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月夜に鳴いた猫

作者:南川春過
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大きな手

宮崎寛は、単純な男だった。
大きな手で、とても明るい。


ある日、彼は手を伸ばして私ののどをそっと撫でた。私は、その手をずっと観察していた
彼は何事もなかったかのように私の前から去った

その日から、私は人の手というものを観察するようになった。
じっくりと
鋭く。

毎日同じ場所にいた。仲間のもとへは帰らなかった。

だが、あの手を見つけることはできなかった。私が求めている大きな手。私の手。彼の手。


____...

昼下がり、私は丸まって寝ていた。夢は見なかったと思う
私ののどを、なにかが触った。
私はすぐにわかった
求めていたものだったから。


ゆっくり目を開いてみると、そこには彼がいた。
深く落ち込んでいる様子だった。のどを撫でる手つきもどこか虚ろだ。

私は彼をなぐさめることにした。
のんきで気ままな猫を演じた。彼を癒すため

彼は笑った。手つきも前のようになってきた


私はまた目を閉じた。
彼はやはり、何事もなかったかのように去っていった。


悲しいことでもあったらまた来てよ、私はここにいるから。 
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