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転生者の珍妙な冒険

作者:yasao
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コイツ・・・・・ツェペリか!?(※違います)

 
前書き
今回と次回で、言うならば第1章完といったところでしょうかね・・・。
JOJOの第○部完ばりの話の変わりはないけど。 

 
目が覚めたら、知らない天井でした。

「・・・・・・あれ?」
ここ、どこだ?
俺は確かサリナを深仙脈疾走(ディーパスオーバードライブ)で治して、そこで気絶したはずだろ?
じゃあ、オッサンとかネーナさんとかサリナは?
俺は何であの場所に寝てないんだ?

「よぉ、起きたか?」
「ッ!?」
いきなり聞こえた俺以外の、そして仲間のものでもない声に反射的に寝てた場所から飛び出し、声の聞こえた場所から距離を取る。
「・・・・アンタ・・・・・、誰だ?」
「起きていきなりそんな行動とって、そんなセリフ言えるなら大丈夫そうね・・・。」
そんなことを言いながら近くにあった椅子を引き寄せ、座る謎の男。イケメンなんだが、ほぼ上半裸の格好で口に小さいピアスしてんのが勿体な・・・・いや、今はそんなこと関係ねぇ。
「質問に答えろ。アンタは誰で、ここはどこで、俺の仲間はどこかを、全部!」
「激昂すんな激昂すんな、ちゃんと答えてやるよ。」
男は溜息を吐きながら立ち上がり、窓についてたカーテンを開けた。
「・・・・は?」
その先に広がってた光景は、深い森。
とてもじゃないがカゲツグと戦ってた原っぱには見えない。
「ここは、お前さんが倒れてた原っぱから歩いて2時間くらいのところにある森の、さらに2時間ほど奥に進んだ場所にある小屋だ。で、俺はここの住居者で、レオパルド・ジーク。此処までお前さんを運んできた。最後に、お前さんが1番知りたい事だろうがお前さんの仲間は・・・・。」
そこで言葉を切り、俺の方を向いてニヤッと笑う男、いや、ジーク。
その笑いを見たとき、俺の背中には言いようのない悪寒が走った。
「俺がこの場所から叩き出した、今はどこにいるか知らん。」
「―――――ッ!!!!!!」
その言葉を聞いた瞬間、俺は中から湧き上った衝動に任せて目の前の男を蹴り飛ばそうと踏み出した。んだが・・・・・。
「ッ!?」
「おぉ、よく止まったな。中々のカンだ。」
嫌な予感がして思わず足を止めた、その瞬間。

シュパッ・・・・・シュパパパパパッ!!

そんな軽い切断音と共に、俺がそのまま突っ込んだら立っていただろう場所にあった机がバラバラに斬られた。
音は軽いがあの切れ味。きっと、俺があのまま進んでいたら・・・・・・。
「って、それまさか・・・・。」
「分かったのか、やっぱりお前さん『も』転生者なんだな。」
今行われたのは間違いなく、「真空竜巻」。
JOJO2部のあの男が使う技だ。
「アンタ・・・・、転生するときに『風の流法(モード)』を?」
「正解だ。俺の転生前の名前は神風 零耶(れいや)、日本人で、お前さんと違い完全に赤子からのスタートだった。この『神砂嵐の流法(モード)』は転生前にJOJO好きな神様に貰ったんだよ。」

俺の他にも、転生者がいた・・・・?

