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魔法少女リリカルなのは~結界使いの転生者~

作者:DragonWill
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A's編
  事件の後に

「う・・・ここは・・・?」

はやては白い天井の部屋で目を覚ました。

「「「「「はやて(ちゃん)!!」」」」」
「すずかちゃん!!みんなも!!」

目を覚ましたはやてになのはたちが近づいていく。

「ここは一体・・・?」
「ここは時空管理局アースラの医務室だよ」
「アースラ?」

首をかしげて聞き返すはやて。

「まあ、追々説明していくとして・・はやてちゃん大丈夫?あの後はやてちゃん倒れちゃったんだよ?」
「倒れた?」

はやては初めての魔法使用にも関わらず、大規模砲撃を行使し、あれほどの激戦を繰り広げたため疲労と緊張の糸が切れそのまま気絶してしまったのだ。

「・・!?そうやっ!!リインフォース・・みんなは!?」
「・・・そ、それは・・・」
「?」

その言葉に皆は暗い表情を浮かべ、説明を聞いたはやては医務室を飛び出そうとするも、まだ足が動かないはやてはベッドから崩れ落ちる。

「いかな!!リインフォースのところへ!!」
「はやてちゃん!?」

それでも体を引きずり、車いすへと向かう。

「はやてちゃん!!」

すずかがはやての体に手を添えた。

「放して!!」
「ううん・・・一緒に行こう?」
「え・・・?」
「今いかないで後悔したくないでしょ?」
「もちろんや!!私が止めたらんと!!」

そしてすずかたちははやてを車いすに乗せて医務室を飛び出した。





「本当にいいんだな?」

雪の降る海鳴の公園にリインフォースと剛、そして守護騎士が揃っていた。

「ああ・・・ナハトヴァールは封じられたが、それは時間稼ぎに過ぎない。闇の書自体に致命的なバグがある以上、私が存在する限り暴走の危険が主に付き纏ってしまう。だから、今の内に破壊してほしい」
「・・・・そうか」
「損な役回りを押し付けてすまないと思っている」
「構いはしない。こんな役目は他の人間には押し付けられん」
「気に病む必要はない。私もお前の左腕を奪ってしまった。その償いの一抹とでも思ってくれればいい」
「君を恨むつもりはない。これはあくまでも私の油断が招いたこと。それに、年齢的にも潮時だと思っていたからな、これを機に戦闘からは引退して交渉人(ネゴシエーター)に集中できる」

他愛のない談笑かもしれないが、お互いに命を奪い合う人生を過ごしてきた彼らにとってこんな他愛のなさこそが最期に必要なことを理解しているからこその軽口であろう。

「将よ・・・主と皆を頼む」
「ああ・・・任されよう・・」

本体から切り離されたナハトヴァールと共にリインフォースが守護騎士も開放したために夜天の魔導書が破壊されても彼女たちは残るだろう。

しかし、彼女たちより、いや管制騎である彼女だからこそより密接に本体と関係しているリインフォースだけはどうしても本体が破壊されてしまえば一緒に運命を共にするしかないのだ。

