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魔法少女リリカルなのは~結界使いの転生者~

作者:DragonWill
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無印編
  時の箱庭・前篇

 
前書き
予想以上に長くなったので三部作に分けます。
今日中に三つ全部投稿される予定です。 

 
アラーム音が鳴り響き、慌ただしく人々が動き回るアースラの中で、一か所だけ物静かな場所が存在した。

それは、医務室である。

「フェイトちゃん・・・」

瞳に光をなくし、生きる気力さえ失ったフェイトは使い魔のアルフによって運ばれ、医務室のベッドに寝かされていた。

なのはたちもその様子を心配そうに眺めていた。

誰も彼女にかける言葉を見いだせずにいた。

それも当然であろう。

目の前でたった一人の母親に拒絶されたのだ。

その絶望は計り知れない。

「フェイトちゃん。私は行くね・・・プレシアさんを止めてくる」
「「なのは(ちゃん)・・・」」
「このままじゃ、地球が大変なことになっちゃうみたいだし、このままフェイトちゃんがプレシアさんとお別れなんてあんまりだから・・・プレシアさんの所に行ってくる」
「僕も行くよ。なのは」

なのはが医務室を出ようとするところにユーノが着いていった。

「テスタロッサ・・・」

なのはとユーノが出て行った後、龍一がフェイトに話しかけた。

「君の悲しみも絶望も僕には完全には分からないだろ・・・だから知ったような戯言を言うつもりはない」

だが・・・・・。

「君はそれでいいのか?・・・このまま何もかも諦めてしまうつもりか?」

フェイトに反応はない。

「これは他でもない君の・・・『フェイト・テスタロッサ』の物語だ。君の物語の主役は君しかいない」

いまだに反応はないが構わず続ける。

「このまま諦めるのも、もう一度立ち上がるのも君の自由だ。だけど、これだけは覚えていてくれ。どの道を選ぼうと君は君だ。君の物語はまだ始まってすらいない」

そして、龍一は扉に向かう。

「待ってるよ・・・・・」

そして、彼は扉から出て行った。





時の庭園に転移したなのは、ユーノ、龍一、クロノの4人はプレシアの元に向かう。

ちなみに、剛は3人を待つクロノの先に向かったようだ。

「ユーノ君は知っているだろうが、全員そこらじゅうにある穴には気を付けてくれ」
「この穴って?」
「虚数空間。魔力が発動しない空間だ」
「飛行魔法さえキャンセルされる。落ちたら重力の底まで真っ逆さまだ」
「高町は特にどんくさいからな。うっかり転んで穴にダイブしないでくれよ」
「そんなことないもん!!」

少し走ると、大きな扉だった(、、、)らしきものを発見する。

原型をとどめないくらいに破壊されていた扉の向こうには、多くの魔導兵の残骸が散らばっていた。

「これって・・・剛さんが?」
「多分そうだと思う」
「あの人ほんとに人間なのか?」
「我が父ながら、自分でも時々そう思う」

4人はその惨状に唖然としていたが、直ぐに気を締め直すことになる。

なぜなら、再び転移魔法陣が展開され、新たな魔導兵が登場したからである。

「全部相手にしてたらきりがない!!」
「二手に分かれるよ!!君たちは最上階にある駆動炉の封印を頼む!!」
「クロノ君は!?」
「プレシアを止める!!」
『スティンガースナイプ』
「スナイプショット!!」

クロノは魔力弾を放ち、次々と魔導兵を撃ちぬいていく。

『クロノ執務官!!わたしも出ます!!庭園内で次元震の進行を抑えます!!』
「それなら僕も手伝おう」
『龍一君!?』
「心配しなくても足手まといにはならない。僕は結界魔法だけなら自信がある!!」
『分かりました。くれぐれも気を付けてください』
「感謝します」

こうして、クロノはプレシアの所に、なのはとユーノは駆動炉に、龍一はリンディの元にそれぞれ動き出した。





一方その頃、医務室では・・・。

「フェイト。あの娘たちが心配だから、あたしもちょっと手伝ってくるね」

しかし、フェイトからの返事はない。

「すぐ帰ってくるからね・・・」

アルフは立ち上がり、医務室の扉に向かう。

「二人とも、フェイトの事よろしくね」
「「はい!!」」

そして、フェイトはなのはたちの元に向かった。

アルフが出て行ってしばらく経ったころ。

「ねえ」

アリサがフェイトに話しかける。

「あんたはいつまでそうしてるの?」
「アリサちゃん?」

すずかがアリサの言葉に目を見開く。

「そうやって、現実から目を背けるつもり?」
「アリサちゃん!!」

すずかがアリサを止めようとするが、アリサはフェイトの胸ぐらを掴み上げ、なお続ける。

「辛いのも悲しいのも当然だけど、そこから逃げることは誰にもできないのよ!!早く目を覚ましなさいよ!!このままじゃ、あんたはあの女に何も伝えられずにずっと会えなくなるかもしれないのよ!!」