神が語らなかった事実に驚き、固まっちまう。
そんな俺をスルーして、目の前の男は語り続ける。
「俺の他にも、俺のダチの長宗我部 火偉人(かいと)と、獅子王 (きら)の2人が同じように転生して、俺の知らん場所で赤子として始めてる。俺の記憶が間違ってなかったら、それぞれが『怪焔王の流法(モード)』と『輝彩滑刀の流法(モード)』を貰ってる。」
ここら辺でやっと、俺の脳も稼働を始める。
「赤子のころからって言うと、俺らより20年以上前に転生しt「いや、違うよ。」へ?」
質問ではなくて事実の確認のつもりで言った事に入る否定。俺らより後に転生したのに赤子から? だったら今こうして会ってるのおかしくね?
「神はお前さんはマジでタダの罪滅ぼしのつもりで送ったんだ。だが、俺らはちゃんと理由のある転生だった。だからこの環境に慣れて、この世界で技術や技を磨く為にお前より前に時代設定したこの世界に転生させられたんだ。」
「成程・・・・。」
つまり、こいつ等は何か別の理由があってこの世界に来た、と。だから俺らより後だけど俺らより昔の時代に飛ばされた、と・・・。
「事情は分かった。で、その理由って?」
「ん~・・・、あんまり言えるような事でも無いんだが・・・。まぁ、もう巻き込むつもりだからいいや。教えてやるが、驚くなよ?」
「あぁ、大丈夫だ。」
実際、大丈夫だ。
既にこの世界に来れたことが驚きだし、それに俺以外に3人も転生者が居たって事実も十分にビビった。これ以上驚くようなこともない。


「じゃあ話すわ。お前さんを神が転生させた時、その時空の歪みを治すのを忘れてた。と言うのも、そーゆーのを司る運命神に確認とらずに送ったから、普段はできない歪みができて、普段はできないから忘れてたんだそうだ。で、その歪みは送られたお前さんと対をなす力を持って生まれた。『波紋の呼吸法』に対をなす『吸血鬼の体』、『スタンド』に対をなすと言うか、スタンドを制することが可能かもしれない『弓矢』、その2つを持ってその歪みは1体の生命としてこの世界に生まれた。」


既にビビった。
そんな化け物が俺と同時にこの世界に送られてたってことにビビった。
そして、そんな俺の反応を完全に無視してジークは続けた。てか、まだあんの・・・?

「俺らはその男を消すために、神に選ばれてコッチに来たんだ。太陽に弱いって特性だけ消した『柱の男の体』と共にな。で、その男の名は、ディノ=ブラド、そう名乗ってる。」
「何っ!!!?」
その名前、俺は知ってる!!
俺らに宿を譲った、あの人だ!!!!
「・・・・その様子、既に会ったんだな? 奴は今、お前さんの命を狙ってる。自分と対をなす男を始末し、自分がこの世界『アースプラネット』で唯一になるためだ。そして、お前は今のままじゃ何も出来ずに殺されることになる。」
「は!? 何言ってんだ!! 俺がそんな簡単に「お前も味わっただろう? ゲブ神の力を。アレを使う男はディノの刺客だ。」・・・・・くっ・・・・・。」
ジークの言葉に、一切反論出来ずに口をつぐむ。
確かに、俺はタダの刺客でしかないカゲツグにあそこまで苦戦した。それに原作でもゲブ神はエジプト九栄神の中で最初に出てきた男、もっと強い連中も居る・・・・。

俺じゃあ、勝てない・・・・。

「分かったみたいだな。これから俺は、お前を修行する。お前さんの仲間もこう言って追い出したんだ。『お前らじゃ役不足だ。聖斗と一緒に居たかったらもっと強くなって来い。』ってな。」
「・・・・・アンタに付けば・・・・アンタの元で修行すれば、勝てるようになるのか?」
俺の質問に、何か言いかけたジークは口をつぐんで、代わりに口角を上げた。
「口で言うより、体で証拠を示した方が良さそうだな。ちょうど表にネズミが出てきたみたいだし、見せてやるよ。」



















