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ファイナルファンタジーⅠ

作者:風亜
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26話 ≪4つの鏡≫

 
前書き
《24話からの続き》 

 
◆勝敗の行方◆


 イプセンの古城内は所々天井と床が逆さになっており、おまけに小型から大型モンスターも徘徊していて探索は思ったよりはかどらない。

細長めの尻尾を持つ少年ジタンは、盗賊刀と呼ばれる握り部分を中心にした両先端に刀身が備わった得物を駆使し、

亜人の女性、竜騎士フライヤは自身の身の丈ほどある槍を巧みに操る。

黒魔道士の男の子ビビは、小さい身体から想像できない程の魔力を備えているらしくその黒魔法の威力は目を見張るものがあり、

額に一角のツノを持つ召喚士の女の子、エーコは召喚獣に力を借りつつ横笛のような物を奏で、ダメージを受けた仲間を白魔法で回復する役も担っていた。

 ………本来、この場に居るはずのない赤魔道士マゥスンは記憶を失くしているからと4人に気を遣わせるが、時折メンバーが危ない状況に陥ると持っていた細剣で戦闘の手助けをし、エーコに「あなたほんとにキオクないの~?」と疑われるが、「戦闘経験があるのなら、記憶を失っていても身体が憶えているものじゃ」とフライヤがフォローしてくれる。



「ふぅ……、さっきのトンベリ相手はちょっとヤバかったな。また厄介なのが出て来ない内に進もうぜ」

「うぅ、ジタン……とんずら使ってくれてもいいのにぃ」

 モンスターとの戦闘が苦手なのか、ビビはつい本音を漏らす。

「いや、けどあれ使うと何でか少しギル落としちまうからなぁ。なるべく使いたくないというか……まぁ、よっぽど危なかったらギルがどうとか言ってらんないけどな!」

「んもぅ、ジタンってば余計なヤツ相手してたらサラマンダーとの勝負に勝てないわよっ!」

「そうじゃな……サラマンダーの事じゃ、既に異世界への"鍵"となる物を見付けておるやも知れぬ」

「 ………… 」

 急かすエーコにフライヤが同意を示し、そうこうしている内に新たに上層へと続くリフトを発見しそれに乗って"4つの鏡"が飾られた壁画の間に行き着くが、そこには既に先客が待ちわびて居た。


