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ソードアート・オンライン  ~生きる少年~

作者:一騎
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第一章   護れなかった少年
  第二十九話  悪夢の後で

 
前書き
ひっさしぶりに投稿します!!

残念だったなぁッ!! まだ失踪してなかったんだよッ!!

......はいすみませんでした!! 

 
「えっと......ありがとうございました......」

大体リズに抱きついて子供みたいに泣きわめいてから数十分。

......正直すげえ気まずいです......。ハイ。

「あ、う、うん。どういたしまして?」

うぅ......会話が続かない......。

何か......何かないものか......。

そんなことを考えていると、

「そ、そうだ!!ハンマードロップしてない?」

そ、そういえば元々それが目的だった。

慌てて前に出ていたリザルト画面を見る。

最後までじっくりみたが、そこにハンマーらしきものはなかった。

「うーん......ごめん。無いや」

するとリズは若干肩を竦めながら、

「そっか。でも落ちてないならしょうがないかぁ......」

と、そこで頭の片隅に何か引っかかる。

(ハンマー......そういえばこのフロア内でそれらしきものを見た気が......)

「あ」
「え、どしたの?」

そういえば、スライムが落ちて来て壊れた玉座、あれにハンマーが......。

そう思いながら、フロアの中心にある、破砕した玉座に小走りで向かう。

そして辿り着くと同時に破片をどかし、探し始める。

「ちょ、どうしたの?」

リズが聞いて来るが、とりあえずは探すことに集中。

ガサガサと残骸を探りながら探す。

と、指に冷たい硬質な何かが当たる。

これだーー!!

そう思いながら引っ張り出す。

それは金属と木の棒で出来たもので、金属が横棒、そして木の棒が縦棒となり、Tの字を形成している。

金属の横棒の片方は円形をしており、ここでものを叩くことが出来るだろう。

もう片方は潰れているような形だ。

間違いない。この物質はーー

「手すりっ!!」

叫びながら地面に叩きつける。

そう、手すりだった。あの玉座とかについている手を置くところである。

「ど、どうしたの!?」

急な行動にリズが声を上げるがそこは無視。

イライラしながら再度残骸を退かしながら探し始める。

と、指に硬質で冷たい何かが当たる。

......今度こそちゃんとハンマーでありますように......また手すりだったら切れるかもしれないし。

思いっきり引っ張り出す。

「よかった......ちゃんとハンマーだった......」

「え? 何が?」

引っ張り出せたのはハンマーだった。

形的にはさっきの手すりの破片とあんまり変わらないが、引っ張り出した瞬間に、アイテム名が表示されたのだが、そこにハンマーとついているのでハンマーだろう。そうに違いない。違ったら困る。

んで、改めてアイテム名を見る。

『ヘパイストス・ハンマー』

ヘパイストスって......。

確かギリシャ神話のオリュンポス12神の一柱で、鍛治の神だった気がする。単位あってるかわからないけど。

「見つけたよー」

手に持ったハンマーを振り上げながらリズに言う。

「ホント!?」

嬉しそうに言いながら駆け寄ってくるリズ。その嬉しそうな顔を見て若干微笑みながら答える。

「ホント。はい、これ」

そしてハンマーを渡すと、嬉しそうな顔でお礼を言われる。

さてと、これで依頼は完了......と。

「ねえ......」

と、そこでリズが声をかけてくる。

「ん、何?」

なんだろうと思い、振り返って聞き返すと.....

「や、やっぱりなんでもない」

そう言ってふいっと顔を逸らされる。......ものっそい悲しそうな顔で。

「......どうかしたの?」

ー☆ー☆ー☆ー

リズベットside

「や、やっぱりなんでもない」

言葉を濁す。

本当は『過去に何があったか教えて』って言おうとしたんだけど、流石にダメよね。

「......どうかしたの?」

ソラが訝しげに見てくる。

どうしよう、あそこまで聞いちゃうと気になるし、何より、もしかしたら話して少しでも気持ちが楽になったらな......とかもおもうし......。でも結果はソラの心の傷を抉ることになっちゃうし......。

