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MUVLUVにチート転生者あらわる!?

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第二十話

 
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悠斗side



1998年7月4日



日本帝国に着いてから3日が経ちました。
舞鶴基地の司令に挨拶に行ったら、原作の甲21号作戦の時に居た、小沢艦長、安部艦長、田所艦長、井口艦長達も居ました。
まあ、簡単に挨拶をしておきました。
まあ、まだ本格的にお世話になることも有りませんからね。
今俺は、帝都城に車で向かっている。理由は簡単だ。
煌武院悠陽殿下が、激励の言葉を送りたいとのことだ。まあ、要は謁見だな。
殿下の使者が昨日、舞鶴基地に駐屯している俺の元に書状を持って来た。使者から書状を受け取り、丁重におもてなししてお帰り頂いた。
殿下からの書状を読んだ所、間引き作戦の前に激励をしたいたい為、7月4日に帝都城に来て欲しいと記されていた。
まあ、二つ返事でOKを出したがな。
今朝、舞鶴基地に斯衛軍からの迎えの車が来たので、車に乗り込んで今に至る。

「8年振りか」

「うん?何か申されましたか?」

「なに、ただの独り言だ」

運転手が返事をしてくれる。斯衛の黒い制服を着ている。彼が舞鶴基地に迎えに来てくれた。
そう。この世界の俺は、8年前に日本帝国を去り、国連軍に入隊したことになっている。

(まあ、帝都城の中に入るのは初めてなんだよな。地図事態は頭の中に叩き込んであるから、大丈夫だけどな)

そんなことを考えながら窓の外を見る。
楽しそうに遊ぶ子供達や、買い物をしている主婦。 汗まみれになりながら、働くの中年のお父さん。のんびりとしているおじいちゃん。
誰もが、変わらない日常を送っている。
誰もが平和を謳歌している。3日後には、その平和が打ち崩されるとも知らずに。

(まだ、日本帝国には危機感が薄い。帝都ですら、まだ大丈夫と言った雰囲気か。まあ、仕方のないことか。BETA何てのは、大陸の話だと思っている市民は、大勢いるしな。国会議員ですら、日本帝国は大丈夫だと思っているし、軍も自分たちだけで、国を守れるとタカを括っている有り様出しな)

その軍の慢心が、日本を脆弱させ大本営の暴走を許し、将軍を傀儡に貶めた原因なんだかな。

(今の煌武院悠陽殿下の力では、どうにもならんがな。五摂家の連中も、もう少し考えろよな。
双子は忌み子なんて、古い風習を未だに信じてる辺りが馬鹿すぎる。
そのせいで、とある姉妹が離ればなれにされて、有るべき絆が無いなんて悲し過ぎるだろ。
しかも、どちらも分かっていながら赤の他人の振りをして生きるなんて、理不尽すぎだ。本来なら仲良く暮らせたはずなのにな。
まあ、今の俺に言えた義理はないがな)

斯衛軍に入らず国連軍に入隊した事で、少なからず俺を憎んでいる連中が居るのは分かっているからな。特に技術的な分野ではな。

(まあ、あくまでも神様から貰った力だけどな)

元々この世界の人間ではないからな。転生させられただけだからね。
チート能力付きで。まあ、感謝してるけどね。

「不動閣下。帝都城が見えて来ました」

前方にバカみたいにデカイ城が見えてきた。

「ああ、そうだな。あと、どれくらいだ?」

「15分程で着きます」

「そうか。分かった」

そう返事をして再び窓の外を見る。
暫くすると、車が止まる。運転手が窓を開ける。

「身分証と通行許可書を提示してください」

「ああ、これだ」

「はい。確かに。後ろの方の確認をさせてください」

窓を開けると、銃を持った兵士が居た。どうやら、入口前の検問のようだ。

「身分証をお願いします」

「ああ、分かった」

ポケットから、身分証を取りだし兵士に渡す。

「はい。失礼します。不動准悠斗准将ですね。あれ?」

身分証を受け取った兵士が固まる。なにか不備があったか?

