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ルドガーinD×D (改)

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三話:黒猫拾いました

 
前書き

 

 
どうもルドガー・ウィル・クルスニク、今日から駒王学園一年生です。
………ああ、結局断り切れなくて人生二度目の高校生活のスタートだよ、ちくしょー!!
まあ、あれだ。こうなったら開き直ってもう一度青春を謳歌するしかない!!!
学園祭で歌ったり!!……するのは下手だからやめておこう。
以前やったバンドは俺の中では間違いなく黒歴史だ。掘り返すのは良くないな、うん。

後は彼女を作ったり!!……するのも色々と黒歴史があるな……。
ノヴァへの勘違い告白という俺の中でも最大級の黒歴史がな!!!
しかもヴェルから聞かされたノヴァの好きな相手が兄さんだったという
驚愕の事実は俺の心に深い傷を残した。しかもみんなの前で………。
人の秘密はやっぱり聞いたりしたらいけないよな、うん。

しかし、思い返してみると俺の青春って結構、酷いな……。
まあ、若い頃に馬鹿をやるのは普通かもしれないけど、余りにも酷い気がする。
部活とかにも入ってなかったしな。
……まあ、クランスピア社に受かるために訓練をしたり、
兄さんの為に料理を作ったり家事をしていたりしたから
時間がなかっただけなんだけどな。

まあ、時間はあるんだから今考えなくてもいいか。
今は差し迫った問題―――自己紹介をしないとな!!!

そう、今日から高校生活がスタートするということは当然のことながら
自己紹介が待っているということだ!!!
だが百社以上の面接を受けて来たこの俺に死角はない!!!

………まあ、要するには百社以上に落ちたんだけどな。
駅の食堂を受けた時はもう殆どやけくそで料理についてしか話さなかったからな。
どうせ落ちると思って挑んだ結果見事合格!!!
そして一度も出勤することなくクビに………まあ、エルと会えたからいいか。

さて、現在俺は先生に待たされて廊下で教室の中の様子を伺っているという状況だ。

「おーい、今日から転校生がこのクラスに来るぞ。」

これは先生の声だな。そして転校生は俺の事だな。

「先生、男ですか?それとも女ですか?」
「男だぞ。」
「「「っ!!先生、その人イケメンですか!!?」」」

え?何!?なんか俺が男だと分かった瞬間に物凄い食いついてきたぞ!!?
駒王学園は女子生徒の数が多いって聞いてたけどみんなこんな感じなの!!?

「ああ、百人が百人、イケメンだというぞ。」
「「「きゃあああああっ!!!!!」」」
「「「イケメンは死すべき!!!!!」」」

は!?なんか女子の黄色い声に混じって憎悪の籠った声が聞こえてくるぞ!!?
俺一度も顔を見せてないのになんか色々と標的にされてるんですけど!!?

「さらに運動神経も抜群!!!」

先生!!?一度も俺が動くところを見たことが無いのに適当なことを言うなよ!!!
絶対悪乗りして俺のハードルをムチャクチャに上げようとしてるよな!!?
やばい、クランスピア社の試験受ける時より緊張してきた……どうする俺!!?

『L1 いつも通りの自分を貫く。    R1 期待に応えて見せる!!』

ふっ……いいだろう。
その期待に応えて見せようじゃないか!!!
行くぞ!!R1だ!!!

「よーし、そろそろ入ってこい。」
「はい。」

覚悟を決めて教室の扉をガラリと開ける。

「「「きゃあああああっ!!!!!」」」
「カッコイイイイッ!!!!!」
「木場キュンとの男同士での絡みが欲しいわ!!!!!」

良かった……俺意外と顔はイケメンの部類に入ってたんだな。
後、何だか怪しげなことを言っている奴がいるような気がするが
まあ、気にしないほうがいいだろう。

「けっ、ただの幸薄そうな顔した奴じゃねえかよ。」
「ああ、絶対ニートになるぜ。」
「多額の借金も負うだろうな。」

そんなことを言う坊主頭と眼鏡と茶髪の男子。
失礼なことを言われているが真実なので中々言い返せない…!!
というかお前らは俺の過去でも覗いたのか?
余りに的確に言い当てすぎて怖いんだが……
それともこれも俺の不幸体質のなせる技だというのか!?

「よし、自己紹介をしてくれ。」
「ルドガー・ウィル・クルスニクだ。ルドガーって呼んでくれ。好きな物はトマトと猫。趣味は料理だ。」

自己紹介をするとともに用意しておいた『トマトクッキー』をみんなに配っていく。
トマトの美味しさを世界に広めるべく俺が用意しておいた『トマトクッキー』
兄さんなら涙を流して喜ぶ出来だ。さあ、反応はどうだ!!?

「「「おいしい!!!」」」
「「「イケメンなうえに料理が上手いとか爆発しやがれ!!!」」」

どうやら好評みたいだな。先程失礼なことを言ってきた男子三人も
血の涙を流しながらもしっかりと食べてくれているしな。
これで自己紹介、第一段階は成功だな。

「そして俺の特技は―――バクチュウ!!!はあっ!!!」

華麗に宙を舞い、ピタリと着地する。
ふっ、決まった!!!