「 ────遅かったな、ジタン。必要以上に他の連中と行動を共にしやがるから、動きが鈍るんだぜ。勝負は……俺の勝ちだな」

 腕を組み佇んでいたのは、やはり焔色の頭髪で逞しい体つきのサラマンダーだった。

「ま、確かに独りの方が身軽だろうけどな……。で、異世界への封印を解く鍵はそこの壁に掛かってるやつか?」

「調べては見たが、細かい事は知らねぇな。────俺にはもう関係ない話だ」

「それってどーゆうことよ、サラマンダーっ?」

 彼のつっけんどんな態度に、むっとするエーコ。

「お前らに同行する必要はなくなったって事だ、自分の"やり方"が正しいと判ったからな。……次に会う時は、敵同士かも知れねぇぜ」

 ろくな別れを告げずに立ち去ろうとするサラマンダーだが、去り際に赤マント姿の人物にだけ聴こえるように言葉を残す。

「……あんたも余計な奴らと行動するより、独りで"自らの真偽"とやらを確かめたらどうだ。その方が、気楽なもんだぜ」

「 ────── 」


「あ……行っちゃったよジタン、いいの?」

「これ以上あいつの生き方に口出しても、しょうがないだろ」

 怪訝そうなビビに、溜め息混じりで答えるジタン。

「……行動を共にした日々があろうと、いつしか別れの時は来るものじゃ」

「んもぅ、サラマンダーの分らず屋っ……!!」

 彼が去った後をどこか寂し気に見つめるフライヤと、もどかしい気持ちでいっぱいのエーコ。


「とにかく、この部屋を調べてみるか。オレは壁画にある鏡みたいなのを見てみるよ」

「じゃあエーコは、光ってる床を調べてみるね!……ほら、あんたもそーするのよっ」

「え? あ、うん……」

「では、私は周囲を調べてみよう」

 エーコとビビは光の筋が煌々としている床にしゃがみ込み、フライヤは壁画の間の周囲に目を向ける。


「 ────なぁマゥスン、オレと一緒に壁画の方見てみないか?」

 ジタンに声を掛けられ、歩み寄って見ると壁画はどうやら世界地図らしく、円形の4つの曇った鏡はそれぞれ四方に異なった場所を示すように配置され、そこから光の筋が部屋の中央の床に張り巡っていた。

「これって外れるのか……? よっと、お? 簡単に取れたぜ!」

 右手前の、黄色い縁取りの鏡を手に取るジタン。

「……ん? 鏡の縁に何か書いてあるな。"我が力は、揺れ動く地の底にて守られる"────どういう意味だろう。この壁画の世界地図に鏡で示されている場所の事、なのか?? マゥスンは、どう思う?」

「 ………… 」

 意見を求めるも、当のマゥスンは左手前の紅い縁取りの鏡を手にし、それを凝視したまま微動だにしていない。

「どうしたんだ? もしかして……マゥスンにも鏡の縁に書いてある文字が、読めるのか?」

「 ────"我が力は、高き山の熱き場所にて守られる"」

 静かにそう口にしたマゥスンに、ジタンは少し驚いた。

「やっぱりそうか! オレにしか読めない文字なのかと思ってたけど、マゥスンにも読めるんだな?」

「……ねぇジタン! 床の光の筋が二本消えたわっ」

「ジタンとマゥスンが、壁画の二つの鏡を取ったからかな……?」

 床を調べていたエーコとビビがそれに気付き、ジタンはマゥスン以外の3人に鏡を見せてみる。

「なぁ、この鏡の縁の文字みたいなの、読めるか?」

「えぇ~? これってウイユヴェールって場所で見た、ジタンにしか読めない文字じゃないのっ?」

「ほんとだ……、ボクには読めないよ」

「……私にも、やはり読めぬな」

 エーコとビビはジタンが持つ黄色い縁取りの鏡を見つめ、フライヤはマゥスンが手にしている紅い縁取りの鏡に目を向けるが、読みとれないらしい。

「みんなは、その筈だよな。けど……マゥスンには読めるみたいなんだ」

「えっ? あなたそれどーゆうことよ!」


「………文字が、語り掛けてくるようだった」

 エーコに言葉を促され、自身は何一つ感情を動かさず答えるマゥスン。

「ウイユヴェールでの、ジタンと同じ答えのようじゃな」

「ボク達には読めないのに、どうしてだろう……?」

「もしかしてあなたの場合、ウイユヴェールで倒れてたのと関係あるんじゃない? 何か思い出せないのっ?」

「 ………… 」

「エーコ、無理に聴き出さずとも良いじゃろう」

「まぁそれはそうと、残り二つの鏡も取ってみるか。────"我が力は、強き風の奥にて守られる"。────"我が力は、大地に囲まれし水の底にて守られる"……って書いてあるみたいだな」

 緑と青の鏡の縁取りの文字を読み上げたジタン。


「あ……床の光の模様、全部消えちゃったよ?」

「どうやら壁画に取り付けてあった4つの鏡が、封印と関係しているようじゃの」

「だとしたら! 壁画の世界地図に鏡が示されてた場所に行ってみればいいんじゃないっ?」

「フライヤとエーコの言う通りかもな……。4つの鏡の力で、"輝く島"の異世界への入口が開くって事かもしれない。────取り敢えずここを出て、他のみんなにも知らせてやらないとな!」

 5人が壁画の間を出て行こうとした時、恐ろしげな声が響き渡った。

≪────カガミ、モトニモドセ………≫
 
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