 ランクが取り出して見せたクリスタルガラスの小瓶を怪訝そうに見つめるルーネスとレフィア。

「それにしても、船から荒海に投げ出されたのを助けてくれた上に[空気の水]もくれるなんて……、ランクったらよっぽどその人魚に好かれたんじゃない?」

「う、うっせーな……。助けられたのはシファもビルも同じだろッ」

「ランクさぁん、赤くなってまセんかっ?」

「なってねェッつの! とにかくコレで海底神殿行けンだから、後は殴り込むだけだろッ!」

「けれど僕ら全員で行ったら、町の方が心配だね。海魔の襲撃は、"水のカオス"を倒しに行ってる間もあるかも知れないし………」

「アルクゥの云う通りね……、だったらこうしましょ? あたしとルーネスでシファ達3人と海底神殿に行くわ! イングズとアルクゥは、町の防衛に務めて頂戴!」

「おぉ、いいぜレフィア! 二人もそれでいいか?」

「あぁ、異存ない」

「僕もOKだよ!」


「ランくん達も、それでいいかしら?」

「別に、構わねェけどよ………レフィア、お前なんで赤魔なンだ?」

「何よ、悪い? そりゃ別のジョブにもなれるけど、あたしこのジョブ気に入ってるんだもの」

「ふえっ? レフィアさん達は、別のジョブにもなれるんでスか……!?」

「あらビルくん、ジョブチェンジがそんなに珍しい?」

「え、だってわたし達はチェンジの仕様がないし………」

「そうなのシファ? ……まぁそんな事より、早く[空気の水]を使って海底神殿に向かいましょ!」 
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