「「「おおおおおおっ!!!!!」」」
「「「ちっ!!失敗すれば良かったものを!!!」」」

まあ、賛否両論あふれているが自己紹介はこんなものでいいか。
多分みんなに覚えて貰えただろう。
取りあえず、自己紹介は成功ということで。

「これからよろしくな。みんな。」





「ふう……結局あれから質問攻めにあって大変だったな。」

学校からの帰り道、人気のない裏路地でそう一人呟く。
べ、別に新しい町を探索してみようと思った結果
帰り道が分からなくなったわけじゃないんだからな!!!
サーゼクス様が用意してくれた一軒家の場所を
うっかり忘れてしまったわけでもないんだからな!!!
ル、ルドガー、迷子じゃないしー。

ごほん…まあ、冗談は置いておいて本当に今日は疲れたな……。
俺がどこから来たかとか聞かれた時は取りあえず誤魔化しておいたけど
これからも誤魔化し続けるのは難しいか?と言っても異世界から来ましたなんて
言えないしな……。まあ、適当に出身国をピックアップしておくか。
出来ればみんなが知らないようなところでな。

それとみんなにどうして眉毛までメッシュで染めているのかと言われたが
趣味だとしか答えられなかった……というか好きでやってるんだから人の勝手だろ!!
人の趣味にとやかく言うな!!!!!
いや、俺は怒ってなんかいないぞ?ただ心の中で叫んでいるだけだ。
え?それが怒っている?………子供にそんなこと言ってもわかんないですー。
俺まだ十五歳の子供だもん。……いや、精神年齢とか気にしちゃダメだって。

「はあ、とにかく大通りに出て家に帰るか。……ん?あれは?」

ふと目を凝らすと辺りが暗くて分かりづらいが路地の片隅に
一匹の黒猫が寝ているのが見えた。
猫か……そう言えば最後にルルの肉球をフニフニしたのはいつだったかな?
もうずいぶんと肉球を補充していない気がする……
よし、あの子に肉球を触らせてもらえないか頼んでみよう!!!
そう思い近づくが直ぐに黒猫の様子が可笑しいことに気づく。

「こいつ、怪我をしているのか!?」

よくよく見てみると黒猫は致命傷ではないが身体中に傷を負っている状態だった。
縄張り争いに負けたのか?いや、それにしては傷がおかしい。
どちらかと言うと鋭い刃物で切り裂かれたような感じだ。
そうなってくると虐待か?……猫を傷つける奴はそうじて地獄に落ちるべきだな…!!

もし見つけたら『絶拳』を一万発程お見舞いしてやらなければならないだろうな。
まあ、今はとにかくこの子の手当だ。一先ずこの子を家に連れて帰ろう。
そっと黒猫を抱きかかえようとするが黒猫は震えるからだを
無理やり起き上がらせて俺に警戒するように唸り声を上げる。

「安心してくれ、お前は俺が守るから。」

俺がそう言って頭を撫でると黒猫はホッとして気が抜けたように倒れ込んだ。
俺はそれを優しく抱きかかえて家まで一目散に走りだすのだった。





Side黒歌

今日は最悪な一日にゃ……。
白音の様子をこっそりと覗きに来たのまでは良かったんだけどその帰りに
堕天使に出会ってしまったにゃ。

実力自体は大したことはなかったから簡単に倒せたんだけどそいつは頭が働くというか
ずる賢い奴で自分がやられたら罠が発動するように仕掛けてあって
体中を斬られてしまったにゃ。おまけにご丁寧に痺れ薬まで仕込んでいたから
体の自由が利かなくなったので大人しく猫の姿になって誰にも見つからないように
隠れるしかなくなってしまったにゃ。

本当に今日は運が悪いにゃ……あいつは倒したからもう追ってはこないと思うけど
今の状態で敵に見つかったらやばいにゃ。まあ今は仙術で気配を消しているから
見つかっても他の猫と見分けはつかないと思うけど……。
そんなことを考えていると一人の少年が私に近づいて来ていたにゃ。
敵かどうかは分からないけど怪しまれるといけないので普通の猫のように
ジッと寝たふりをする。

「こいつ、怪我をしているのか!?」

そう言って少年が私の体を抱きかかえようとしてきたので
何とか体を起き上がらせて唸り声を上げて警戒する。
恐らくは私を普通の猫だと思って心配しているのだろうが油断は出来ない。
警戒しておくにこしたことはないにゃ。でもその警戒はすぐに解くことになった。

「安心してくれ、お前は俺が守るから。」

そう言われながら優しく頭を撫でられると、どうしようもなく安心してしまい
つい体の力を抜いてしまった。
そのまま倒れ込みそうになった私の体は少年に優しく抱きかかえられて
少年の家に連れていかれたのだった。


