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二者択一

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第二章


第二章

 白い娘を選んだ。そうしてであった。
 大学に行く。そうしてその娘を探した。
「ええと、あの娘は」
 キャンバスの中を歩き回る。そうしてであった。
 何しろ意識しているのですぐに見つかった。その娘にだ。
 黒いロングヘアではっきりとした強い光を放つ目だ。切れ長で二重である。口元は引き締まり整っている。背は割かし高く一六六はある。
 白くひらひらとした丈の短いスカートに同じ色のブラウスとカーディガンである。その姿がまさにトレードマークになっていた。
 スタイルは胸はあまり大きくはないが白くひらひらとしたスカートから奇麗な脚が見える。その彼女の姿を認めてすぐに言うのだった。
「あの」
「はい?」
「ええと、僕は首藤将暉といいますが」
「経済学部のですね」
「えっ!?」
 向こうから所属の学部を言われて思わず声をあげてしまった。
「知ってるんだ、僕のこと」
「前から気になってましたから」
 にこりと笑って話す彼女だった。
「私はですね」
「ええと、御名前は」
「松本凛です」
 自分から名乗ってきた。
「教育学部の二回生です」
「そうですよね、確か」
「それで首藤さんも二回生ですよね」
 このことも知っている彼女だった。
「そうですよね」
「ええ、その通りですけれど」
「それで今ここに来られたのは」
 凛から言い続ける。
「デートにですね」
「うっ、それは」
「私をデートに誘いに来てくれたんですよね」
 にこりとして話す彼女だった。
「そうですよね」
「その通りですけれど」
「じゃあ何処ですか?」
 ここでも彼女からだった。
「何処に行きますか?何時何処に」
「次の日曜に」 
 彼女のペースで話が進む事に戸惑っているがそれでも言う将暉だった。
「場所は野球場で」
「甲子園ですね」
「ええ、そこで」
「確か。首藤さんは阪神ファンですよね」
「えっ、それも知ってるんですか」
「ずっと私のこと見てくれてましたよね」
 そのことも気付いている彼女だった。既にだった。
「ですから。私はソフトバンクファンですけれど」
「パリーグ派だったんだ」
「けれど巨人は嫌いですから」
 これはきっぱりと言う彼女だった。
「阪神対巨人ですね。観ましょう」
「はい、それじゃあ」
 こうして彼女のペースで阪神の試合を観に行くことになったのだった。

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