「剛殿も、主の事をお願いします」
「もちろんだ」
「さて始めようか・・・・夜天の魔導書の本当の意味での終焉を・・・」

剛はリインフォースの前に立ち、鬼切を抜いた。

「待って!!」
「「「「「「「!?」」」」」」

しかし、そこにはやてがなのはたちに車いすを押されながらやってきた。

「あかん!!リインフォース、やめて!!破壊なんかせえんでいい!!私がちゃんと抑える!!大丈夫や、こんなんせえんでええ!!」

涙ながらに訴えるはやて。

しかし・・・・。

「主はやて、よいのですよ・・・・」

リインフォースは彼女の懇願を聞くことはなかった。

「いいことない!!いいことなんかなんもあらへん!!」
「ずいぶんと長い時を生きてきましたが、最後の最後で私は貴女に綺麗な名前と心を頂きました。ほんのわずかな時間でしたが、貴女と共に空を駆け、貴女の力になることができました。騎士たちも貴女のおそばに残すこともできました。もう心残りはありません」
「心残りとか、そんな・・・・」
「ですから、私は笑って逝けます」
「あかん!!私がきっと何とかする!!暴走なんかさせへんって約束したやんか!!」
「その約束はもう立派に守っていただきました」
「リインフォース!!」
「主の危険払い、主を守るのが魔導の器の勤め、貴女を守るためのもっとも優れたやり方を私に選ばせてください」
「そやけど・・・・ずっと悲しい思いしてきて・・やっと・・・やっと救われたんやないか!!」
「私の意志は、貴女の魔導と騎士たちの魂に残ります。私はいつも貴女のそばにいます」
「そんなんちゃう!!そんなんちゃうやろ!!」
「駄々っ子はご友人に嫌われますよ?聞き分けを・・・我が主」
「リインフォース!!」

はやては車いすを押してリインフォースに近づこうとしたが・・・。

「あっ!!」

車いすのタイヤが雪に埋もれていた段差に躓き、転んでしまう。

「「「「「はやて(ちゃん)!!」」」」」

皆が慌ててはやてに近づくも、その声は彼女には届いていなかった。

「なんでや・・・・これからやっと始まるのに・・・これからうんと幸せにしたげなあかんのに・・・」

はやての元にリインフォースが歩み寄る。

「大丈夫です・・・私はもう世界で一番幸福な魔導書ですから」
「・・・・リインフォース・・」
「それでは・・・・一つだけお願いがあります・・・」
「なんや・・・何でも言って」
「私は消えて小さく無力な欠片へと変わります。もしよろしければ私の名はその欠片ではなく、貴女がいずれ手にするであろう新たな魔導の器に贈ってあげていただけますか?・・・祝福の風、リインフォース・・・・私の願いはきっとその子に受け継がれます」
「リインフォース・・・・」
「はい・・・・我が主」

そしてリインフォースは剛の元へと戻って行く。

そして、剛の刃が彼女の胸に吸い込まれた。

「主はやて、守護騎士たち、そして我らを救おうと立ち上がってくれた勇者たちよ。・・・・ありがとう」

それがリインフォースの最後の言葉だった。

光の欠片となった彼女は消え去った。

「あっ・・・」

そして彼女がいた場所にははやての杖のデザインを模した剣十字のネックレスだけが残っていた。

「あっ・・・ああ・・・・・」

はやては動かぬ足で体を這いずり、彼女の遺品に近づいていく。

そしてそれを手に取った。

「うう、うわあああああああああああああああああああああああああああああああああん!!」

そして彼女は泣いた。

泣いて泣いて涙した。

今まで一度たりとも弱みを見せなかった彼女が心の底から、始めて大声で泣くことができた。

はやてはなのはたちに連れられて戻っても眠るまでひたすら泣き続けた。





「ふう・・・クロノの奴どこにいるんだ?」

同じころ、ユーノははやての資料を集めるために奮闘し、その報告をするためにクロノの元を訪れていた。

本来なら足の大怪我を負っていた彼も、今治療中の龍一と同じように医務室で寝ているべきなのだが、どういう訳か治癒魔法を使用していたわけではないのに足の負傷がある程度治っており、軽く治癒しただけで完治してしまっていたため、こうして自ら携わっているのである。

