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『自分:第1章』

作者:零那
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『聴取/確執』

警察、検察の聴取、カウンセリング、心理判定、テスト...毎日が同じ事の繰り返し。

オッサンが聴取で居らん時間に合わせて家に行っては現場検証。
何枚も写真撮られた。
嫌な記憶を辿り、犯されてた場所、状況、体勢...再現させられた。
全部...数年分...生き地獄だった。

聴取も、同じ事を何十回、下手したら何百回...聞かれて言わされて、狂いそうだった。
でもそれも慣れてきて感覚がおかしくなってきた。


ある日、検察に呼び出されて聴取。
オッサンは完全同意の元だったと。
むしろ誘われたとか言ってるらしく疑われた。

姉だろ!!
好きで母さんの旦那とSexしまくる異常者は!!
その姉は、中絶手術をしたらしく、聴取も完全拒否で完全被害者面の不幸面...終始黙秘。


そのしわ寄せが零那。
誰にも言わんだけで堕胎したんは零那も同じや。
医者で手術しただけマシやんけ。

姉が憎くてたまらんかった。
寝てるときに何回首締めて殺したろか思たか。


零那はオッサンを誘惑した悪い女で?
姉が完全被害者?


引き吊りまぁしたろか!!!


みんなみんな、死に腐れ!!!


『真実やか知る気無いなら自分がオッサン殺すけん連れて来いや』

どんだけ悔し涙を堪えて言った事か。


その後の家宅捜査で、姉とオッサンの婚姻届が出てきたり、子供の名前も書いてたりする手帳が出て来たり。
気色悪さも憎しみも殺意も限界超えた。


刃物に成り得るモノは全部没収されてたからリストカットも出来ず、情緒不安定なんもあって過呼吸も酷くなって心理判定も『非社会的人間』『人格障害』その他もろもろ。


中3の夏休みはズットズット同じ話。
常に監視。
聴取は、オッサンが認めんから進まん。
なんかもぉどうでもよくなってきて、自分が悪いんかなって。
加害者なんかなって。
勘違いしてしまう寸前だった。


保護所では姉がズット部屋から出てこんから零那は外に居た。
男子と騒いで屋根の上行って飛び降りたり、音楽を最大音量でつけたり、夜は違う部屋に隠れたり、押入の中に落書きしたり。
押入の落書きはいっぱいあった。
みんな、色んな闇を抱えて来てるのが解る。
悲痛な叫びが聞こえる...


それなりに騒いで暴れて発散せな殺してしまう。


零那は可愛げの欠片も無い。
喋り方も汚い。
偉そう。
反発心しか無い。
負けず嫌い。
強情で意固地。
絶対納得せな従わん。


そんな性格で、でも、保護所に来て爆発して抑えが効かんなって、ヤンキー男子と一緒に悪戯ばっかしよった。

職員が見てきたであろう『おとなしくて本音が言えんくて、されるがままの、か弱い、可哀相、不幸な被害者』ってのとは、零那はかけ離れてる。

職員は零那を疑ってる。
被害者として保護することが正しいかどうか。
ほんま笑える。

ごめんね。
マニュアル通りの被害者面できんくて。
もぉ大人や社会に幻滅してるからウジウジ出来るほど純粋じゃ無いんよ。
何年間も放置されてきたし。
おかげさまで捻れ歪んだ心になったわ。


被害者はおとなしく可哀相に不幸なオーラ出しとかなあかんねやろ?

零那が、ココ迄、捻れたのは、子供を守る筈のオマエら腐った大人が信用せなんだからや。
必死の訴えを悪戯やって決めつけて電話を切った。
何年間も...。
一生恨むで。


こんな性格やから損する。
解ってる。
やから『性に興味出てくる年頃やし誘ったんちゃう?』とか言われるんよな。
呆れるわほんま。
それは姉やから!!!

でも、姉は大人の目には『可哀相な被害者』として移ってる。
みんな殺してやりたい。

性に興味?
興味どころか知識も無い。
むしろ嫌悪感しか無いわ。


夏休みも終わりに近付き、男子達は西の施設留置が決まった。
同じ所に行きたかった。
施設の外観や
生活メニューや行事が書かれたパンフレット見て知ってた。
西の施設は長屋タイプ。

零那は家が嫌い。
子供が大嫌い。
東の施設の外観は家。
其れが3棟。
男、女、園児。
それぞれ分かれて住んでた。


仲良くなって、一緒にいるのが楽しくて、離れたくないって気持ちもあった。
お互いの家庭環境とかの話もしてたから、普通の友達とは違う何かがあった。

同情では無く、支え合っていける友達やと想ってた。
零那も何かチカラになりたかった。
『何かあったら言え!助けたるから!』って言ってくれてた。


『定員のこともあるけど、男2人は良しとしてもアンタ含めて3人一緒に行かすことは私が拒否する!!』

そう言い切ったのは一時保護所の責任者。

このオバサン大嫌い。
何かあったらすぐ姉の肩持つし、零那を目の敵にしてる。
姉は被害者なんやって思い込んでる。
婚姻届も子供の名前も無理矢理書かされたものやと思ってる。

何も知らんくせに。
ムカつく。
零那が誰より知ってる。
誰より解ってる。
理屈じゃ無い。

姉とオッサンは完全に愛情で繋がってた。

やから中絶したんが辛かっただけなんよ!!
逢えんくなったから辛いんよ!!
引き離されたから!!
好きやのに!!
って感じ。 
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