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旧エクリプス(銀河英雄伝説編)

作者:cipher
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第02話 闇の左手

帝国暦454年10月 5日 オーディン 郊外の山奥 小型艦

Side プロト

「光輝さん、お疲れ様です。無事成功しましたね。」

「あぁ、プロト。転移は、正常にいったよ。万能工作機も自己診断でも異常は無かったよ。しばらくは、この地に仮設の基地を作る。プロト達は、錬金で地下に基地を作ってくれ。小型艦を収納できる、ドックも作る。表層は偽装して、仮設基地を隠しておく。それまでは、小型艦の熱光学迷彩は、そのままの状態を維持しておく。その後は、錬金で宝石類を作っていてくれ。俺は先行して、情報収集と戸籍を作っておく。」

「了解しました。光輝さん。」

「チビコマとミニコマ達は、置いていく。周囲の警戒に当たらせる。タチコマは、俺と一緒に来い。情報収集だ。」

Sideout


帝国暦454年10月 6日 オーディン 新無憂宮(ノイエサンスーシ)

Side フリードリヒ・フォン・ゴールデンバウム

一昨年、兄の皇太子リヒャルトが皇帝の弑逆(しいぎゃく)を謀ったとして処刑され、弟のクレメンツが新皇太子として冊立(さくりつ)された。
リヒャルト兄上は何故、弑逆(しいぎゃく)を謀ったのだろう。順当にいけば、兄上が皇帝に即位したのに・・・。
フリードリヒは、新無憂宮に押し込められている。皇位継承権第2位でもあり、兄上の所業で新無憂宮の中は、どこか張り詰めた様に、ピリピリしている。以前の様に気楽に町へ出掛ける事も出来ないでいた。

「あぁ、楽しい事はないかなぁ。」

一人部屋でつぶやく。

「お暇そうですね、殿下。」

突然、声を掛けられた。驚いて、声のする方へ振り向くが誰もいない。

「その声は、グリンメルスハウゼンだな。隠れていないで出て来い。」

目の前に、突然グリンメルスハウゼン子爵の姿が現れた。

「脅かしおって。」

フリードリヒは、悪戯された子どもの様に、憤然とした態度を見せる。

「サイレント・・。フェイス・チェンジ。」

突然、グリンメルスハウゼンの姿が、黒髪の男に変わる。

「何者じゃ、貴様わ。」

「並行世界から来た魔法使いです。改めまして、光輝(こうき)一条(いちじょう)です。御初にお目に掛かります。」

光輝は最敬礼をし、挨拶をした。

「コウキとやら、並行世界・・、魔法使い・・、何の事じゃ。」

本当なら警戒しなければ、行けないのだが、好奇心に負けて質問する。

「まずは、魔法から。先程唱えたサイレントの魔法は、周囲の音消し去る魔法です。この部屋で騒いでも、誰も気付きません。フェイス・チェンジの魔法は、顔を変える魔法です。他にも偏在(ユビキタス)。」

突然、光輝3人に別れた。

「「「この様に、偏在(ユビキタス)の魔法は、自分の分身を作り出す魔法です。」」」

3人の光輝が、同時に喋り出す。偏在を解くとまた、一人に戻った。

「お伽話ではありません。魔法がある世界があるのです。
並行世界とは、銀河帝国とは次元が異なる世界が無数存在するのです。」

光輝は、ゼロの使い魔の世界をタブレットで映像を見せた。
そこには、エルフやマンティコア、ドラゴンが映っていた。

「おぉ、本当にお伽話の世界よのう。」

フリードリヒは、初めて見る世界に夢中になって眺めていた。

「本題なのですが、ゴールデンバウム王朝は、終焉を迎えつつあります。」

「やはり、そうか。」

「気付いていましたね。やはり、韜晦(とうかい)していましたね。
貴方は、ゴールデンバウム王朝が滅ぶと思っていた。それで、放蕩のフリをしていたのですね。しかし残念ながら、クレメンツ皇太子は、リヒャルト皇太子を(おとしい)れたのですよ。近い内に明るみに出ます。そして処断され、貴方が次の皇太子に選ばれます。皇帝も病状が良くない。
3年の内に、皇帝フリードリヒ四世が誕生するでしょう。」

「・・・。」

「今から、準備をなさいませ。グリンメルスハウゼン子爵と相談なさい。彼なら信用出来る。闇の左手を組織なさい。銀河帝国の膿を出さなければいけない。その為には、皇帝直属の諜報機関が要ります。諜報と再生の知恵は、私が授けましょう。私が必要と判断されたら、この無線機でお呼び下さい。」

光輝は、無線機を渡すと姿を消し、部屋から出て行った。

「・・・。」

フリードリヒは無言で二三時、考え込んでいた。
それから、何やら決心をして、グリンメルスハウゼン子爵に連絡を入れる。

Sideout

光輝もタチコマと同様の熱光学迷彩を装備している。人に視認されずに役所や宮廷にも潜入できる。光学カメラや赤外線カメラにも映らないため、自由に諜報活動が出きるのだ。
光輝や他の潜入工作員は、4系統のスクェアメイジ(魔法使い)でもある。ドアに掛けている鍵も開錠(アンロック)魔法で、開ける事が出来る。
生産設備に関しても、建物の外壁は錬金魔法で作れるし、拠点を設ければ、虚無の世界扉(ワールドドア)の魔法で、機器を部品単位に運び込める。
ゼロの使い魔の世界には、光輝達がメイジのDNAマップを解析して作った、バイオロイド達が100万単位でいる。それは、4系統のスクェアメイジか虚無系統のメイジのどちらかである。

■帝国暦454年10月 7日
光輝達は、戸籍を偽装して作る。

■帝国暦454年10月20日
エクリプス社を作る。
ルカ・アンジェローニにが、CEOに就任する。
ゼロの使い魔の世界から物資の輸入を開始。
世界扉(ワールドドア)の魔法で少しづつ、資材とバイオロイド達を調達。

■帝国暦454年11月10日
静止衛星を6基打ち上げる。熱光学迷彩を施した、ロケットで水素バールンで高層圏まで運び、そこで切り離しを行い最小限のロケット推進で、静止衛星起動に乗せる。勿論、静止衛星も熱光学迷彩を施しており、識別されることはない。また、高度のAIを搭載しており、他の衛星との衝突も回避できる。また帝国静止衛星軌道上の近くの為、艦船の航海禁止エリアに当たる。電波を探知されないよう、ニュートリノ通信である。

■帝国暦454年12月 6日
エクリプス社にマザーコンピュータを設置。
量子電導脳の1,200倍もの能力を持つスーパーコンピュータである。
 
 

 
後書き
原作のアスターテ星域会戦まで、後33年時点に転移しました。
皇帝と直接接触、仲間にする作戦です。この為、皇帝に即位する前に、転移しました。最初は、フェザーンから始めようと考えていましたが、銀河帝国の介入が難しいと判断し、この様にしました。 
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