アリサの発破がきいたのか、フェイトの瞳に光が戻る。

「母さんは・・・一度も私を見てくれなかった」

ポツポツと彼女は自分の胸の内を打ち明ける。

「私は母さんに笑って欲しかった。私がいままで頑張ってこられたのは、母さんの笑顔がもう一度見たかったから。でも、母さんがずっと求めていたのはアリシアで私はただの失敗作・・・・・・・私は生まれてきちゃいけなかったのかな?」

瞳に涙を溜めて誰にでもなく自問する。

「馬鹿言うんじゃないわよ!!」
「え?」

しかし、その問いにアリサが答える。

「なのはが何のためにこの事件に関わり続けたと思っているの!?実力差のあるあんたに、それでも必死に食らいついて、練習して、怪我しそうになって、それでもやめなかったのは、あんたと友達になりたかったからなのよ!!」
「私と・・・?」
「そうよ。生まれてきちゃいけなかったなんて馬鹿なこと言わないで!!」

アリサも涙を流しながら叫ぶ。

すずかがヒビの入ったバルディッシュを持ってきてフェイトに渡した。

「バルディッシュ・・・・・私たちのこれからはまだ始まってもいないのかな?」
『ゲットセット』

デバイス形態に変形したバルディッシュを握りしめ涙を流すフェイト。

「そうだよね。お前もずっと私のそばにいてくれたんだものね。このまま終わっちゃうなんて、悔しいよね?」
『イエッサー』

そして黄色い光がバルディッシュを覆い、光が晴れるとそこにはヒビが完全になくなったバルディッシュがあった。

『リカバリーコンプリート』
「私たちの全てはまだ始まってもいない。だから、本当の自分を始めるために、今までの自分を終わらせよう」

そしてフェイトはバリアジャケットを身に纏う。

その瞳に、もう涙はなかった。

「ありがとう。おかげで少し元気が出た」
「お礼は全部終わってからよ」
「上手く行くかは分からないけど、もう一度頑張ってみる」
「いってらっしゃい。お母さんに自分の気持ちをぶつけておいで」
「頑張ってね、フェイトちゃん」
「うん。行ってくる」

そして、フェイトは時の庭園に転移していった。





なのはたち駆動炉封印組はアルフと合流し、そのまま最上階を目指していた。

次々と襲い掛かってくる魔導兵をなのはのバスターで撃ち抜き、アルフが魔導兵に使用されているケーブルを食いちぎる。

「後から後からきりがない!!」

大規模破壊魔法を持たないユーノはチェーンバインドや結界魔法を応用した空間固定で魔導兵を建物に縫い付けていたが、そのうちの一体が拘束を抜け出してしまった。

「なのは!!」

ユーノは魔導兵の狙い先になのはがいることに気付き、警告しようにも、すでに魔導兵はなのはに照準を合わせ、攻撃している。

「くそ!!間に合え!!」

なのはは気付いたが、後ろからの攻撃に対処が間に合わない。

『サンダーレイジ』

その時、上空から黄色い魔力光の稲妻が降り注ぐ。

「サンダーーーーーレイジーーーーーーーー!!」

その掛け声とともに、稲妻は威力を増し、その場の魔導兵全てを破壊した。

「フェイト?」
「は・・・・・」
「フェイトちゃん?」

フェイトがなのはの元に近づいてくる。

「あの・・・・・」

なのははフェイトに声を掛けたくても、何を話しかけたらいいのかが思いつかない。

そこに、先ほどの魔導兵と比べものにならないほどの大型魔導兵が壁を壊しながら出現した。

「「「!?」」」
「大型だ。防御が固い」
「え?」
「でも・・・二人でなら」
「っ!?・・・うん・・・・うんうん!!」

その言葉になのはは満面の笑みで答える。

二人は大型の攻撃を縦横無尽に飛び回り攪乱していく。

「チェーンバインド・エルキドゥ!!」

そこにユーノのチェーンバインドが大型魔導兵の腕に絡まり、動きを封じた。

「二人とも今だ!!」
「バルディッシュ!!」
『ゲットセット』
「こっちもだよ!!レイジングハート!!」
『スタンバイレディ』

フェイトとなのははデバイスを砲撃用に変形させる。

「サンダーーースマッシャーーーーーー!!」
「ディバイーーーーンバスターーーーー!!」

なのはとフェイトの砲撃が同時に命中する。

しかし、その攻撃も魔導兵の障壁に阻まれる。

「「せーーーーのっ!!」」

二人はさらに砲撃の出力を上げ、魔導兵の障壁を突破し、砲撃は魔導兵を貫いた。

「フェイトちゃん」
「うん」

なのははフェイトを見やり、フェイトも短く返す。

もう大丈夫。

そうなのはは彼女の力強い意志を秘めた瞳にそう思った。

「フェイトーーーーーーーーーー!!」

そんな彼女にアルフが泣きながら飛びいてきた。

「アルフ、心配かけてごめんね」

そんなアルフをフェイトは優しく撫でていた。





一方その頃。

プレシアとアリシアの遺体が待つ場所で・・・。

「ふん。口ほどにもない男ね」
「ぐ・・・があ・・・・・」

守宮剛は全身から焦げ臭い匂いを放ち、所々に酷い火傷を負って倒れていた。
 
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