「おい、どうかしたのか?」

他の兵士が近づいて来る。

「ん?なにか不備があったか?」

「し、失礼しました!メビウスの不動准将とは知らずに、身分証を提示させてしまうとは、申し訳ありません!」

身分証を、受け取った兵士がいきなり敬礼して、そんなことを言ってきた。
俺は、そんなに有名人なのか?←お前が気づいてないだけだ!(神様)

ん?なんか電波を拾ったような?まあいいか。

「行っていいか?」

「は!構いません!身分証をお返しします!」

兵士から身分証を受け取りポケットに入れる。

「出してくれ」

「はい。かしこまりました」

運転手にそう言って、車を発信させて帝都城の中に入れるのだった。




悠斗sideout



真耶side



今日はひさしぶりに空が晴れた。異常気象による台風が近づいてるとは思えない位、綺麗な青空が広がっている。
私は今帝都城にいる。今日悠陽殿下に謁見する、不動悠斗を待っている。あやつが、帝都城に来るのは8年振りだ。

(フフフ。今思い出すと、あの時は本当に早まった事を言ったな。いくら決まった事とはいえ、納得など出来なかったからな。まあ、そのおかげで悠斗と結婚の約束ができたんだがな)

そう。あの日は、今日の様に良く晴れた天気だったな。


1990年のある日。

今日は悠斗が国連軍に入隊する為に、家を発つ日だ。私と真那と唯依の3人で不動家に押しかけて行ったんだ。

「不動のおじ様、お久しぶりです。悠斗はいますか?」

「おお!真耶ちゃん、真那ちゃん、唯依ちゃんじゃないか。悠斗なら、部屋で身支度しているよ」

私達を出迎えてくれたのは、悠斗の父上である不動元少将だった。
見た目は悠斗をかなり老けさせて、眉間や額にシワがよって白髪にした感じだ。


「そうですか。では、お邪魔します」

「「お邪魔します!」」

「はいどうぞ。悠斗は国連軍に入隊する為に日本を出国する。あと1時間程で、家を出るからね。其まで別れを惜しんでやってくれ」

不動のおじ様は、そう言って家の奥に引っ込んだ。その背中は普段の覇気に溢れたおじ様の姿から遠い、弱々しい一人の父親の背中だった。
玄関から上がり、悠斗の部屋に向かう。
他の二人も続いて来る。 3人とも話をせずに、悠斗の部屋に着いた。

「悠斗。私だ真耶だ。入るぞ」

障子戸越しに声をかける。

「ああ、構わないよ」

障子戸を開けて中に入る。部屋の中は既にかたずけてあって、綺麗になっていた。

「やあ、3人とも。わざわざありがとう。大した持て成しはできないけど、どうぞごゆっくりしていってくださいな」

「前置きはいい。それより、本当に国連軍に行くのか?」

悠斗が、前置きを言って挨拶するが、それを無視して本題に入る。他の二人も真剣な眼差しを向けている。

「うん、親父が五摂家を説得して、押し通したからね。覆す事なんて出来ないよ」

「しかし」

「真那。これは、政治取引なんだよ。俺が行けば全て丸く収まり、日本帝国にとって、より良い選択になるんだ」

このまま斯衛軍に入隊すれば、確実にトップエースとして活躍するだろう。
それくらい将来を期待された子だ。
それゆえに、今回の国連軍行きには斯衛は勿論、帝国軍、帝国議会などで激しい論争になるほどだ。最終的に、五摂家の勅命にする事によって、表向きの政治的決着をつける事になった。全ての発端は、とある国が難癖を付けてきたのが原因だった。
日本帝国も、国連の一員ならば斯衛から、国連軍に人を出すべきではないかと。結果日本帝国は、大混乱に陥るはめになったがな。
暫く悠斗達と話をしていると、障子戸から声がかかる。

「若様。出発の時間でございます」

「分かった。今いきます。皆、出発の時間だ。外に行こう」

「「「うん」」」

悠斗と共に、不動の廊下を歩き玄関に移動して外に出る。
外には、黒い車が1台止まっていた。周りには、悠斗の父上と母上、不動家に使える使用人の方々。それと、巌谷榮二大尉が待っていた。

