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魔法科高校~黒衣の人間主神~

作者:黒鐡
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入学編〈下〉
  九重寺での調査報告

「剣道部、司甲か。あいつに調べてもらうか」

「蒼い翼なら、すぐに調べられますが?」

「いやなに、あいつの出番があまりないからな。出番を増やさないと、何か陰で言われそうだし。萌えオタクでもあるから、暴走させないためにもな」

蒼太にそう言ってから、俺はいつも通り深雪を待ってから共に家に帰宅した。そして夕食後に俺と深雪だけで、バイクに乗りながら走らせていた。目的地は九重寺である。バイクはもちろんゼロであるし、ヘルメットを被っている。それに正当な理由なき魔法の使用は刑事罰になるからであり、例え未成年であっても受刑を免れない。今のゼロは大型自動二輪車で、本来ならこれもダメだが西暦2095年現在の道路交通法には、自走二輪車の免許取得は「中学卒業」と定められているが俺は中学など行っていない。

まあこれは蒼い翼によるコネを使って運転しているからだ。年齢ではなく、共通義務教育の終了が免許取得資格となるそうだが。俺は蒼い翼関連の免許取るところでやったからで、条件無視したようなもんだけど。俺の腰には、細い腕が巻かれていて背中には二つの膨らみを感じる。擬態前と比べると多少大きさは違うが、これでも平均を上回っていると俺は思うな。まあだからと言って俺はそんなに緊張などはしていなかったけど。家からバイクで十分で着いたけど、前見たいに手荒い歓迎もなく、なおかつ電話でアポを取っただけだ。勝手に知っているので、俺らはヘルメットを持ちながら歩き回ったけど。そして着いたところが、庫裏(僧侶の住居)だった。

バカ弟子の庫裏は20世紀前半の平屋民家の建築様式を踏襲している。まあ改築しながらなので、何年かに一回は蒼い翼関連の建築家の者に修繕している。この寺も元々あったような感じであるし。外に電気の灯りが付いていないのも、あのバカ弟子である事だという事も。単にボロイからではなくわざとだけど。外灯だけでなく、建物の中から漏れて来る光も無く、曇天の夜空は月明かりも星明りもなく、高い塀で街の灯りも遮られた境内は真っ暗に近い。寝る時間にしても早すぎる時間帯だし、僧侶は早寝早起きとも思われがちだし、忍術使いというが忍者は暗闇の中では生き生きするようなもの。なので、深雪は俺の手を握ってきた。いくらなんでもこんな暗闇なのだから、不安を覚えるのは当たり前と思うだろう。そう考えながらバカ弟子の庫裏の玄関に着いたが、インターホンや呼び鈴すらないので気配を感じたら、そこにはバカ弟子が縁側に座っていた。

「ここにいたかバカ弟子。いつもそうだが、この暗黒という暗闇は何とかならんのか?」

暗闇で見えないが、それはあくまで一般人か魔法師だとしたらだ。俺と深雪には神の目である心眼ともいう眼がある。それは精霊の目ではないけど、気配を消そうが、姿を隠そうが無駄に終わるからだ。このバカ弟子の企みは失敗終わったが、俺ら以外だったら気配がないところにいきなり声がかかったら怖がると思う。バカ弟子は縁側に腰掛けていたが、沓脱石に足を投げ出していた。そこで座禅でもしていると僧侶ぽく見えるが、似非僧侶とも言われる。

「さすが一真さんだ。良く分かったね。それに僕は忍術使いだからなのか、習慣なのだよ。それに僕は約束を忘れる訳もないよ」

「先生、夜分遅くに失礼します。ですが、いくらなんでも暗闇過ぎるかと」

と言っても、聞くことはないだろうと思ったのか、深雪はフラッシュを使って灯りをつけた。火の球のようにも見えるが、ライトを火の球のようにして動かすというのだけど。他から見たらここはお化け屋敷と勘違いされるだろうな。

「それにしても、毎度だけど一真さんと深雪君には驚きぱなしだよ。僕は霊気と呼んでいるが、一真さんで言うなら神のオーラとも言おうか。深雪君は眩いばかりに輝いているが、一真さんは一切の無駄がないほどに一滴も零していない。まあ霊子放射光と言った方が分かりやすいかな」

「そりゃそうだろ、俺は神の頂点に立つ者だ。深雪は半悪魔と神である奏と創造神である俺との間に生まれたのだから。それより俺達がここに来たのは、バカ弟子の出番増やしと、もう一つは司甲について調査報告を聞こうと思ってな。その三年生がエガリテのメンバーというのは確定だが、ブランシュと繋がっていると俺は思っている。司甲を通じてブランシュが何を目論んでいるのかをな。どうせ、もう調べているんだろ?」

