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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第九話 はじめて見たツンデレその八

「ですから如何でしょうか」
「ダオ和菓子も好きよ」
 ダオさんは小夜子さんの誘いにまずは微笑んでこう答えた。
「あの甘さもいいわよね」
「それでは」
「いや、茶道でしょ」
「はい、そうです」
「茶道って正座するわとね」
「正座のこともご存知でしたか」
「知ってるわよ、だってホー=チ=ミンにも普通に日本人来てるし」 
 旅行となればそれこそ世界中何処にでも行く、それが日本人だ。僕も旅行は結構好きで子供の頃から楽しんでいる。
「住んでる人もいて」
「その中に、ですか」
「そう、茶道をしてる人もいてね」
 それで、というのだ。
「ダオ茶道見たのよ」
「そして正座もですか」
「あの座り方足痺れるわよね」
「足が慣れてくれますが」
「慣れるとかいう問題じゃなくて」
 痺れる、それ自体がというのだ、ダオさんは。
「痺れるからね」
「茶道はお嫌ですか」
「正座しないのならいいわよ」
 実に率直な言葉だった。
「それならね」
「いえ、それではです」
「茶道にならないのね」
「はい、正座してこそです」
 小夜子さんはもの静かだが強い口調でダオさんに答えた。
「茶道、華道もそうですが」
「そうでしょ、ダオ正座なんてとても無理だから」
「茶道部は、ですか」
「気持ちだけ受け取っておくわ」
 小夜子さんに気遣いも見せての断りの言葉だった。
「そういうことでね」
「わかりました、それでは」
「ええ、けれど茶道のお茶って」
「お抹茶ですね」
「あれもいいわよね」
 和菓子だけでなく、というのだ。
「ダオあのお茶は普通に飲んだことがあるけれど」
「ホー=チ=ミンにおいて」
「あれは好きよ、飲んだ後すっきりしてね」
「お茶を飲まれるだけでも」
「茶道をしなくても」
「楽しまれてもいいのです」
 それもまたよし、とだ。小夜子さんは微笑んでダオさんに話した。
「お茶は。茶道は道なので礼儀作法を守らなくてはいけませんが」
「飲むだけならっていうのね」
「はい、そのまま味を楽しまれるだけでも」
「いいのね」
「そうです、私は茶道の時以外もお茶を楽しんでいますが」
 そのお抹茶をというのだ。お茶の種類は数多いけれどお抹茶はお抹茶で実に美味しい、僕も大好きだ。
「そうしたことでもです」
「いいのね」
「左様です」
「じゃあお抹茶だけね」
 そのお茶だけをとだ、ダオさんは明るく言った。
「頂くわね」
「そうして頂いても嬉しいです」
 お抹茶好きとしてもと言う小夜子さんだった。
「私にしまして」
「それじゃあまた今度」
「お抹茶ならすぐに出せますよ」
 小野さんが食堂に来て言って来た。
「今すぐにでも」
「えっ、そうなの」
「お茶は各種揃えていまして」
「それでお抹茶もなの」
「はい、出せます」
 小野さんはにこりと笑ってダオさんに答えた。
「では今すぐにでしょうか」
「そうね」
 腕を組んで少し考えてからだ、ダオさんは小野さんに答えた。 
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