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メイジVSウィッチ

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第五章


第五章

「私はだ」
「うん」
「自分の気持ちを言うことはどうもな」
「僕もなんだよね」
 お互いに言い合う。
「だから。どうしてもな」
「そうだよね」
「しかし。こうなったのもだ」
「何かの縁だろうね」
 二人は互いに微笑んでこう言った。
「だとすればだ」
「もうお互いにね。今までみたいなのはね」
「それはわかった」
「うん」
「しかしだ。どうもな」
「ええと、どっちが先に」
 今度は二人共はにかんでしまった。どうにもこうにも何かが恥ずかしい感じでだ。それで戸惑いながらだ。またお互いに話す。
「先に言ってくれ」
「いや、そっちが先に」
 また互いに言い合う。今度は顔を赤らめさせながらだ。
「私に先に言わせるのか」
「そっちこそ」
「だからだ。私は言えないのだ」
「僕だってだよ」
 今度もこんなやり取りをするのだった。
「ううむ、こんなことを言うのはだ」
「今までなかったしね」
「それで男が先にだな」
「レディーファーストじゃない」
「しかしそれでも私は」
「僕だってその」
 ここまできてお互いに言えない二人だった。扉の向こうにいる面々はそんな二人を見ながらだ。どうにもこうにも歯がゆかった。
「だから言えばいいだろ」
「言えば終わりじゃない」
「どっちでもいいから早くな」
「言いなさいって」
「一言でいいんだよ」
「ほら、勇気を出してよ」
 彼等にとってはもうそれだけで済む話だった。しかしである。肝心の二人はお互いに顔を真っ赤にさせたまま中々言えない。その一言がだ。
「言ってくれ」
「ああ、鳴かせてみたい不如帰」
「ここで戸惑うかよ、あの二人は」
「何考えてるのよ」
 いい加減もどかしくなって飛び出して二人に無理にでも言わせようと思いはじめた。しかしここで、であった。まさにようやくである。
「よし」
「そうだね」
 二人は遂に意を決した顔になったのであった。
「決めたぞ、いいな」
「うん、いいよ」
 こうお互いに言ってであった。そして。
「同時だ」
「そうだね、同時だね」
「二人同時に言えば問題はない」
「どっちが先にというのもないから」
「それでも。まだ言うのは恥ずかしいが」
「僕だってね」
 それでもだった。二人にとってもこのまま何も言わないままでいるというのは辛かった。二人が最も緊張していてそれに耐えられなかったからだ。それで遂にであった。
「それでもだ。言うぞ」
「そうだね。じゃあ」
 そしてだった。二人は一呼吸置いて。また言った。
「いいな」
「うん」
「一、ニの三でだ」
「二人同時に言おう」
 こう話してであった。
 
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