「エガリテにブランシュねぇ、もちろんその程度は調べはついているさ。でも、僕でいいのかな?僕は出家の身だ。俗世には関わらないことにしている。そこまで見当がついているなら、風間君か藤林のお嬢さんに頼めばいいんじゃないかな?あとは蒼い翼の諜報部の方で」

「さっきも言ったが、お前に会うのも出番を増やしただけにすぎん、有難く思え。それに玄信や響子たちを頼るのはそれこそ野暮用となる。それに玄信とはこの先にて会うからいいんだよ。さっさと調べたことを教えろバカ弟子」

俺はそう言いながら、バカ弟子の隣に腰を下ろした俺と深雪。フラッシュのせいか、闇だったところが光となって照らすのでこの場所が明るくなったけど。そしてバカ弟子から語られたのは、調査報告だった。こいつも元とはいえ部下だったからな。

「司甲。旧姓、鴨野甲。両親、祖父母いずれも魔法的な因子の発現は見られず。いわゆる『普通』の家庭だけど、実は賀茂氏の傍系に当たる家だ。傍系と言っても随分血は薄いんでそういう意味では普通の家庭ともいえる。だけど、甲君の『目』は一種の先祖返りだろうね」

俺の依頼を予知でもしていたかのように、スラスラと話すバカ弟子。深雪もため息が出てたけど、この程度で驚くのならバカ弟子との付き合いなどしていない。

「その言い草だと、俺の依頼以前に知っていたな」

「一真さんの言う通りだよ。僕は坊主だけど、同時に僕は忍びだ。水が無ければ魚は生きられないのと同じで、常に情報収集をしていないと忍びは生きてはいないだろうね。縁が結ばれた場所で問題になりそうな曰くを持つ人物のことは、一通り調べておくことにしている。一真さんの事は調べようにも調べられなかった。というか、僕が元部下なのか調べようにも同期に止められる。それに一真さんと深雪君の事は、蒼い翼で管理されているから完璧だよ」

まあその通りなんだが、こいつ。俺らの事も調べようとしたらしいな。まあ同期というのは、蒼い翼の諜報部にいる者でも止められたんじゃないかとね。それに拠点にも優秀な忍びというか、草というか、諜報任務が得意な奴に教え込まれたらしいがな。

「こほん。それで先生、司先輩とブランシュの関係については・・・・?」

と深雪が、そう咳き込んだので話を再開したけどな。

「話が逸れてしまったね。甲君の母君の再婚相手の連れ子、つまり甲君の義理のお兄さんが、ブランシュの日本支部リーダーを務めている。表向きだけの代表だけじゃなくて、裏の仕事の方も仕切っている本物のリーダーだよ。甲君が第一高校に入学したのは、この義理のお兄さんの意志が働いているんだろうね。多分、今回のようなことを目論んでなんだろうけど、・・・・具体的に何かを企んでいるかまでは、分からないな。陸でもないことには間違いないんだろうけどね」

「なるほどな。まあ参考にはなったな、よく調べてくれたな。バカ弟子」

「お褒めに頂き光栄だよ。でもその呼び名はやめてくれないかな?そうしないと、僕の威厳がねぇ」

「却下だ。何だそれは、お前に威厳なんて見たことないぞ。ところで、司甲の『目』はどの程度の性能なんだ?」

俺は皮肉成分を言ってやったが、こいつは懲りる様子もなかったけど。

「そうだねぇ・・・・放出された霊気の波動を認識することができる程度、かな。内に秘めた霊気を読み取るほどの力は無いはずだ。少なくとも、一真さんのクラスメイトみたいに強力な霊視力は持ってないよ」

バカ弟子が口にした、最後のフレーズに反応をした俺。

「まさか、美月の事まで調べ上げているとは。余計なことを」

俺のセリフに、バカ弟子は今夜一番の、人の悪い笑みを浮かべた。

「一真さんも興味あるだろう?・・・・あとそのハリセンと電撃をしまってくれると助かるなぁ~」

舌打ちしそうになったので、いつの間にか手にしていたであろうハリセンと手に纏っていた電撃だった。図星でもあるが、友人のまで調べろとは言ってないからか腹は立ったけど。まあこいつは電撃浴びせても死にゃあしない。そして俺らはもう用はないので、深雪はフラッシュをやめさせてから真っ暗闇な道にてバイクが置いてあるところまで向かった。そして家に帰ったあとに、トレミーは発進して本社地下にいる者たちも早朝にて配置をさせるべく完全装備をさせて次の日を待ったのだった。 
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