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If・魔法少女リリカルなのは~結界使いの転生者~

作者:DragonWill
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プロローグ

その日、剛は珍しく大ピンチであった。

「あーーークソ!!油断した!!」

全身のあちこちから血が滲み、片膝をついて肩で息をしている。

彼がここで虫の息となっている理由を簡潔に説明すると、こういうことである。

古の化物を封印している地で封印が緩んでいることが確認され、政府は化物の再封印を日本三大魔法組合(ギルド)の『封杖院』と『陰陽堂』に依頼し、警察からも機動隊二部隊と黒狼連隊一部隊が派遣された。

黒狼連隊所属の剛は彼らの護衛と有事の際の対処を任務としてこの地にやってきたのである。

しかし、警察は『有能な厄介者』として評判な黒狼連隊に仕事を回したくないのが本音であり、よほどの有事にならなければ、彼が働くことはない。

では、なぜ彼がこうして働いているのかと言うと、それだけの有事に見舞われたからに他ならない。

仲の悪いことで有名な『封杖院』と『陰陽堂』が仕事の方針で仲違いを起こしたのである。

安全策を最優先する『封杖院』の魔導師の意見に対し、右翼思想の強い『陰陽堂』の魔導師が『再封印するより殲滅した方が手っ取り早い』と判断して勝手に封印を破壊してしまったのだ。

結果、化物が解放され、無差別に人々を襲いだしたのである。

化物が無尽蔵に召喚する眷属の前に、数で圧倒された魔導師たちは次第に追い詰められていった。

『陰陽堂』の魔導師や機動隊が眷属を殲滅し、その隙に『封杖院』の魔導師が再封印を試みたが、数世紀ぶりに解放された化物の抵抗は激しく、その反撃により手痛いダメージを追ってしまった。

その段階になってようやく剛が作戦に参加することになったのだが、すでに手遅れに近く、一時善戦したが、剛も数に圧倒され、次第に疲弊していったのである。

「まだまだあぁぁぁぁ!!」

それでも、剛は立ち上がり鬼切を振るう。

そして、遂に本体の化物に致命傷を与え、『封杖院』の魔導師による再封印に成功した。

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・・・・。ようやく終わった」

とっくに限界を超えていた剛はその場に仰向けに倒れこんだ。

「被害状況は・・・・・どう・・・・・なって・・・・」

そのまま気絶する剛。

次の瞬間、剛の周りの空間が歪み、彼を引きずり込んだ。

後の報告書に『犠牲者:27人(一般人:4人)、重傷者:49人(一般人:8人)、行方不明者:1人(一般人:0人)、行方不明者氏名:守宮剛』と記載されることなった。





場所は変わって、ここはミッドチルダの機動六課隊舎。

あと数日で正式に試験運用がスタートする新部隊である。

その部隊運用目的は『有事の際、迅速に現場に急行できる少数部隊』であり、ここ数年、首都クラナガンで被害が多発しているロストロギア『レリック』を専門として対処している。

前線部隊であるフォワード部隊の人員もようやく決定し、設立式に向けて最後の確認をしていたところ、ロングアーチから緊急通信が入った。

『クラナガンの郊外で小規模次元振が発生しました!!急いで現場に急行してください!!』
「「了解しました!!」」

通信を受けた、高町なのは一等空尉とフェイト・T・ハラオウン執務官の二名は飛行申請を取り、急いで現場に向かった。

現場に着くと、次元震の影響で多少削り取られた大地の真ん中に、一人の青年が横になっていた。

「大変!!フェイトちゃん、現場に民間人が!!」
「はやて!!こちらフェイト執務官です!!現場で民間人を保護しました!!意識不明の重体です!!すぐに医務室とシャマルさんを手配してください!!」
『了解や!!急いで連れてきい!!』
「時空管理局です!!しっかりしてください!!」

なのはとフェイトは倒れていた青年、剛を六課の隊舎まで大急ぎで運んだ。

それは、もしかしたら(If)の可能性。

本来と違う彼女たちと剛の邂逅がどのような変化をもたらすのか。

それを知るのは神のみである。
 
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