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東方変形葉

作者:月の部屋
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地底世界は意外と楽しい
  東方変形葉50話「謎のたくらみ」

 
前書き
霊夢「はあ、仕方ないわね。」
紫「動いてくれる気になった?」
霊夢「そうよ。だけどそのかわりちゃんと約束の物はちょうだいよ?」
紫「わかっているわ。とりあえず陰陽玉に通信機能をつけておいたから。」
霊夢「つう・・・しん?何よそれ。」
紫「遠く離れたところでも会話ができるってことよ。ほら、私がナビするから早く行った行った。」
霊夢「よくわからないわ。はあ、のんびりいこ。」
紫「あ、そうそう。裕海が今異変解決に向かっているから早くしないと黒幕を倒されちゃうわよ?当然、解決をしていない霊夢は報酬を受け取れないわよ?」
霊夢「なっ!?それを早く言いなさい!即行で行くわよ!」
 

 
意外と親切だった勇義は、地霊殿まで案内してくれた。今までに見た感じの屋敷ではないな。なんというか、洋館という感じだな。紅魔館も洋館だが、洋館は洋館でも別の国の洋館っぽい。・・・洋館って言い過ぎだな。
『ここはだな~、嫌われ者が住む屋敷なのだよ。』
「え、嫌われ者?どうして。性格がアレすぎるとか?」
『うんにゃ。性格はおとなしい方なんだが・・・まあ、会えばわかるさ。』
「?」
萃香が言ったことに少し疑問を抱きながら、館の中へと入って行った。
「にゃ~ん!」
と、黒い猫が現れた。尻尾が二本あるな。猫又か?とか思っていると無造作に弾幕をばらまいてきた。
「おっと、危ない。」
しばらく避け続けると、猫はどこかに行ってしまった。なんだったのだろうか。
そして先へ進む。すると、少女の姿が見えた。
「ようこそ地霊殿へ。私は古明地さとりと申します。」
「俺は葉川裕海。ちょっと調査に来た地上の人間だ。」
姫雪よりも若干濃いピンクの髪の子だ。なんか、目玉がついているような気がするんだが気のせいか?
「いえ、これは飾りではなく私の一部ですよ。」
そーかそーかなるほど~ってええ!?心読んできた!?いや一部っていうのも驚いたけど。・・・ああ、なるほどね。嫌われ者っていうのはそういうことか。心を読めるんだったら話は早い。
「そうですね。確かに言わなくても伝わりますからね。それで、どういった用件でしょうか?」
「実は、かくかくしかじか。」
「なるほど、そういうことですか。怨霊の管理などは私のペットにまかせておりますので、中庭を解放しましょう。」
本当に便利だな。あ、もしかしてこの子たちの心も読めるのかな?
「どの子たちですか?」
「2人とも、そろそろ出てきてもいいよ。」
ウエストバッグから人形たちが出てきた。地底世界はたちの悪い能力を持っている妖怪ばかりだと聞いたので、万が一を考えてウエストバッグの中に入ってもらっていたのだ。
「やっほ~!」
「外だ~!」
「・・・読めないです。人形だからというのもあるでしょうが、どうやらそもそも私の能力が効かないように作られていますね。」
正解。作ったのも俺だし。“無力化の変化”で、どんな力も受け付けないようになっている。
「そうでしたか。あなたの能力はかなり恐ろしいようですね。」
「君が言えたことじゃないよ?」
あははと、お互い笑いをこぼす。まあ、俺の能力なら心を読むこともできるんだが、君は恐らく、どっかの本で見た妖怪の『さとり』だ。下手に心を読めば自尊心というか、プライドが許さないだろう。心を読ませなくするのも、
「お気遣いありがとうございます。それでは・・・あなたを少し、試させていただきます。中庭を解放するのはその後です。

想起 「恐怖催眠術」

いきなり戦闘に突入した。さとりを中心にして出てくる光線は何処にも隙がなく、それに加えて高密度の弾幕を放ってくる。その光線と弾幕は、容赦なく恐怖感を与えた。なんだか俺のスペカの、神変「無限変幻 閃」に似ている。
「まずいな。少し早く片付けるか。」