「別れはすんだか?」

「はい父上。しかと済ませました」

「そうか。ならばよい。悠斗よ国連軍に行っても、負けるでないぞ。斯衛の誇りを見せつけてくるのだ!よいな」

がっしりと悠斗の両肩を押さえて、話す不動のおじ様。

「はい父上。頑張って参りたいと思います」

「うむ。ならば、ワシから言うことはない」

両肩から、手を放すおじ様。悠斗はそのまま、前に進み不動京さんの前で止まる。こう言わないと酷いお仕置きに会うからだ。今だ、若いお姿のままなのが不思議でならないが、歳は・・。
歳の事を考えた瞬間、殺されるかも知れない程の殺気に襲われた。
不動のおじ様も、顔を青くして震えている。各言う私も、震えが止まらない。きっと唯依や真那も震えているだろう。
しかし、悠斗は何処吹く風の様に普通にしていた。大物だな。
姿は、悠斗と同じ青い髪の毛に、花の模様をあしらった髪止めを着けている、ショートカットの方だ。

「悠斗よ。何処に行っても、母は貴方の事を見守っていますよ」

「はい母上。母上に要らぬ心配をかけないように頑張って参ります」

「私の大事な悠斗を、国連軍に行かせるのは忍びないでずが、頑張って来るのですよ」

京さんが悠斗を抱きしめる。悠斗も同じく抱きしめた。少しして、お互いに離れた。

「悠斗くん。良いかな?」

「はい巌谷さん。お待たせしました。行きましょう」

車に乗り込もうとする悠斗。しかし、私はそれを黙って見ている訳にはいかなかった。

「悠斗!」

ピタリと止まる悠斗。車に乗らずに此方に向く。

「必ず生きて帰ってこいよ!」

「分かった。約束するよ」

「悠斗。私とも約束しろ」

真那もちゃっかり入ってくる。

「何をだい?」

「生きて帰って来たら、私の婿になれ!」

な!何を言ってるんだ真那。流石に其に驚いて、皆が固まる。

「ああ、良いぜ。ならいい女になて待ってな」

しかも、悠斗!貴様もちゃっかり、許可をだすな!なら、私も遅れをとるわけには行かない!

「悠斗!真那だけずるいぞ!私の婿にもなれ!」

私は、何を言ってるんだ!真那張り合うなんて、何を考えているんだ。
でも、悠斗の事を想うと胸が苦しくなる。
何時も一緒だった悠斗が、居なくなる事を考えると、夜も眠れなかった。なら、後悔するよりこのまま、勢いでも良いから言ってしまえ。

「良いぜ。父上だって、側室がいるんだからな。あれ?けど婿養子の場合、俺が側室の扱いになるのか?まあ、いいや」

「悠くん。手紙を出してね!絶対だよ!」

「あいあい。分かったよ唯依ちゃん。必ず手紙を出すから楽しみにしててな」

今度こそ、車に乗り込んだ。巌谷さんも車に乗り込んだ。
そして車が発進して行った。
車の窓から悠斗が体を半分位出した。

「じゃあな!皆元気でな!必ず生きて日本に帰ってくりからな!」

両手を大きくふっている悠斗。

「悠斗頑張ってこいよ!」

「悠斗。元気でな!」

「悠くん。手紙待ってるからねーーー」

皆が、車が見えなくなるまで、手をふり続けた。ついに車は、見えなくなってしまった。
唯依は、大粒の涙を隠す事なく、泣き続けていた。暫く唯依をあやしていると、泣き疲れたのか眠ってしまった。
使用人の方が客間に布団を敷いてくれたので、そちらに唯依を寝かせると言って連れて行ってくれた。

