幸せの箱探し
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1章 【噂】
僕の名前は高木 健一。26歳。妻と仲良く暮らしている。どこにでもあるような普通の夫婦だ。
今日も朝から出勤だ。
「行ってきます。」
と、妻に一言かけてから僕は駅に向かった。
「今日も混んでるなぁ……」
そう呟きながら電車に乗った。いつもと同じ混み具合だが、何故か今日は妙な違和感を感じていた。
そして電車は何事もなく発車して、次の駅に着いた。僕はいつも通り会社に着いた。
いったいあの違和感はなんだったのだろう。そう思いながら中に入っていった。
「『幸せの箱探し』。知ってますか課長?」
僕が昼食をとっていると突然、部下の中野が話しかけてきた。
「何だそれ。」
「いや、俺も昨日初めて知ったんですけど、この世には、世界一の幸せを味わえる
箱があるらしいんですよ。」
「へぇ~。」
「まぁ、本当かどうか分からないんですけど、その箱はある女の幽霊が持ってるらしいんですよ。
で、その女の霊を見つけた人にはその箱をくれるらしいんですよ。」
「ほほう。」
「そんで、その箱を開けた人は、世界一の幸せ者になれるらしいんですよ。」
「へぇ~、そんなにも嘘っぽい話は初めて聞いた。」
「でも、本当だったら凄いですよねぇ~。」
『幸せの箱探し』。そんなもの嘘に決まっている。どうせ誰かが考えた話だろう。そう思いながら
僕は何故か『幸せの箱探し』が気になっていた―――――
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