| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

IS《インフィニット・ストラトス》~星を見ぬ者~

作者:白さん
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第三十五話『選ぶ道』

「……ふむ」


夜、9時を回った辺りにスウェンは端末を見ながら廊下を歩いていた。

端末に記された内容は今回のトーナメント戦についての事項だ。

VTシステムにより、学園は事故という名目でトーナメントを中止。端末には各個人のデータはとる模様であると記載されていた。

スウェンは端末を閉じ軽く溜め息を吐き


「……前の代表戦でもトラブルがあって中止。そして今回のトーナメント戦も事故とし中止……学園として良い物なのか、ここまでの中止の連続は……」


また今後もトラブルが起きればその開催されたものは中止になるのでは?とスウェンは毒づく。


「まあもっとも、俺が気にしても仕方がない……か」

「よっ、スウェン」

「?」


不意に肩を叩かれ、一夏が顔を覗かせる。


「一夏か……どうした?」

「山田先生がさ、男子の大浴場が解禁されるって言っててさ。一緒に行かないか?」

「……すまない、今日は気乗りがしなくてな。またの機会にさせてもらう」

「そっかじゃあ仕方ないよな。シャルルの奴にも断られたんだよなぁ~」

「(当たり前だろう、デュノアは女だからな。まあこいつは知らないから仕方がないか……)」


残念がる一夏を尻目にスウェンはそう頭で呟く。


「あ、そういやさ、スウェン」

「何だ?」

「何で俺のこと名字じゃなくて名前で呼ぶようになったんだ?」

「……別に深い意味はない。だが強いて言えば……」


スウェンは一夏の隣に立ち、肩に手を乗せ


「信頼できるから……かもな」

「え?」

「それではな」


軽く笑いながら、スウェンは一夏から手を離し廊下を歩いていく。








知らず知らずに時間は過ぎていくもの、スウェンは夕食を終えシャワーを浴び、寮の外に来ていた。


「……」


何も言わず、ただ夜空を見ていた。そんなスウェンを見ている少女が1人。


「スウェン……」


木の陰からスウェンの様子をずっと見ていた簪がそこにいた。


「……そこにいるのは、簪か?」

「ひぅ!」


突然声を掛けられ、簪は恐る恐る木から離れスウェンの前に姿を見せる。


「何でわかったの?」

「そんな気がした」

「ま、まるで私が何時も物陰から見てる人みたいな言い方だね……」

「……気を悪くしたならすまない」


謝罪の言葉に簪は首を横にふる。


「別に……気にしてないから。スウェン、何してたの?」

「星を見ていた」

「?……あ」


簪も空を見ると、そこには散りばめられた様に星が輝いていた。


「綺麗だね」

「ああ。本来なら建物の光等で星はよく見れないのだが、寮の離れの此処はよく星が見える……俺は気づけば何時もこうして此処に来ている」

「星が好きなんだね、スウェンは」

「……」

「スウェン?」


簪はスウェンの顔を覗きこむ。


「……こうして星を見ているときは、昔の事を思い出す。楽しかった事、辛かった事を……」


スウェンは自分の掌を見て


「それと同時に思い起こさせる。自分のしてきた数々の事を……俺は……」


首をふり、スウェンは苦笑し


「すまない、忘れてくれ。そうだ、今度お前に頼みたいことがあるのだが、構わないだろうか?」

「うん、いいよ」

「感謝する。本当にお前には助けられてばかりだ」

「そんなことないよ、私だってスウェンに……」

「?」

「な、何でもない!そ、それじゃ私寮に戻るから!」


そう言うと簪は慌ただしく寮へ歩いていった。


「……更識簪か」


簪の名を呟くと、スウェンも寮に向けて足を運ぶ。


「成る程、スウェン君と簪ちゃんはやっぱり仲が良いみたいね……」


スウェンが過ぎ去った後、1人の少女がそこには居た。











「スウェン、どこいったのかな……」


スウェンはたまにこの時間帯になると、外に行ってくるって言って部屋から出てく。もう20分たった。何をしてくるかまでは聞かなかったけど……。


「ま、まさか女の子と一緒に!!」


……そ、そんな訳無いよね!スウェンに限ってそんな夜に会うような娘が居るわけ……
け、けどもし本当にそうだったら……スウェン普通に格好いいし、ちょっと無愛想だけど優しくて、何時も気を使ってくれるし、一緒に居るだけで安心するし、絶対モテそうだよね……で、でもスウェンに限ってそんな……


「俺に限って何なのだ?」

「ひゃわぁぁ!!!!」


背後にスウェンが居たの気づかなくて思わず叫んじゃった……って声出てたんだ……


「何故そんなに驚く、可笑しな奴だ」

「は、ははは……」


お、可笑しな奴……それ結構ぐさりと来るよぉ……


「さて、戻って来て早々だが、俺はもう寝る。デュノアはどうする?」

「ぼ、僕もそろそろ寝るよ。明日は普通に授業あるからね」

「そうだな」


スウェンはそのまま自分のベッドに寝転がって、背をこっちに向けた。僕もベッドに寝転がって


「電気消すね」

「ああ」


同時に部屋は暗くなり、静かな時間がやってくる。
い、言うなら今だよね?


「ねぇ、スウェン。僕決めたことがあるんだ」

「何だ?」

「えっとね……一つは僕、ここに……学園に居ようと思う」

「……」

「スウェンが……頼れって言ってくれたから僕はここに居ようと思えるんだよ」

「……そうか」


スウェンは背中を僕に見せながら、相槌を打つ。


「あと一つは……僕は自分であり方を決めようって思ったんだ。これからは、僕の意志で自分が正しいと思った道を選んでいこうと思う」

「……それが良い。敷かれた道を歩くより自分の意志で、自分の足でしっかりと進む。それが一番良い」

「うん。それとね、僕の本当の名前……『シャルロット』って言うんだ。大好きだったお母さんがくれた、本当の名前」

「シャルロットか……良い名前だ」

「ありがとう。スウェンにもこれからは名前で呼んで欲しいな……な、なんて」

「……」


スウェンが急に喋らなくなっちゃった……ち、調子乗っちゃったかな……


「わかった……シャルロット、これからもよろしく頼むぞ」

「え?……う、うん!」

さっきまで背中を向けていたスウェンが、いつの間にか少し顔をこっちに向けていたのがわかった。

スウェン……ありがとう。今ならハッキリわかる、僕はスウェンの事……











「シャルロット・デュノアです。皆さん、改めてよろしくお願いします」


丁寧に挨拶をする、女子制服を着たシャルル改め、シャルロット。真那は疲労感たっぷりの声で


「えっと~その~……ということですので、み、皆さん。仲良くしてあげてくださいね……はぁ、また部屋割りをしなければなりませんね……」


「改めてよろしくね、スウェン」

常時疲れた表情で言った真那。そして笑顔のシャルロット、そしてスウェンは軽く笑いシャルロットを見ていた。


「カルバヤン君、どういうことか説明してほしいな」

「デュノア……さんと一緒の部屋だったからね~」

「……厄介な」


その後弁明するためにスウェンは、真那並みに疲労したというのは別の話である。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