そう言って外に出てったジークについて俺も外に出てみると、そこには1人の男が立ってた。
それに面と向かって立ってるジークは、一見普通の見た目だがその筋肉が収縮と躍動を初めて、戦闘の準備に入っているのが格闘経験者の目からしたら明らかだ。
「聖斗よ、今目の前に立ってるのは、ディノの刺客だ。それも見た感じ、夜の時間帯に送る刺客では最強クラスになれる屍生人(ゾンビ)だな。」
「せぇぇぇぇぇぇぇぇぇかいだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!! その後ろにいるガキをこっちに渡すなら見逃してやるぜ兄ちゃんよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!」
そう言って下種な笑いを浮かべてる男は、確かにJOJO第一部に出てくる屍生人(ゾンビ)だった。
さっき言ってたジークの言葉、少なくともこれでディノの事は明らか。あの時に見えた気がした奴の牙は本物だったんだ。
その衝撃で動けない俺と違い、ジークはあくまで冷静だった。
「残念ながら、それは御免こうむるなぁ。どうしても欲しかったら俺をブッ倒してからにしたらどうだ? 化け物野郎。」
「こぉぉぉぉぉぉかい、するなよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!!」
ジークの挑発に乗った屍生人(ゾンビ)が跳躍する。元々屍生人(ゾンビ)に与えられる超人的なパワーのお蔭で頭上にあった枝は当たると同時に砕け散り、屍生人(ゾンビ)は速度を緩めることはない。
「だけど無駄だな、ジーク!! アンタが『神砂嵐』を使えば!!!」
あの技を使ったらその圧倒的破壊力で目の前の屍生人(ゾンビ)は粉微塵に切り裂かれ、やられる。吸血鬼と違って再生能力のない屍生人(ゾンビ)はそれで終わり。
だが、ジークは溜息を吐いただけで「神砂嵐」どころかカウンターの「真空竜巻」すら使おうとしなかった。
「ハァ・・・・。聖斗、お前に1つ言っとくぞ? この世で最も役に立つ力は自分が幼少のころとかからずっと持ってて、それを成長させて得た力だ。格闘技とかそーゆー努力して得た力も然り。だけどな、波紋とかスタンドとか『神砂嵐の流法(モード)』とかは神からいきなり貰った力で、俺らはいきなりでは使いこなせないし、使いこなせなかったら強くない。アンタが今まで戦ってた敵は、ただ力を振り回すだけで勝てただろうが、これから先はそれはキツイ。下っ端の方のカゲツグにさえお前さんは苦戦しただろ? これから先は、自分が修行して得た力を使わないといけない。」
「修行して得た、力・・・?」
「そうだ。まぁ見せてやる。」
そう言うと、ジークは大きく跳躍し・・・・

「しぇあっ!!!!」
ボキャアッ・・・!!!
「GYAaaaaaaaaaaaaaa!!!?」

奇妙な掛け声と共に屍生人(ゾンビ)の胸に蹴りを放ち、マトモに当たった屍生人(ゾンビ)は胸から骨の砕ける独特の音を立てて吹き飛び、木に叩き付けられた。
「す、すげぇ・・・・。」
何より凄いのが、今の蹴りに一切「神砂嵐の流法(モード)」を使ってないことだ。
アイツはあの蹴りを、純粋に己の力だけで放った、その事実だけでジークの凄まじい戦闘能力が分かる。
「よく見たか? 今のが生前ヲタクだった俺が憧れ続け、転生後に得た超人的な肉体を修行して得た戦闘法・『漢武夷(カムイ)流柔術』だ。お前にはコレの体さばきを覚えてもらう。」
そう言ったジークの表情はいたって普通。気取ってるような雰囲気もかけらもない。まるで普通の事のように語っている。
「コレ・・・・・を・・・?」
「そうだ。そして当然、神から貰った力も磨き、こうやって強化しないと駄目だ。」
そう言ったジークの腕に風が纏わりつく。そのまま振りかぶったジークはその腕を屍生人(ゾンビ)の頭に・・・

「ウラァッ!!!」
ズシャアァァァ・・・・・
「ガペッ・・・・・!?」

叩き付け、そのまま地面に叩き付けた。腕に纏われてた風に入ってた鎌鼬に切り裂かれた屍生人(ゾンビ)の頭部はグチャグチャになって、やがて消失していった。
「名付けて、『神砂の拳』。どうだ? 流石に神砂は無理だが、俺の『漢武夷流柔術』、身に着けてみたくないか?」
今度の顔はニヤケてた。
これはアレだ、確実に悪戯に誘ってくる悪ガキの顔だ。
俺の答えは決まっていた。

「勿論だ!! 教えてくれ、レオパルド・ジーク!!!!」 
 

 
後書き
しばらくは修行中につきステータスが著しく変動する可能性があるため、ステータス表示はしません。 
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