神変「無限変幻 境」

俺がいる場所とさとりのいる場所の中間地点に結界を張る。その結界から弾幕やら光線やらが出てくる。ここはめちゃくちゃに放った方が得策だろう。
こっそり、ある仕掛けを作っていく。弾幕をよけるふりをして配置していくのだ。
「そんな仕掛けを作っていったところで、私はあなたの考えていることが手に取るようにわかりますよ?」
「そうだな。」
手に取らせているんだから。
「え?」
俺の考え“だけ”ではこの戦術は見抜けない。誰かに食べられないように手の届かないところにお菓子を置くように。
「・・・よくわかりませんが、まあいいです。さあ、これからが本番よ!眠りを覚ます恐怖の記憶(トラウマ)で眠るがいい!」

想起 「戸隠山投げ」

少し構えた後、爆発したかのように弾幕が飛び散る。ん?どっかで見たなこのスペカ。まあいいや。さて、そろそろ仕掛けができるころ。
「おわったよ~!」
「つかれた~!」
「2人とも、ご苦労様。ゆっくり休んでてね。」

多変化「変わりゆく世界」

弾幕を展開する。そして、その弾は大きくなるものもあり、小さくなるものもあり、速度が上がるものもあり、形を変えるものもあったり。それぞれ何らかの変化を起こした弾幕が襲い掛かる。すべて感覚のみで避けなければならない。反則気味だが、うまくいけばちゃんと避けられる。うまくいけば。実は、人形たちに俺の考えを“転移の変化”でいったん移したのだ。だから俺の頭の中には、「今、仕掛けをつくっている」としか考えていない。それで、今俺は罠を仕掛けていると誤認する。
実は、あらかじめに小道具入れに紙をしまっていた。それぞれの紙に、それぞれ”質量の変化”とか、”速度の変化”などの力を込め、その紙を散らばらせて効果が出るようにしたというものだ。ちなみに、一定時間経つと”転移の変化”の効果は切れるようにしていたので、こうしてどや顔で説明しているのもそのおかげだ。
「・・・見事だわ。これならきっとこの先へ行っても大丈夫でしょう。あちらをまっすぐに行ってください。そうすれば中庭に行けます。」
さとりが何か安心したような顔を浮かべ、弾幕を終了した。
『うお~い、一人置いて勝手に話を進めないでよ。』
「ああ、ごめんごめん。すっかり忘れてたよ。」



しばらく進む。薄暗く、人恋しくなるほどの静けさが広がる。
「はぁ~、猫の一匹ぐらいでないかなあ。」
『猫ならこっちにいるぞ?』
『にゃぁ~ん』
「・・・いるな。じゃなくって、一向に敵が現れないんだけど。」
飛行を続けてもう何分経ったのか。ん?なんか気温が上がっていっているような感じがするな。
『この先だ。もうすぐ着くぞ!』
「そのようだね。」
少し速度を上げてその場所へと向かった。



・・・・・・。
「あら裕海。遅かったわね。」
「・・・霊夢。来るにしても早すぎないか?」
霊夢が、今ちょうど・・・あの子はなんていう妖怪だろう。まあいいや、猫耳の生えた妖怪が横たわっていた。
「お・・・おにいさんも・・・はやくにげ・・・あたいのよう・・・に、なる・・・よ」
「霊夢、いったいどんな仕打ちをしたんだ!?」
「別に大したことはしてないわよ?」
『空間移動して蹴りをかましまくった上にゼロ距離で夢想封印していたのに、大したことしていないわけないでしょ?というか、ちゃんと正規ルートで館に入りなさいよ。』
陰陽玉越しに紫が少し呆れた感じで言う。霊夢はいったいどんなルートできたんだよ。
「別にいいでしょ?それよりも、早く黒幕を倒しに行くわよ。そこに倒れている死体マニアの話によれば、この先にいるらしいわ。」
「死体マニアって何だ。まあいいや、それならはやく行こうか。」
なんだか、霊夢がいつになくやる気だ。紫、いったいどんな説得をしたんだよ。



