| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

SAO─戦士達の物語

作者:鳩麦
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

GGO編
  八十四話 三人目の幼馴染

 
前書き
どうもです。鳩麦です。

ヒャッハー!!なんか勉強の合間に暇つぶしで書いてたら上手く切れましたぜぇ!!

今回は、いよいよ彼女のご登場です!

では、どうぞ!! 

 
その菊岡との話し合いから二日後の、十二月九日。涼人と美幸は授業を早めに終え、二人で、ある場所に来ていた。

東京都文京区。湯島。
この街に、二人の幼馴染のもう一人が住んでいると、福島での墓参りで知ったのだ。
一応住所ももらってきたが、電話がうまく繋がらず、アポなしでの訪問となってしまった。

「この先か?」
「うん。えっと、四丁目だから……」
時刻は午後三時半。アーケードにはまだ人はまばらで、そんなに人は多くない。と、そこで涼人が声を上げる。

「……ん?」
「……?どうしたの?りょう」
「あー……」
涼人は立ち止まって、アーケードの天井を見上げていた。やがてその支援をゆっくり、此方を見て首をひねる美幸に戻す。

「美幸、ちょっとそれ貸してみ?」
「え?はい」
美幸は今、携帯端末の地図を見て行動している筈だった。しかし涼人の記憶が正しければ……

「美幸さーん、湯島四丁目此処な。だいぶ前に通りすぎたぞ」
「え、えぇっ!?」
涼人が呆れ顔でそう言うと、美幸は驚いたように端末を覗き込む。数秒後……「あっ!?」と驚いたかと思うと、「あうぅ……」とかなんとか妙な声を上げてうなだれた。
別段彼女が驚異的に方向音痴だと言うわけではない筈なのだが、時折好娘はこういう妙なミスをする。

「ま、そう落ち込むことでもねぇさ。ほれっ、引き返すぞ」
「うん……ごめんね……?」
「気にすんなっちゅーに。さっきまでの元気は何処行った。ほらっ、行くぞ」
「はい……」
うなだれたまま美幸は歩きだす。こりゃしばらく続くかな……?と涼人が頭を掻いた時、それが目に映った。

「ん……?」
どこかで見たような後ろ姿だった。それが一瞬だけ横顔を見せてスーパー脇の路地へと吸い込まれる。……手首を掴まれて。

「…………」
記憶と姿を照合し、一致率が高いと判断した時点で、涼人は声を上げた。

「……美幸」
「え……?」
「此処に居ろ」
そう言うと、美幸をそこに置いて涼人は歩きだす。一瞬美幸の呼び止める声が聞こえたが、こういう場合、此方の後ろ姿で彼女が自分が従うか否かを判断することは良く知っているため、リョウは無言で来るなの意思を示した。

────

路地裏に入ると、そこには分かりやすい恐喝の現場が有った。
しゃがみこむような体をくの字に折り曲げた姿勢の制服姿の女子生徒一名を、三人程の同じ制服(スカート丈がだいぶ違う)の女子生徒が囲んでいる。

「ちょいちょい姉ちゃん何してんだ?俺も混ぜろよ」
いきなり声を掛けたリョウに、囲んでいた女子高生ズは驚いたようにギョッと目を剥く。

「……な、何アンタ」
マズい所を見られたからか、あるいは相手が男だったからか。三人の内リーダーらしき女がドモリながら聞いた。

「ん?小遣い稼ぎに便乗しようと思ってな……女四人とかカモだし?」
ぶっちゃけると微塵もそんな事は考えて居ないが、まあ、脅すならこんな感じで良いだろう。
これで相手が本気でアウトローな女性なら多分間違い無く睨んで返されるが、高々ちょいとはっちゃけたお姉さん方なら……

