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鎧虫戦記-バグレイダース-

作者:
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第6話 できたらいいなと思うものはいつかきっと必ずできる  

 
前書き
どうも蛹です。
今回は長いうえに場面転換が多いです。
正直へたくそですが、最後まで見てもらえたらうれしいです。
最後には発表があります!

それでは第6話、始まります!! 

 
「ここくらいかな‥‥‥‥」

チャールズはビルの屋上からアスラたちを見下ろしていた。
このビルの高さは約35mでアスラたちとの距離は約800m。
さすがのホークアイの視力でも視えない。

「さて 準備を始めるか‥‥」

そうつぶやくとチャールズは瓦礫を集め始めた。 



    **********



「やばいぞ みんな!もう6時だ!このままじゃ日が暮れて夜になっちまう!」

アスラは焦っていた。しかし迅は冷静に言った。

「いや、相手も見えなくなるから夜の奇襲はないだろう。
 だが少なくとも、この1時間の間には決着をつけようとしてくるはずだ!
 みんな!気を付けるんだぞ!」

6人は周りを警戒し続けた。 



    **********



「フフフ‥‥あせっているねぇ」 

双眼鏡で6人を眺めながら瓦礫の山の横でチャールズは不敵な笑みを浮かべた。

「さて そろそろ‥‥‥‥やるか」

 メキメキメキメキッ!

眼球が虫のようになり、チャールズの体細胞が少しずつ
虫と人間の混合されたものに置き換わっていき、変身を終えた。
太い腕、大きな顎、節のある触覚、道端でもよく見かける虫だ。
チャールズはアリ型の"侵略虫"なのである。


虫には単眼と複眼という2種類の眼がある(両方ない奴もいる)。


複眼は小さい眼の集合体でこれにより虫は視界が広い。
例えるなら、監視カメラの画像が集まった感じに見えている。
"侵略虫"や"鎧人"はこれを脳で(無意識に)解析して
視界が超鮮明に見えている。

単眼は紫外線を感じる器官で0~3個ある。
例えるなら‥‥‥‥まぁ赤外線カメラ的な感じに見えている。
"侵略虫"や"鎧人"の頭にもあって、これが
額のパーツの上で動き回って索敵などの仕事を行う。

チャールズはその単眼がないアリなので、夜にはあまり戦えない。
すなわち、決着の時は今なのである。

チャールズは瓦礫を1つ掴んだ。 
そして、野球選手の投球モーションに入った。
"鎧骨格"の関節付近から見える筋肉に血管が浮き出る程の力で
チャールズはアスラたちの方向に向かって瓦礫を投げつけた。



    **********



アスラと迅は空をにらんでいた。

「投げてこないな、チャールズ‥‥」

アスラはつぶやいた。迅もうなずいた。

「そうだな‥‥‥」

さすがに、全員で警戒していても体力を浪費するだけなので
アスラたちは2人ずつの交代で監視を始めたのだ。

「あきらめたのかな?」

マリーは本気だろうが、アスラにはそうは思えなかった。

『次は‥‥‥‥‥当てますよ』

チャールズの去る時にはなった一言が、アスラの頭の中を漂っていた。

さっきチャールズは、この中で一番戦闘力の低いマリーを狙った。
つまり、次にもマリーを狙うことは明確だった。
なぜなら、最初のスピードで飛んできたら 多分マリーは避けられない。
よって オレたちの内の誰かが、彼女を守るためにあれを受けるしかないからだ。
あの加速する瓦礫を‥‥‥‥‥ん?加速する?‥‥‥‥‥‥‥‥‥!!!! 

「やばいぞ迅!」
「どうしたんだ急に?」

迅は突然叫んだアスラに驚いていたが、アスラはすぐに説明を始めた。

「奴がもし加速の能力なら!距離をおけばおくほど速くなる!
 つまり!あいつは少なくとも最初よりも遠い距離にいるはずだ!
 今投げられたら!」

 ゴオオオオオオオォォォォォォォォォ!!!

突然、最初とは比べものにならないほどの風切り音が聞こえてきた。
瓦礫が猛スピードでさっきと同じくマリーに向かって飛んで来ていた。

「マリちゃん!!」

アスラは腹に手を当てながらマリーの元へ走った。
 
 ガシャシャシャシャ!!  ドンッ!

"鎧骨格"を換装しながらアスラはマリーを突き飛ばした。
そして、瓦礫の前に両手を出した。

 ドガアァァッ! ガリガリガリガリィィィィィッッ!!! 