かなり熱いところに来た。萃香と紫によると、ここは地底都市の最深部で元はどんな罪人も嫌がる灼熱地獄だったところらしい。今は稼働していないらしいが、なぜか火力が上がっているという。
「あなたたちね!私に会いたがってる地上の人間!」
大きな黒い翼をもち、多角柱のよくわからない何かを身に着けた、身長の高い人が現れた。身長は・・・かろうじて俺の方が上か。・・・ん?なんかあの人から神力を感じるんだが。
『おや、そこの地獄鴉。地獄とは不釣り合いな力を感じると思ったが、どうやら神を飲みこんだね?』
「えっ、神を?」
萃香が言った。どうりで神力を感じるわけだ。それにしても何の神様だろうか。
『これは・・・八咫烏の力ね。』
「何、カラスの中にカラスがいるの?マトリョーシカみたいね。」
「私は究極の力を手に入れたわ!あるとき、なんか二人組の神様が私に力をくれたの。」
二人組?誰だそれ。
『誰だよ、そんな力を与えた神は。』
「確か・・・八坂の神と洩矢の神とか言ってたような。」
わ~お、なんと的確な。これはあの二人に話を詳しく聞かないといけないな。
「ふ~ん?あいつらか。裕海、私がこのマトリョーシカを成敗するから、守矢神社に行ってきて。」
霊夢が言った。・・・そうだな、その方がいいかもしれない。きっと霊夢なら数分で成敗してしまうんだろうけど。
「無駄よ!この地獄釜からは抜けだせないわええっ!?」
スキマを開き、その中に入って守矢神社へと急いだ。
「ほんとスキマって便利ね。羨ましいわ。」



守矢神社の、御柱がやけにたくさん並んでいる場所に着いた。
「はあ、何のために地獄鴉に八咫烏の力なんて与えたんだろ。」
『さあね。う~ん、何やらたくらみを感じるねえ。』
守矢神社は山の上にある。もう小春日和が感じられるようになったとはいえ、冬はさすがに寒い。でも、肺がやられそうになるほど熱い灼熱地獄よりはかなりましだ。
「あの~」
声をかけられた。振り向くと、薄い黄緑の髪で帽子をかぶっている子がいた。う~ん、妖怪らしい気を感じないというか、なんの気も感じないな。人間?いや、人間でも少しぐらいは霊力のよる気を持っているからな~。
「どうしたの?」
「守矢神社に行きたいんですけど、どこにありますか?」
「敬語じゃなくてもいいよ。あ、俺も守矢神社に行こうと思っていたところだから一緒に行こうか。」
「うん!」
『(・・・ん?その声とその姿。もしかして・・・)』



「そういえば名前を聞いてないな。なんていうの?」
「私は、古明地こいしだよ!」
へぇ~、そうなんだ。・・・え?古明地?
「・・・もしかして、古明地さとりとなにか関係がある?」
「あっ!私のお姉ちゃんだよ!」
そーなのかー。・・・心は読んでいないようだ。それとも、読んでいるけどあえてスルーしているとか?
「それよりも、お兄ちゃんの名前は?」
「あ、ああ。俺は葉川裕海。」
そのとき、こいしの目がきらきらと光りだした。
「えっ!?“変幻操作の人形師”の!?」
「うん。・・・あれ、地底でも俺って有名なのか?」
まさか地底にまで名前が伝わっているとは。・・・今日以外で地底と接点なんて微塵もなかったと思うんだが。
「ううん、私だけが地底の中で唯一知っているの。」
「そうなんだ。でもどうしてこいしだけが知ってるの?」
さすがに地底にまでは名前は行ってなかったようで。悪事千里を走るっていうから、てっきり知らないうちに悪いことをしでかしたのかと思ったよ。
「だって私、幻想郷中をうろうろしているもん!」
「・・・うろうろ?」
全然気が付かなかった。よく考えたら、優秀な門番の鏡みたいなセキュリティ完璧な妖怪の山の麓をどうやって突破したんだ?・・・力づくか?
「そう、うろうろ。私は何も考えずに行動することができるの。」
何も考えず、か。仏教的には“空”の境地みたいなもんか?お坊さんが泣いて喜ぶな。
「へぇ~。無意識に行動しているんだ。」
「うん!」
この子の能力は・・・もしかして、無意識を操るみたいなやつか?“空”の境地ということは、つまり霊夢の能力はそれが結晶化したようなものか。ありとあらゆるものから浮くという見方からすれば、妖怪の山の守備を軽々と通って行ったことを説明できる。
「おにいちゃんの能力は、確か変化を操るんだよね?」
「うん、その通り。」
そしていつのまにかおにいちゃん呼び。幻想郷の幼い子たちは皆そうなのかな?
「おにいちゃん、一度私と遊ぼうよ!」
「・・・というと?」
「弾幕ごっこ!人でありながら神の力を持ったあなたの力、ぜひ見せてほしいわ!」



続く
 
 

 
後書き
祝・本編50話達成!
早く輝針城まで書きたいな~と思っている日陰の月でした。 
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