「しかし、悠斗もやるな。こんな可愛い子達を虜にするなんてな」

不動のおじ様が、行きなりそんな事を言い出す。

「全くですね。若い頃の貴方にそっくりですね」

冷や汗を大量に流す不動のおじ様。心辺りがあるのだろうな。

「オホン!しかし、良いのか家の愚息で?月詠家ならば、男など引く手数多だろうに?」

「不動様。ご子息様程の男児は、このご時世なかなかおりませんよ」

「そうですよ。悠斗は年下ではありますが、非常に良い男です。むしろ、あやつ以外の男と結婚しろと言われたら、自害する覚悟はあります」

「ハア~。月詠家の者は、皆意志が固いからの~。ワシが説得しても無駄な様だしな」

不動のおじ様が、またため息を一つ吐いた。
何やら哀愁が漂っていた。

「まあ、良いじゃない。悠斗が月詠家に婿入りなんて良い縁談よ。それに当人同士で了承してるんだから、親が文句を言ったてどうしょうもないわよ」

京さんが間に入ってくる。義母様と呼ぶ日が来るのだろう。今から、言っておくか?

「ハア~。ワシから月詠家の当主に話をしておく。真耶ちゃん、真那ちゃんは、仕事に戻って良いよ。護衛の仕事があるんだから」

「分かりました。其れでは失礼します」

「ありがとうございます。其れでは失礼させて頂きます」

私と真那は二人に別れの挨拶をして不動家を後にした。


(今思えば、良い思い出だな。しかし、悠斗の奴は何時になったら、祝言をあげるつもりなんだ?)

そんな事を考えていると、1台の黒い車が近づいて来た。

「やれやれ。やっと来たか」

車が私の前で、止まった。運転手が降りてきて、後部座席のドアを開く。車から悠斗が降りてきたのだった。




真耶sideout



悠斗side



帝都城内に入って、暫くしたら車が停止した。
運転手が降りて、俺の座っている側のドアを開けてくれた。

「不動准将。着きました。此方からどうぞ降りてくださいませ」

「ありがとう」

車から降りると、月詠真耶大尉が出迎えてくれた。

「お久しぶりです。不動准将」

「久しぶりだね真耶さん」

敬礼して、出迎えてくれる月詠大尉に笑顔で返事をする。

「そ、其れでは案内させて頂きます(くっ!相変わらず笑顔が、素敵過ぎるだろう)」

「よろしく頼むね」

「では、着いてきてください」

月詠大尉の後ろをついて行く。駐車場から、ハンガーを通る。何気なくハンガーの方を見ると、不知火が置いてあった。

(はて?斯衛軍は、第3世代機は武御雷のはずだ!何故不知火がハンガーにあるんだ?)

歩みを止めて、不知火を見る。良く見ると、所処不知火と違う部分がある。

「どうしました?」

月詠大尉が戻って来て、訪ねてきた。

「何時から、斯衛は不知火を正式採用したんだ?」

「ああ、この機体か?この機体は不知火の改修機で、不知火・壱型丙と言う機体だ」

(ああ、TEで登場する不知火の改修機か。確か突き詰めた設計が仇となって、改修が遅れてた機体だな。性能が向上した代わりに、稼働時間が大幅に低下して、専用のOSが必要になった機体か。確か100機しか生産されなかった機体か)

「なんで、そんな機体が此処にあるんだ?」

斯衛軍では確か、白い牙(ホワイト・ファングス)中隊が、試験運用を行っているだけのはずだが?

「斯衛軍で先日トライアルを行ってみたが、ピーキー過ぎて使い物にならないから、採用は見送るだろうな。帝国軍では、既にトライアルが済んでいるから、調達中止は確実だな」

「そうか。なら行こうか」

「良いのか?何か、気になったんじゃないのか?」

(流石に、過去の変化がないか確かめたかっただけなんだよな。不知火・壱型丙には、用事はないからな~)

「なに。てっきり斯衛が、不知火を正式採用したかと思っただけさ」

「確かに、瑞鶴が旧式下しているが、不知火を正式採用するとは聞いたことがないぞ」

(だろうな。そうしないと、アメリカが圧力を強めてくるからな。あの国は今、俺の会社のせいで、軍事産業に打撃を受けてる最中だからな。そうなれば、巌谷中佐のXFJ計画に食い付いてくるはずだ。まあ、そこを奪い取るつもりだけどな)

「そうか。ならば行こう。謁見の時間が近づいている」

「そうだな。行こうか」

俺達は戦術機のハンガーを後にした。




悠斗sideout
 
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