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星を継ぐヤマト

作者:レイナ
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【03】内謁

 
前書き
■「宇宙戦艦ヤマト2199」と「星を継ぐもの」のクロスオーバー。
■旧作好きなアラサーが2199見てお医者さんの言葉に吹き出したところから始まる物語。
■ヤマト乗組員で元ナブコム所属の生物学者の冒険記。
■Pixivにて連載中のものを少しずつこちらにも掲載していきます。  

 



どうやら私は、運には見放されていないようだ。

「…貴様か。テロンからの使者と言うのは」

メルダはこのガミラスの高官の娘だったらしい。
だから戻ったときも、あれほどまでに歓迎されていたわけだ。
私としては、この好機を逃すことは出来ない。

「太陽系第三惑星、地球…あなた方の呼び方ではテロン、でしたね。
 惑星テロン、国連宇宙軍科学技術局所属、結城里華と、申します」

ここはガミラス星、帝都バレラスの軍関連施設らしい。
この星についてすぐ、私はこの部屋へと拘束された。
目の前でいぶかしげな表情を浮かべるのは、メルダの父親、ガル・ディッツ。
聞けばガミラス軍の軍事に関する最高位にあるという。
彼女の口添えで、なんとかこの場を設けてもらえた。
もちろん、彼女も同席の上で。

「何が望みだ」
「この星の総統に、拝謁願いたく参りました」
「ふざけたことを」

そう、当然受け入れられるはずがない。
私の勝負は、ここから。

「私個人の意見ではありますが、地球が最初に遭遇した異星人が、あなた方で良かったと、私は考えております」

ディッツの眉が上がる。
本当に、地球人と何もかも同じだ。

「どういう意味だ」
「そのままの意味です」
「戦端を開いたのは貴様らテロン人だが」
「えぇ。ご令嬢より伺いました」

ずっと疑問に思っていた。
もし8年前の攻撃がガミラスからの先制攻撃だとするなら、訪れた艦数が異常に少ないのだ。
地球を攻撃、占領するのが目的ならば大艦隊で来たっておかしくはない。
あれは偵察だったのだろうか、そんな風に自分なりに答えを出してはいたが。
友好の使者を地球軍が何らかの意図を持って撃破した。
そう考える方が、よほど自然だ。

「先人の非礼、彼らに代わり謝罪したく思います」
「ほぅ」

ディッツの眉がわずかに下がった。
畳み掛けるのであれば、今。

「我々としましても、一部の愚鈍な上層部の為に、同胞を攻撃するなど本意ではありません」
「…同胞、だと?」

再び上がる眉。
そして声も尖る。
メルダも同じような表情を浮かべている。
さすが親子。

「我が艦に置いて、あるガミラス人の血液よりDNA情報の調査をさせていただきました」
「それがなんだ」
「驚くべきことに、我々地球人とガミラス人は同じDNA情報を持っていると言うことが判明いたしました」

不機嫌なディッツ親子。
恐らく父親は、あるガミラス人というのが娘だということに気付いたのだろう。
彼女が頑に告げない空白の数日間が、こんな状況で明らかになってしまったのだ。

「私の専門は生物学、中でも生物の進化について研究をしております」
「これ以上くだらない話を続けるのであれば」
「2つ以上の隔絶された環境下で進化した生物が、遺伝子レベルで全く一致することなど、ありえません」

申し訳ないが発言を遮らせてもらう。
ディッツの表情は不機嫌そのものだが、私の言葉を理解した数秒後、彼は大きく目を見開いた。

「私はこの事実を伝える為、単身この星へと参りました」
「何を、巫山戯たことを」
「巫山戯てなどおりません。必要であるのなら、私のDNAを調べていただいて構いません。
 我々の技術などよりも遥かに進んだこの星で調べていただいた方が、精度も高いことでしょう」
「………」
「総統閣下に、拝謁願えますか?」


 
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