「オーライ、んじゃ財布だけ置いてってくれや。ガードありゃ十分だろ」
そう言って、ニヤニヤと笑いながら一歩踏み出す。と、三人の内リーダーを除く二人が一歩下がる。

「ね、ねぇ……コイツ……」
「や、ヤバく無い……?」
まさか自分達がカツアゲやってる所を、別のカツアゲに狙われるとは思っていなかったのだろう。声が強張っている……
そこに更に一歩進む。途端に、三人のカツアゲ女子は一目散に逃げ出した。

「待てコラァ!!」
わざとらしく追い立てるような大声で言うと、案の定彼女等は更に走る速度を上げ、あっという間に路地の向こうへ消えた。

「あーあ、逃げちった……」
涼人はそう呟くとカツカツと最後の独りに歩み寄る。肩を小さく震わせながら立っていた最後の……カツアゲを食らっていた女子高生は、近付いて来る影に気付いたのだろう。フラフラと如何にも危なっかしい足取りで路地の向こうに逃げようとする。だが不意にその足から力が抜け……

「っぶねえ!」
崩れ落ちる寸前に、涼人が肩を支えてなんとか踏みとどまった。

「……っ!」
が、いきなり身体に触れられた事に驚いたのか、彼女は弱々しく、しかししきりに身体を振って涼人の手から逃れようとする。まあさっきまでカツアゲの真似事していたのだ。有る意味当然の反応と言わざるを得ない。

「離し……てっ……!」
「ま、待て待て待て!味方……つか声で分かれ!まだ二年だろうが!?」
「…………?」
言っている言葉に違和感を感じたのだろう。彼女がようやく顔を上げ、涼人の顔を見る。銀色の眼鏡。両方の髪に付けた白いゴムの髪止めと、おとなしげな顔立ち……
ちなみに涼人の方は、「もしかしたら」を既に確信に変えていた。何年も同じ屋根の下で半日を暮らした仲なのだ。横顔見れば大体わかる。

「え……りょ「りょう?どうしたの?」」
彼女が何かを言う寸前で、涼人の後ろから美幸の声が響いた。振り向くと、彼女が此方に駆け寄ってくる。

「よぉ。なんだよ来たのか?」
「声聞いてたらおっきな声したから……え!?どうしたのその子、大丈夫!?」
彼女の位置からでは顔が見えていないのだろう。彼女らしい反応で驚く美幸に、涼人は「まぁ、来いよ」と言って近づかせ、彼女の顔を見せる。
そして二人の眼が有った途端、彼女等は同時に、目を見開く。特に美幸が。

「え……」
「探す手間が省けたな」
「し、しーちゃん!?」
その名で呼ばれたことも久しぶりだったのだろう。少しだけ懐かしいような、しかし矢張り驚いた表情のまま、少女は呟くように言う

「み、美幸お姉ちゃん……?りょう……兄ちゃん……?」
しーちゃんと呼ばれた彼女は、目を見開いたまま塊、確認するような声で体かにそう発した。

「う、うん!」
「ははっ、どうやら忘れたわけでも無かったか。久しぶりだ。でかくなったな詩乃」
「う、そ……」
朝田詩乃。
それが、桐ケ谷涼人と麻野美幸にとって、大事な妹分であり、幼馴染の名前である。
 
 

 
後書き
はい!いかがでしたか!?

え?リョウ原作キャラとかかわり多すぎるだろうって?

あ、あははは……いやまぁそうなんですが……
GGO編はキリトとシノンのガードが堅すぎて何重にも切り込み口を作らないと突入出来ないんですよ……これはそのうちの一つです。

まぁ、それ以前からこの三人のつながりという設定は考えてはいたのですが、前々からうすうすと気付いていた方のきっと多いかと思いますw
ずっとサチさんが「しーちゃん!しーちゃん!」って言ってましたからねw

さて、次回はまぁ……もう一人原作キャラを出して、そのあとは夕飯でも。

ではっ!!


蛇足
所で詩乃の住んでいる文京区湯島四丁目というと、すぐ近くに東大ありますよね。
詩乃の通う進学校って、どこがモデルなんでしょうかw
知りたいような知りたくないような……w 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