悶々と考えていると、そこでソラが口を開いた。

「取り敢えず一旦戻ろう。戻る途中で話は聞くからさ」

「......うん」

取り敢えずうなづきながら歩き出す。

そうだ。帰りながら聞けばいいんだ。ソラは基本倹約家だから転移結晶は使わず歩いて行くはず。

答えて貰えるかはわからないけどきっと聞ける。

それで少しでもソラが気持ち的に楽になればいいし......。

そう思いながら私は先に歩き出していたソラの方に走り出した。

ー☆ー☆ー☆ー

ソラside

「じゃ、今日はここで解散と言うことで」

「う、うん.......」

場所は32層主街区《ミレアム》。
あの迷宮からやっと戻って来た所で僕にリズにそう切り出した。

そういえば、終始何か言いたそうだったけど何も行って来ない。どしたんだろ?

ま、いつか聞いてくるでしょ。

そう楽観的に捉えてリズに「じゃ、
また」と言いながら歩き出し、この町の中にある月読のみんなとの集合場所に向かう。

と、その瞬間。

()()()()()()

冗談でもシャレでも何でもない純粋な殺意とともに感じる。

ドッと汗が噴き出て、それと同時にバッと振り返ると――

「ありゃ、見つかっちまった」

そう笑いながら人垣の中からケイが出てきた。

ついでメイやハク達、つまり月読のみんなが出てくる。

「......ケ......イ......? み......んな.......?」

そうやって出した声が妙に嗄れていた。

「おいおい、ソラどーしたよそんな嗄れた声しちゃって。さっきもメッチャバッて振り返ってたし」

そう言いながら笑い。僕が振り返った時の真似をする。

そしてソレを見てみんなが笑う。

殺気と視線を感じて振り返るとそこにはケイ達が。だが。その元はケイ達じゃ無いだろう。

......じゃあ......気のせい、だったのか......?

あの殺気も視線も......。

あ、いや、視線は月読のみんなかな。

そこまで考えて張り詰めていた息を一気にふう......とはき出す。

どうやら僕の気のせいだったみたいだし。

「......は......はは......」

安心したら笑いがこみ上げて来た。

ケイは相変わらず僕の振り返る時を真似して笑っている。

「そ、そこまで過剰じゃなかったし!!」

そう言いながら笑い、中に入っていく。

「じゃあ、こうかぁ~?」

そう言いながらケイが笑いながらさっきの真似に気持ち悪いクネクネとした動きを入れながら振り返る。

「ケイキモイよ!!」

そう言いながらメイが笑う。

それに釣られてハクやブライやセン、さらにはアンスまでが笑っている。

そして僕も釣られて笑う。

そうしてみんなでバカみたいに笑いながら僕はこう願った。願ってしまった。

(――この生活が続けばいいなぁ......)

―☆―☆―☆―

リズベットside

ソラと別れてから数歩歩いたところで立ち止まり空を仰ぐ。

(......結局......聞けなかったな......)

結局、聞けなかった。何回も聞くチャンスはあったのに。ソラのトラウマを抉ってしまうかも、というデメリットが怖かったから。

......いや、違う。私が怖かったのはソラの傷口を抉って嫌われること。

最後まで私は自分のことしか考えてなかった。

そんな自分に虫唾が走ると同時に悔しさで唇を噛む。

背後を振り帰ると、ソラが月読のメンバーと思われる人達と談笑している。

楽しそうに笑っている。

あの時、悲しそうに詩音、と呼ばれた少女の形をしたモンスターを倒したときとは正反対な顔をしている。

ソラの過去に何があったかは分からないけど。それでも、私はソラの仲間で居たい。

そう思い続けながら、私はこの場所を後にした。

―☆―☆―☆―

???side

「......oh、何てことだ。 どうやら俺の好敵手は俺の殺気に気づかない所まで弱くなっているようだ」

何時までも気づかないものだからバレやすい様にわざとやったのに。

まぁ、月読とか呼ばれてるギルドのメンバーが来たって言う理由もあるが。

「year!! そうだ。アイツに言ったことを本当にすればアイツもまた強くなるだろう」

ターゲットは......あの鍛冶屋の女より、あいつらの方がよさそうだ。

だが、そうなると俺一人よりもあいつらと一緒にやった方が良いだろう。

ああ、それがいい。そうしよう。

「盛大なお祭りにしよう。It's showtime」 
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