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『自分:第1章』

作者:零那
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『1ヶ月』

娘、生後1ヶ月。
たったの1ヶ月。
もう1ヶ月。
まだ1ヶ月。
...やのに、凄く大変。
既に疲れ切ってた。
体力的にも精神的にも。
1ヶ月間殆ど寝て無い。
苛々する。
叫びたくなる。
泣きたくなる。
夜泣きやグズりも、ユウや皆が起きんように神経も使う。
虐待を気にしてかどうか不明やけど、夜泣きの度に覗いてくるお母さん。
虐待は連鎖する。
理屈じゃ無い。
被虐待児で在る自分は実際に歪んでる。
神経崩壊してる欠陥品。
勿論、被虐待児で在る皆が皆そうじゃないのは解ってる。
零那が歪んでる要因は虐待だけじゃない。
でも、結局は凄くでかい要因になってるし、ハジマリは虐待からやし...
自分は育児に向いてない。
母親って立場には向いてない。
なるべきモノじゃ無かった。
こんな自分がナニカを育てるとか、思い上がりも甚だしい。
こんな自分になったのは全部全部あいつらのせい。
零那が人間としても駄目な奴で、親としても有り得んくらい駄目駄目なんは全部全部あいつらのせい。
あいつらを今迄以上に憎しみ恨むことで、零那の育児がうまくいかんことを責任転嫁した。
逃げ場が無かった。
苦しい。
産んでしまって申し訳なかった。
それでも愛しく想う、娘を...。

完全なエゴで苦しみの世界に導いてしまったのに。
馬鹿で哀れな親を...蔑んで下さい。
許して欲しいなんか思えん。
死んでも言わん。
産んでしまってごめんなさい。
こんな親でごめんなさい。


赤ちゃんは寝てる印象が強い。
それに、飲んだら寝るの繰り返しって聞いてた。
合間で起きてることはあっても起きっぱなしは無いって。
娘は、むしろ起きっぱなしだった。
零那は虐待受け始めてから長年不眠症。
長ければ10日間、寝れん日が続くこともあった。
不眠症って遺伝するん?
だったら、ホンマとことん最低な親やわ。
都合良く機嫌の良いときだけ可愛がる家族や、その家族とかに苛々してた。
けど、そんなん当たり前やんな。
所詮他人やもん。
結婚して家族になったって言っても、偽装家族やもんな。
本当の家族じゃ無い。
血より濃い深い信頼関係が在るわけでも無い。
零那を拾って救ってくれた組長、茉莉花先輩、蓮、舞、桜、高松のおっちゃん&お兄ちゃん...血より深い家族だと想えた大事な大事な存在は居た。
特別な存在。
罪の共有。
同じイタミの共有。
ユウが、この人達を越えることは無い。


娘の1ヶ月検診は正常だった。
外出もOKが出た。

零那は悪露が続いてた。

炎症も起こしてたらしい。
妙に痛かったのはそのせいか。
女は血の道悪くなったら辛いから、産後は絶対に無理したらあかんって怒られた。
軽く質問を受けて答えた。
育児状況や家族の非協力的なことなどが、ストレスになってるのは確かだろうからカウンセリング受けるようにって言われた。
母親がストレス抱えたら育児は煮詰まる。
それが原因で子供の体の成長や脳の成長、心の成長に支障を来す。
虐待も免れん状況を作りかねん。
ストレスは発散せなあかんって。


散歩が日課になり、秋口だったのもあって、気候的にも寝やすくなったのかな?
だいぶ落ち着いて寝てくれるようになった。
零那も、娘の笑顔と温かさにつられて眠りに入る事が増えた。
苛々も減り、愛情が増した。
娘の一挙一動に敏感に反応することが増えた。
娘が笑うと自分も自然と笑ってる。
ふと我に返り、キモイし自分!とかツッコんでしまうほど無意識に...。
産んだときの気持ちを思い返し、反芻する。

 
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