アスラは強烈なパワーで瓦礫に地面を削りながら後ろへ押し込まれた。
瓦礫のスピードはどんどん加速している。

「うおおおおおォォォォォォォォァァァァァァァァァァァ!!」

オレは気合いをひねり出した。
しかし、瓦礫は全く止まりそうにない。

『ク‥‥‥クソ‥‥‥もう駄目だ‥‥‥‥』


 ドガァァァァァァァン!!


手の間を抜けて、瓦礫はオレの身体に激突した。
オレは空中に舞い上がった。

「ぐあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」

 ドシャァッ!! 

オレは地面に落下した。

「アスラぁ~~~~ッ!」

マリーがオレに駆け寄って来たようだ。

「うぅ‥‥あぁ‥‥‥マリちゃん‥‥ごめんね、さっき突き飛ばして‥‥」
「アスラッ!しっかりして!!」

マリーはオレの身体を見た。瓦礫が激突した胸部は"鎧骨格"が
大きく陥没し亀裂が走っていて、そこからは血が流れ出ていた。

「私を守るためにそこまでしなくていいのに‥‥‥ごめんね‥‥‥」

マリーは涙を流した。アスラはそのまま気絶してしまった。

『‥‥‥‥‥守られるだけじゃ嫌だ‥‥‥‥私も‥‥‥‥‥
 みんなを守れるような力が‥‥‥‥‥‥‥欲しい!!』

マリーは心の中で強くそう思った。



    **********



皆さん、ワタシの能力は単なる加速とは違うのですよ。
ここで皆さんにだけお教えしましょう。
ワタシの"超技術"は"加速運動《アクセルムーブ》"といいます。
これはワタシが投げた物体をある一定の距離の間だけ
“等加速度直線運動”をさせるという能力です。

等加速度直線運動とは名前の通り、常に加速度が一定な運動である。
しかし本来、地球上では重力や空気抵抗などの影響で
少しずつ遅くなってしまうのである。

しかし!ワタシの能力は外部からの影響を受けずに
その物体を等加速度直線運動させられるのです!
ただし、無効化できる力の大きさには限りがあるので
最初の迅のようにはじかれる可能性はありますがね。

アスラ君は、マリーさんを守るために体勢が不十分のまま
瓦礫を受けてしまったが故の結末ですねぇ。 

アスラ君はもう戦闘不能です。‥‥‥‥あと5人。
すぐに殺してあげますよ‥‥‥‥‥‥
チャールズは瓦礫を手に取り、また投球のモーションに入った。



    **********



「!!?‥‥‥あっ‥‥熱い‥‥‥ッ」
 
マリーは燃え上がりそうなほど熱い胸元を押さえながら膝をついた。
そして、そこに何か固い物がついていることに気付いた。
マリーは服のボタンを外してそこを見えるように出してみた。
 
「これは‥‥‥アスラと同じ‥‥‥‥‥?」

マリーの胸元にひし形の起動装置があった。
ということは‥‥‥‥‥。

「これなら‥‥‥私も戦える!!」

マリーが胸元に手を添えると、彼女の身体は光に包まれた。
その近くに猛スピードで瓦礫が飛んで来ていた。



    **********



チャールズは再び双眼鏡を覗いた。
そこには、アスラをおんぶしている"鎧人"がいた。
大きな羽にきれいな模様、右腕にはどこかで見たような
ストローをクルクル巻いたようなものがあった。
この"鎧人"の姿はチョウだった。
代わりにさっきまでいたはずのマリーは消えた。つまり‥‥‥。

「彼女は"鎧人"だったのか。今まで隠していたのか?
 いや ならさっきの時に変身すればよかったはず。
 つまり たった今 覚醒したようだな。
 だがやることに変わりはない」

チャールズは瓦礫をマリーに向かって投げつけた。
瓦礫はまっすぐ2人に向かって飛んで行った。しかし、次の瞬間。

 パカッ

瓦礫は2つに割れて地面に激突した。

「‥‥‥‥は?」

チャールズは望遠鏡の先の出来事を理解できずにいた。
アスラは気絶してるし、迅はこの場にいない。
つまり、マリーは何かをしたのである。

「な‥‥ならば‥‥‥もう一度ッ!!」

チャールズは再び瓦礫を投げた。
しかし結果は同じだった。
なぜか2人に当たる前に割れて地面に激突してしまう。

「まさか彼女は‥‥‥‥"超技術"まで目覚めたというのか!?」

マリーはアスラを走って来た迅たちに渡した。

「ついに覚醒したようだね、マリー‥‥‥頑張って」
「うん」

マリーは大きく羽をはばたかせ、それと同時にジャンプをした。
マリーは20m程の大ジャンプをして、前のビルの上に着地した。
再びマリーは跳ぶ準備を始めた。

「ま‥‥まさか‥‥ここまで少しずつ跳んで来ようというのか!!
 そんなこと絶対にさせるかぁ!!!」

チャールズは瓦礫を投げまくった。しかし瓦礫は1つも当たらないまま
ついに目の前まで近づいてきた。

 ダンッ   メキッッ!

