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赤城と烈風

作者:fw187
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★改訂前
  イタリア海軍の動向

 イタリア海軍は極東情勢の急変後、第二次ロンドン海軍軍縮条約批准を選んだ。
 ローマ最高司令部は第一次大戦の実績も重視、空母保有枠6万トン活用案を練る。

 1935年『カイオ・デュイリオ』級2隻の転用、空母改造案は潰れた。
 翌年8月エチオピア戦争が終結、『ローマ』『アウグストゥス』改装案も滞る。
 1923年制定の軍用航空機法で海軍は偵察機、水上機しか保持できない為だ。

 1937年3月『ファーティ』購入案、トルコ政府との協議を最高指導者が認めた。
 大艦巨砲主義者も動き、価格交渉は順調に進む。

 双発双浮舟カントZ.506B《アイローネ》(蒼鷺)運用、航空雷撃を望む提案は潰え第二案が通る。
 十数機しか載らない為に単浮舟軽量省面積Ro.43観測機改造、Ro.44《アクィラ》(鷺)搭載を選んだ。
 大型貨客船空母改造案は艦対空火力重視、推進機関の換装を含む。
 4月1日トリエステ造船所に着き、徹底的改造工事が開始された。
 プリエーゼ式水雷防御を適用、水中爆発に強靭と期待は高い。

 空母保有枠活用案は『ジュッサーノ』級、竣工時《偵察艦》4隻の配置転換も含む。
 他国の保有枠が増す補足(エスカレータ)条項に触れず、1万トン級の軽巡洋艦2隻を建造できる為だ。
 8日no.1ジェノバ造船所入渠の後、大改装が進む。
 航空巡洋艦『デュケーヌ』の噂を意識、6機搭載の為に最大幅拡張も実施された。

 1938年3月『ジュッサーノ』級No.1改造完了後、No.2『バルビアーノ』が続く。
 新登場Ro.44《アクィラ》を後部、3連装主砲2基を前部に載せる偵察艦の評価は高い。
 予算の都合で『コスタンツォ・チャーノ』級、改『アブルッツィ』級2隻を増強の構想は潰えた。
 5月14日『カイオ・マリオ』起工時、第一次ロンドン海軍軍縮条約の補足条項には触れていない。
 翌年に第二次大戦が勃発、保有枠の撤廃後も艦種変更工事中断は続く。
 10月No.3『コレオーニ』出渠の後、No.4『ネーレ』の乗組員が艦を降りた。


 1940年7月6日、兵員や戦車を載せた輸送船5隻が動く。
 護衛は《航空偵察艦》3隻、駆逐艦4隻、水雷艇6隻が務めた。
 カラブリア沖海戦の最中、18隻は地中海を南に進む。
 ベンガジ港に着き、揚陸完了後も英国海軍の襲撃は無い。

 幸運に恵まれた《偵察艦》は数日後、エーゲ海に向かう。
「ルーマニア東岸を英国小型油槽船(タンカー)が離れた、捕獲せよ」
 3隻は命令受領後に動き、19日クレタ島西方海域で駆逐艦4隻と遭遇してしまう。

 Ro.44操縦士(パイロット)は《氷上の襲撃》、冬の戦争に馳せ参じた義勇兵達の噂を聞き及んでいた。
 《アクィラ》18機が翼を翻し、低空に舞い降りる。
 12.7ミリ機銃36挺の掃射、強襲が駆逐艦の指揮機能を奪う。
 救援に駆け付けた『ハヴォック』、『シドニー』の艦橋も銃撃に曝される。

 軽巡洋艦1隻と駆逐艦5隻は撤退、無傷で勝利を得た《航空偵察艦》の評価は高い。
 15日『ネーレ』改造完了後に姉妹艦4隻が揃い、艦隊防空任務の重責も担った。


 フランス艦隊ジェノバ艦砲射撃、英国空軍機シチリア島を爆撃の影響も無視できない。
 被害の噂は東アフリカ駐屯軍にも届き、故郷の家族を案じる男達が動いた。
 脱走兵達は超人的狙撃手ゴルゴ13級の凄腕と化し、砂漠を踏破の冒険に挑む。
 イタリア領フェザーン到達、敵地(アウェイ)突破は連合軍の評価も高い。
 英雄達は賞賛の宴を抜け、故郷の惨禍に憤った。
 陸軍の重要部署に配属、抜擢の後に海空軍と連絡網の整備が秘密裏に進んだ。

 8月31日艦隊出撃の際は嵐と遭遇、駆逐艦多数が損傷の為に戦闘を避けている。
 9月27日ドイツ、日本、イタリア三国同盟条約調印後MB5作戦が開始された。
 マルタ島に陸軍守備隊等2千名前後を運ぶ為、翌日アレクサンドリア港を総勢19隻が離れる。
 戦艦4隻基幹イタリア艦隊出撃の後、王立空軍の偵察機は規則違反を避けた。
 単座水上戦闘機も輸送船襲撃、艦隊戦支援の機会を得ず無傷の帰還が続く。

 イタリア海軍の潜水艦は配置転換、大西洋で輸送船襲撃を実施していない。
 ドイツ海軍が無電傍受を警戒、同盟軍の気質も考慮の為だ。
 甘い期待は抱かず牽制効果、英国海軍の戦力分散を望む判断の賛否は難しい。

 10月20日『フランチェスコ・カラッチョロ』、改め『インペロ』改造工事が終わる。
 28日最高指導者は隣国ギリシア侵攻案を撤回、エジプト侵攻軍の戦力増強を命じた。



航空偵察艦『ジュッサーノ』級4隻(45口径135㍉砲2基6門、47口径100㍉高角砲3基6門、54口径37㍉機関砲8基16門、75.7口径13.2㍉機銃4基8挺、53.3㍉魚雷発射管2基4門、27㌩)単座水戦6機を後部、3連装主砲2基を前部に載せる為、最大幅17.2mに拡張

メリディオナリRo.44単座水上戦闘機《アクィラ》(前方固定12.7㍉機銃2挺、最高速度315km/h、カタパルト射出、主翼後方折り畳み可能) 
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