アテネ
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第三章
そのうえでだ、こう話すのだった。
「何かな」
「ああ、贈りものを貰い続けるのはいいがな」
「これ以上はな」
「貰うとな」
それが続くと、というのだ。
「アテナ様もポセイドン様も本気だぞ」
「選べるのはどちらかだけだ」
「両方は選べない」
「だからな」
「片方だけしか選べないから」
だからだというのだ。
「選ばれなかった方が怒られるとな」
「後が大変だぞ」
「どちらの方もかなりのお力だ」
「この街も消し飛ぶぞ」
「だからな」
「ここはな」
どうすべきかとだ、彼等は考えた。そうしてだ。
二柱の神々のボルテージが上がってだ、危険水域に達しようというところになっていることにも気付いてだ、彼等は決心したのだった。
「ここだな」
「ああ、今度はな」
「そろそろな」
「我々から動くか」
「そうすべきだな」
こう話してだ、そのうえで。
アテナとポセイドンにだ、こう言ったのだった。
「あの、私達もそろそろ」
「決めさせて頂きます」
「どちらの方に街の守護神になって頂くか」
「それを決めさせて頂きます」
「そうですか、遂にですか」
「決めるのだな」
アテナとポセイドンも彼等の話を聞いて頷く。
「いよいよ」
「我等のどちらを守護神とするのか」
「はい、是非」
「そうさせて頂きます」
人間達は神々に言った、そうして。
アテナもポセイドンもだ、それぞれだった。人間達に対して言った。
「それではです」
「最後の贈りものをしよう」
「そしてそのうえで」
「選んでもらう」
こう言ってだ、最後にだった。
アテナは街の者達にオリーブを贈った、ポセイドンは馬を。しかしその馬を見てだ、街の者達はこう話した。
「馬はな」
「ああ、我等も既に持っているしな」
「いい馬は買える」
「だからな」
「馬はな」
「いいものだが特にな」
「取り立ててではない」
こう言うのだった。
しかしだ、アテナの贈りものを見てだった。
オリーブだった、そのオリーブを見て彼等は目を瞠って話した。
「おい、見ろオリーブだ」
「ああ、これは凄いぞ」
「こんな高価なものを貰えるとはな」
「オリーブからは油も採れる」
「何でも使える」
まだヘレネスの土地にはオリーブは僅かしかなかった、その為驚いたのである。
「これはいいぞ」
「ああ、確かに馬も悪くないけれどな」
「ここはオリーブだな」
「これはいい」
「これしかない」
こうしてだった、オリーブが決め手になってだ。
街の者達はアテナを選んだ、そしてだった。
守護神に選ばれたアテナは大喜びでだ、ニンフ達に言った。
「まずは街の名前を決めましょう」
「はい、あの街の名前ですね」
「何にされますか」
「アテネとします」
この名前にするというのだ。
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