Sideout黒歌





どうもルドガーです。俺は今途方に暮れています、誰か助けてください。
え?まずは何があったか説明してくれだって?
しょうがないな。じゃあ、説明するぞ。
まず俺は傷ついた黒猫を抱えて帰ってきた。そして応急処置を施した。

うん、ここまでは何も可笑しいことはないな。
応急処置を終えた後は黒猫が眠たそうにしていたので俺のベッドに寝かしてやった。
そしてやる事のなくなった俺は今日一日の疲れもあって黒猫と一緒にベッドに入って寝た。
ここも何も可笑しいことはないよな?ただこの後―――起きた後が大事なんだ。

俺が朝食を作るために休日でありながらも早めに起きると
隣に黒髪で妖艶なダイナマイトボディの美女が寝ていたんだ―――裸で。
いや、何を言っているか分からないかもしれないが俺にも分からない。

俺は確かに黒猫と一緒に寝たはずだよな?
なのになんで目を覚ましたら俺は美女と一緒にベッドインしているんだ?
え?なに?これは夢なのか?
取りあえず自分の顔を一発殴ってみる。
うん……痛い。

「どうなってるんだあああああ!!!??」
「にゃ!?うるさいにゃ!!!」
「あ、ごめん―――て、取りあえず状況説明してくれ!!!後あんたは誰なんだ!!?」

俺の叫び声に目を覚ました美女にうるさいと言われたが正直いってこの状況に
叫ぶなと言う方が無理だろ!!!状況説明を求める!!!!!

「そんな……ひどいにゃ。昨日はあんなに優しく抱いてくれたのに……。」

手で顔を覆って悲しそうに俯く美女……。
……え?俺いつの間にか大人の階段を上っちゃってたの!!?
嘘だろ……全く覚えてないぞ?初めてぐらい覚えてないとまずいんじゃないのか!!?
しかも見ず知らずの女性となんて……
ああ、どこからか兄さんが『ルドガー…兄さんはそんな風に育てた覚えはないぞ!!』
て、言っている気がする……ごめん、兄さん。出来の悪い弟で……。

「傷だらけの私を抱いてくれて手当までしてくれたのに……忘れるなんてひどいにゃ。」

ん?傷だらけ?手当?………まさか!!

「あの黒猫なのか!!?」
「ようやく気づいてくれたにゃ。」

いやいや、普通は気づかないだろ!!!
第一、拾ってきた黒猫が次の日に美女になるとかビ○ォーア○ターもビックリの
変わりようだろ!!!??というかむしろ別人だろ!!!!!
はあ…はあ…まあ、いい。取りあえずこの美女が昨日の黒猫だというのは分かった。
今はそれよりも気になることがある。

「黒猫なのはわかったけど、どうして裸なんだ?」

裸を決して見ないように背中を背けながらそう尋ねる。

「私は裸じゃないと寝られないから脱いでるだけにゃ。」
「そ、そうか、じゃあ俺が何かしたわけじゃないんだな?」
「少し女のプライドに触るけど、別に何もされてないにゃ。」

ふう、よかった。俺はまだ大人の階段を上っていなかったんだな。
これで一先ずは安心だ―――っ!!!??
な、何なんだ!?この背中に当たる柔らかい二つの感触は!!!??

「助けてくれたお礼に触らせてあげてもいいにゃん♪」
「結構です!!!」

勢いよく飛び去り美女から離れる。
べ、別に後悔なんかこれっぽっちもしてないぞ?本当だ。

「にゃはははは!!!面白い子にゃ。」
「くうぅ……。」

俺は人にいじられるのがデフォルトなのか?
何だかミュゼにも似たようなことをされてからかわれていたような気が……
いや、気にしてもしょうがないな。強く生きる、それだけだ!!!

「ところで、名前を教えてくれないかにゃ?今のままだと呼びづらいにゃ。」
「それもそうだな……俺は、ルドガー、ルドガー・ウィル・クルスニクだ。」
「私は黒歌にゃ、よろしくにゃ、ルドガー。」
「ああ!!」

爽やかに自己紹介しているように見えるが俺は黒歌が裸なので
黒歌の方を全く見ていない。はたから見たら黒歌が俺の背中に自己紹介している
という何ともおかしな光景に見えるだろう。
これは断じて俺のせいではない!!裸でいる黒歌のせいだ!!!
そうだと言ったらそうだ!!!!

「ルドガー、私、お腹が減ったにゃ。」
「はあ……わかった。すぐに朝ごはんを作るから待っててくれ。」
「ありがとうにゃ♪」

何と言うか……気ままな奴だな、黒歌は。まあ、そういうところは猫らしいのか?
さて、久しぶりに人に作る料理だ、気合を入れて作らないとな。
メニューは『トマト風オムレツ』『トマトサラダ』『トマトスープ』で決定だな。
トマトが多い?これが我が家の定番なんだから文句言わないの。

 
 

 
後書き
前作よりも黒歌との出会いが早いです。
状況によっては黒歌の為に禍の団につくかも。 
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