「どういうことですか!!クロノ執務官!!」
「おや?」

通路の向こうからお目当ての人物を怒鳴りつける声が聞こえてきたユーノは声の発生源に近づいていく。

すると、40代後半の男性がクロノに詰め寄っていた。

「どうもこうもない・・・八神はやて及び守護騎士たちは零課の保護観察の元に入りそれ以上彼女たちを罪に問うことはしない。これは決定事項だ」
「どうしてです!?八神はやてが重罪人があることは明白でしょう!?多くの人間を不幸にしただけでなく、中規模次元震の主犯者なのですよ!!」
「彼女が意図して引き起こしたことではないし、はやては守護騎士たちの動きには全く関知していなかった。彼女は完全な被害者と言う認識で捜査を進めている」
「何を言っているんだ!!彼女が被害者だと!!彼女にどれだけの罪があると思っているのですか!!彼女にはこれまでの被害者の罪を償わせなければならない!!私の娘の・・・君の父親だって!!」
「君こそ何を言っている?君の娘さんも僕の父さんも・・・それは前回の闇の書の主に罪がある。断じてそれは彼女の罪ではない。11年前の事件は加害者死亡と言うことで決着が着いている。その罪まで彼女に着せるのは言いがかりでしかない」
「じゃあ、守護騎士の連中は!?あの悪魔どもは今も生きているじゃないですか!!」
「前回までの闇の書事件ではそもそも彼女たちに人格の存在が確認されていない。よって責任能力を持っていないと判断されて『人』ではなくて『魔道具』扱いだから彼女たちの犯行の責任は全て主にあることになっている・・今回の事件に関しては人格があるから『人』として裁かれるが、彼女たちは今回の事件では大半が魔法生物ばかり襲っていたし、人を襲ったことは少なくまた誰一人として死んでいない。その分罪が軽くなり保護観察処分となった。もちろん魔力封印の処置は施されるがな」
「それなら、どうしてグレアムさんが管理局を退職して零課に逮捕されなければならないのですか!!あれだけ長年『闇の書事件』を追い続けてきた偉大な人を!!」
「零課の言い分では、今回の事件のそもそもの発端は彼にあるからだ。グレアム提督ははやてが闇の書の主であると言うことを知りながら長年放置し、しかも捜査妨害まで行っていた。さらにもう一つ理由がある。提督ははやての父親の友人を騙ってはやての保護者となった。地球では一度保護者と名乗り出た以上、未成年である間は彼女を監督し育児していく責任がある。子供の独立が異常なまでに早いミッドと違い、地球では子供の責任は親が取るのが一般なんだ。グレアム提督は彼女の保護者を名乗りながらも彼女に一度も会うことなく認識阻害の結界までつかってその状況に誰も疑問を持たないようにして実質的に彼女に救いを与えられる機会を完全に断ったんだ。今回の事件の根本的な原因は彼のその悪質な『育児放棄』にある。それに彼女に計画的に闇の書を完成させて彼女ごと凍結封印しようと裏で糸を引いてたんだから『殺人幇助』や『計画殺人』といっても過言じゃない」
「闇の書の主なんだからそれくらい当然でしょう!?一体何が問題あるんですか!?」
「・・・いいだろう根本的な問題を教えてやる。君の娘が死んだのは10歳程度の時だったな?」
「・・・・ええ。11歳で亡くなりました。あの悪魔どものせいでね!!」
「君が言っていることは、何をしても死の運命にただ偶々選ばれただけの自分の娘と同じような少女にそのまま助けも求めることも許さずに死ねと言っているようなものなんだぞ!!」
「違う!!一緒にするな!!」
「同じだよ!!あの時、たかが9歳の少女に何ができた!!どうやって助けを求めればよかった!!ただ『生きたい』と願うことすら許されないのか!?」
「!?」
「今回の処置は提督も納得済みのことだ。あれだけ闇の書を恨んでいた提督でさえ『あの娘を助けてくれ』と涙ながらに懇願してきたんだ。その為に必要なことなら自らの命すら投げ出す覚悟でね」
「嘘だっ!!」
「これ以上時間を無駄には出来ん。悪いがこれで失礼するよ」

ユーノの存在に気付いたクロノはその場を後にする。

「・・・・嘘だ、こんなの間違っている・・・・・・許さんぞ・・・闇の書の主!
 
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