マリーはジャンプしてそのままチャールズの顔面へ跳び蹴りをおみまいした。

「ギャアアアアアァァァァァァァァァァ!!」

チャールズはそのまま後ろに倒れこんだ。
そのむこうにマリーは着地した。

「私‥‥‥アスラにあんなひどいことした貴方を絶対に許さないから!!」

そう言ってマリーはチョウの口器を伸ばした。
そしてムチのように、チャールズの前に勢いよく振り下ろした。

 ヒュンッ!

風を切る音がした。しかし、なんともない。
急いで立ち上がろうとしたが、チャールズは違和感を感じた。 
立とうとしているはずなのに
右手が地面についている感覚がないからだ。
チャールズは右手を確認した。
そこには右手はなく、右手は屋上の床に転がっていた。

「うッうあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
 ひっひひ‥‥ひああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

もう言葉にもならないような叫び声をチャールズはあげ続けた。
マリーは再び口器を振り下ろした。

 ヒュンッ  パカッ    

「あ゛ッ!??」  

チャールズの視界が2つに割れた。

「あぁ゛ぁ‥‥‥あ゛ぁ‥‥‥‥」

 ベチャッッ!

彼はそのまま前へ倒れこんだ。
その勢いで辺りに血が放射状に広がった。

「やったよ‥‥‥‥アスラ‥‥‥」

マリーはチャールズの亡骸をにらみながら言った。



    **********



アスラは真っ暗な空間を漂っていた。

『‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ん?‥‥‥ここは‥‥‥‥‥‥‥‥どこだ‥‥‥‥‥‥?

 ‥‥確か‥‥‥あいつの瓦礫が当たって‥‥‥‥‥‥‥それで‥‥‥?

 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥それにしても‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

 真っ暗だな‥‥‥‥‥‥何も見えない‥‥‥‥‥‥‥‥これが‥‥‥‥‥

 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥死‥‥‥‥‥‥‥‥‥か‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥』

突然、遠くから声が聞こえてきた。
その声は自分の名前を呼び続けていた。
アスラは、そこに向かって進んで行った。
次第に視界が明るくなってきた。

「アスラッ!アスラぁッ!!‥‥‥‥あッ!アスラ!!!」

オレの身体をマリーが抱えていた。

「あ‥‥‥‥あぁ‥‥‥‥」

声が出にくかった。口の中が乾いているようだ。
しかし、それを気にせずに言った。 

「マリちゃん‥‥‥‥大丈夫だよ‥‥‥」
「うっ‥‥‥ううぅ‥‥‥‥‥」

マリーは大粒の涙を流しながら
アスラを思いっきり抱きしめた。

「うわあああああああああ~~~~~~~~~~~ん!!
 良かったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~~~~~~!!!」

そのまま泣き始めた。アスラの顔に固いものと柔らかいものが当たった。
そしてオレは彼女についての2つのことに気付いた。
1つ目は、彼女も"鎧人"になったということ。
2つ目は‥‥‥‥‥彼女の胸は意外と大きいということ。
オレは圧迫されすぎて、そのままもう1回気絶してしまった‥‥。



    **********
 


  3日後ー‥‥
「着いたぞアスラ」

いつの間にか着いたらしい。
オレはハロルドおじさんにおんぶされて
運ばれていたようだ。 
オレはおじさんの背中から降りた。

「いてて‥‥‥ありがと おじさん」

オレは痛む肋骨を押さえながら前を見た。
そこにはドアの縁だけが立っていた。
‥‥‥‥嘘だろ‥‥‥ここが‥‥‥‥‥‥‥。

「迅‥‥‥本当にここなのか?」
「ああ そうだよ」

オレは絶望した。

「嘘だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーー!!!」 
 

 
後書き
初将軍を倒したのはなんとマリー!しかも"鎧人"に覚醒!
そしてここで、アメリカ編は終了!
しかしロシアに行く前に、主人公たち6人のプロフィールについて
説明する回を作りたいと思います!

次回 第6.5話 アスラは明日来って書くんですよ? お楽しみに! 
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